“hard g(ハードg)” と “soft g(ソフトg)” という言葉を耳にしたことはありますか?
直訳すると「かたいg」と「やわらかいg」と、意味がイマイチよく分かりません。
実はこれ、発音を説明するときにネイティブが使う表現で、他にも “hard c” と “soft c” もあるんです。どんな意味なのか見てみましょう!
“hard” と “soft” の意味
「hard=かたい」「soft=やわらかい」は物の手触りを表すときによく使われますよね。
でも、これらは音にも使われることがあって、”hard” を英英辞書で引いてみると、こんなことが書かれています↓
a hard ‘c’ is pronounced /k/ rather than /s/; a hard ‘g’ is pronounced /g/ rather than /dz/
(ロングマン現代英英辞典)
“hard c” と “hard g” が出てきましたね。
実は「c」と「g」の子音の発音はそれぞれ2種類あります。そのそれぞれの音がどんなものかを表すときに “hard” と “soft” が使われるんです。例えば、
- The word ‘germ’ is pronounced with a soft g.
- How do you pronounce ‘Gillian’? Is it a hard g or a soft g?
みたいな感じです。では、具体的にどんな音のことを言うのかを見てみましょう。
“hard g” と “hard c” とは
まずは “hard” の音から。”hard g” と “hard c” がどんなものかを見てみましょう。
これは発音がそれぞれ /g/ と /k/ になる音です。例えば、
【 hard g】game、gas、good、goat、gun、gum
【 hard c】cat、card、cold、coffee、cup、cut
などがあります。”hard g” と “hard c” の特徴は、後ろに母音「a、o、u」や他の子音が続くことです(例外もあります)。
■”hard g” の音の出し方はこちらで確認できます↓
■”hard c” の発音はこちら↓
どちらも息が詰まるような、喉の奥から出てくる短くてかたい音ですね。/g/ も /k/ も、日本語の「グ」「ク」とは違います。
“soft g” と “soft c” とは
次は “soft” のほうを見てみましょう。”soft g” と “soft c” とは、それぞれ /dʒ/ と /s/ になる音です。
これもいくつか例を挙げてみると、
【 soft g】orange、gentle、magic、ginger、giraffe、gym
【 soft c】face、police、pencil、city、bicycle、icy
などで、後ろに「e、i、y」が続くとき、つまり「ge、gi、gy」になると “j” の /dʒ/ の音、「ce、ci、cy」は /s/ の音になります(例外もあります)。
■”soft g” の発音はこちら↓ 日本語の「ジ」とは唇の形も息の出し方も違います。
■”soft c” の発音はこちら↓
“Maggie” は “soft g” か “hard g” か
先日、この “hard g” と “soft g” がオーストラリアとニュージーランドでニュース記事になりました。
それは、日本では「マギーブイヨン」でおなじみのブランド “Maggi” の読み方です。
“hard g”(マギー)なのか、”soft g”(マッジィ)のかという内容だったのですが、ニュースのきっかけになったのが、このCMです↓
結論から言うと、ニュージーランドでは上のように “soft g” で「マッジィ」のように発音しますが、オーストラリア人の中には “hard g” だと思っていたので「マッジィは変だ!」という人もいたようです。
私も日本の「マギー」という読み方に慣れていたので、初めてニュージーランドで「マッジィ」と聞いたときにはとてもビックリしました。ニュース記事によると、アメリカでは “hard g” の音で「マギー」と読むそうですよ。
「ハードg、c」と「ソフトg、c」
日本人は “hard g” や “soft g” という言葉を知らなくても、単語を見て無意識のうちにちゃんと発音できていることが多いと思います。
なので、特に用語として覚える必要はないかもしれませんが、音の違いを説明するときに使うので、知っておいて損はないと思います。
また、後ろに続く母音で読み方が変わったりするルールは、初めて見る単語の読み方を推測できたりするので、覚えておくと役に立ちますよ!
発音にまつわるコラム
■アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いはこちらで紹介しています↓
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