日本語で「トリッキー」という言葉を耳にしたことはありませんか?
これは英語の “tricky” から来ているのかな、という気がしますが、私の周りのネイティブは実際に “tricky” という単語をとてもよく使います。
ただ、日本語で使われている「トリッキー」と英語の “tricky” は、意味がちょっと違うなぁと思ったことがありました。
「トリッキー」はどんな意味?
日本語で「トリッキー」はどんな意味で使われているのでしょうか?
手元にあった辞書で「トリッキー」を引いてみると、こんなふうに書いてあります↓
- 奇をてらったさま
- 罠やひっかけがあって油断ならないさま
例えば「トリッキーな髪型」や「トリッキーな方法」、そしてテストなどの引っ掛け問題を「トリッキーな問題」と言うこともあると思います。
以前、日本のテレビを見ていたら「トリッキーなグルメ」が取り上げられていましたが、これは「普通ではない、奇をてらった」という意味で使われていました。
みなさんがイメージする「トリッキー」もこんな感じでしょうか?
英語の “tricky” の意味は、これとはちょっと違うんです。
英語の “tricky” の意味
英英辞書で “tricky” の意味を調べてみると、こう書いてあります↓
requiring skill or caution: difficult to do or deal with
(The Britannica Dictionary)
そうなんです。英語の “tricky” は「難しい」とか「ややこしい」「複雑な」という意味で使われるんです。
サッと簡単にはできなかったり、注意や時間・手間が必要だったり、一筋縄ではいかないようなことを “tricky” で表します。
- It’s a tricky question to answer.
それは答えるのが難しい質問だな - ‘If you had to choose between A or B. Which would you choose?’ −’Oh, that’s a tricky one.’
「もしAかBを選ばないといけないとしたら、どっちを選ぶ?」「それは難しいなぁ」 - Finding the perfect gift can be a tricky task.
ピッタリの贈り物を探すのは時として難しい - Travelling on a plane with a toddler is tricky.
よちよち歩きの子を連れて飛行機に乗るのは大変だ - Some Japanese names are tricky for English speakers to pronounce.
いくつかの日本の名前は英語話者には発音しづらい - Risotto is tricky to make at home.
リゾットは家で作るのは難しい
ここでは「難しい」と訳していますが、日本語訳にとらわれずに「簡単にできない難しさ」があるイメージをしっかり捉えてくださいね。
“tricky” は「コツがいる」という意味も
また、”tricky” は「ちょっと工夫やコツが必要だ」というニュアンスで使われることもあります。
以前、娘の幼稚園で収納棚の引き出しを開けようとしていた時のことです。引き出しを引いても、何かが引っかかっている感じで開きませんでした。ガタガタやっていると先生が来て、こんなふうに言ったんです。
- Oh, let me do it. It’s a bit tricky.
直訳すると「(開けるのが)ちょっと難しいのよ」ですが、この場合は「開けるのにちょっとコツがいるのよ」みたいな意味になります。
これも「一筋縄ではいかない、スッと簡単にはできない」というニュアンスを感じ取ってくださいね。
人を主語にした “tricky”
これまで紹介したのは「物ごと」が “tricky” の場合ですが「人」が主語になるとちょっと様子が変わります。
- He is tricky.
と言うと、人を騙すような「ずる賢い」といったニュアンスになります。「人をだます、欺く」といった “trick” の意味を知っているとイメージしやすいですね。
ただ、”tricky” は主語を物事にして使うことがとても多いと個人的には感じるので「サッと簡単にできない難しさ」のニュアンスを掴んでおくことが大切だと思います。
「奇をてらった」という意味で使うと和製英語になってしまうので注意してくださいね!
■”tough(タフ)” で表す「難しい」はこちらのコラムで紹介しています↓