英語はコミュニケーションのツールなので、ネイティブレベルの英語力を目指す必要はないと言われることも多いですよね。
私もそう思います。ネイティブレベルがどのレベルを指すかは別の問題として、ネイティブレベルの英語力がないとコミュニケーションができないなんてことはまずないと思います。
でも、だからと言ってネイティブが使う英語表現を学ぶ必要がないかというと、私はそれはちょっと違うかなぁと思います。「ネイティブレベルの英語力」と「ネイティブが使う表現」は同じものではないからです。
今回は、15年間ニュージーランドで暮らした私の経験から、ネイティブが使う表現を学ぶ必要性を書いてみたいと思います。
日刊英語ライフでネイティブ表現を紹介している理由
日刊英語ライフでは、私が実際にネイティブから見聞きした表現の中から、これは役に立ちそうだなと感じたフレーズや単語の意味・使い方などを紹介しています。
すると「ネイティブの真似なんかしなくていい」「そんなの知らなくても困らない」という意見をいただくことがあります。
日本で日本語だけを使って生活をしていて、いつ使うかもわからない時のためならネイティブ表現を覚える必要は全く無いと思います。それは私も賛成です。
でも、日刊英語ライフでネイティブの表現を紹介し続けているのには理由があります。
海外で生活する人・働く人の役に立てたら嬉しいと思っているからです。使うとカッコイイからではありません。
英語圏の国で生活をしたり、もしくは日本でも生活に英語が必要となると、ネイティブが使う表現を知っておくメリットはとても大きいと思います。
ネイティブが使う表現を学ぶメリット
ネイティブがよく使う表現を学ぶ最大のメリットは、
相手の言っていることが飛躍的に分かりやすくなる
だと思います。表現を知ることによって「聞き取れる」ようになるんですね。
私はニュージーランドに渡航して、まず語学学校と専門学校に通ったのですが、そこで英語力(特に会話力)の伸びを実感することは正直ありませんでした。
ところがその後、奇跡的に就職できた宿泊施設では、フロント業務はもちろん全て英語、併設のカフェとレストランでも働いていたので接客は全て英語という環境でした。
いよいよ自分の英語力がこのままではマズいと思い、必死になってお客さんや同僚のネイティブスピーカーが使っている英語表現を耳をダンボにして聞いてメモし、映画の中の使えそうなフレーズなんかもノートに書き出して覚え、実際に使ったりしていました。
そんなことを続けていると、いつの間にか「お客さんが言っていることが分からなかったらどうしよう…」という恐怖感がなくなってきたんです。するとお客さんとの会話も楽しめるようになり、その会話の中からまた自分の知らない英語表現を学び、というふうにいい循環が生まれました。
ネイティブが使う表現を知らなくてもコミュニケーションは可能ですが、知っているとコミュニケーションがスムーズになることは間違いないです。
「ネイティブ表現=難しい、特別」とは限らない
ネイティブ表現と言うと「難しい表現、ちょっと変わった言い回し」というイメージがあるかもしれませんが、実はそうではない「単語自体は簡単だけど日本人が知らない言い回し」もたくさんあります。
例えば、道で知り合いにばったり会った時に聞かれる「どこ行くの?」は “Where are you going?” 以外にも、“Where are you off to?” なんかもとってもよく使われます。
こんな、簡単な単語ばかりでも日本人にはちょっと分かりにくい表現って意外と多いんです。それらも「ネイティブ表現は学ぶ必要ない」と切り捨ててしまえばそれまでですが、彼らにとってはそれらは特別でも何でもない日常で使う表現なんです。
そして、これは私の経験から感じたことですが、ネイティブは相手が非ネイティブだからといって簡単な表現を使ってゆっくり話してくるわけではありません(よっぽど意思疎通に支障がある場合を除いて)。
英語の先生・講師は別として、町で買い物をする時の店員さんや生活に必要な銀行・郵便局・各種の業者の人たちなども、こちらがネイティブスピーカーではないと分かっても話し方を変えたりすることはほぼありません。
そんなことからも、彼らが普段使っている表現を学ぶということはコミュニケーションにおいてとても大事だなと私は感じています。
ネイティブ表現を学ぶのと同じくらい文法も大事
かと言って、ネイティブ表現は短期間で身につけられるものではありません。これは実際に地道にやっていくしかないかなと思います。
そして実は、ネイティブの表現を学ぶのと同じぐらい大事なことがあります。それは【文法を学ぶこと】です。
英語の勉強法は、英語を使って何をしたいかによって変わってきますが、目的が何にせよ最低限の文法だけは絶対に必要だと思います。
その理由は文法がぐちゃぐちゃだと、相手に正しく伝えることができないからです。
さらに海外で英語を使って働くとなると、言いたいことがある程度伝わればいいや、というわけにはいきません。
これは私の実体験ですが、英語が拙すぎると相手にしてもらえません。接客業では多少英語が拙くてもお客さんは辛抱強く聞いてくれることもあります。が、時には「あなたの言っていることは分からない。英語が話せる人を出して」とハッキリ言われることだってあります。めちゃくちゃショックですが、現実は意外とシビアです。
文法の勉強はつまらないかもしれませんが、海外で暮らして働いて感じたことは、自分が言いたいことを正しく相手に伝えるために文法はとても大切だということです。
私がおすすめするのは、英語で書かれた文法書『English Grammar in Use』です。シンプルな表現でとても分かりやすく解説されているので、あぁそういうことか!という気付きがたくさんありますよ。例文も実際に生活で役立つものばかりです。
ただ、これだけを最初から順にこなしても頭に入りにくいので、ネイティブ表現を学ぶのと並行して使っていくといいと思います。その際の私のおすすめの使い方は2通りあって、
- 巻末にあるStudy Guideをやってみて、間違えたり分からなかったユニットを学習
- 日々の英語学習で疑問に思った文法をチェック
です。English Grammar in Useは、どのユニットから始めても大丈夫なように作られているので、自分に足りていない部分=必要なところだけ英文法辞書のように使うのがいいかなと思います。特に、2番の使い方をしていくと「あ、この表現はこの文法だからこうなってるのか」という発見があって楽しいです。
これからも役に立ちそうなネイティブが使う表現を紹介していく予定ですので、また読みに来てもらえれば嬉しいです。
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