何となく発音しても通じるので問題ないけど、カタカナ英語っぽく聞こえてしまう音というのがいくつかあるなぁと思います。
その1つが今回取り上げる、アルファベットの「i」の発音です。
発音記号で書くと /ɪ/ になる「i」の音は、カタカナの「イ」と同じではないんです。
「i」の発音は「イ」ではない
“listen” が「レッスン」みたいに聞こえたり、数字の “six” が「セックス」に聞こえた経験はありませんか?
うちの娘はまだ耳だけで音をひろって英語を書いている年齢なのですが、ノートに “ET” と書いていたことがあって「え?E.T.?」と思ったら、”it” のことでした(笑)
実は、これらは「i」の発音によるものなんです。
この「i」がカタカナの「イ」とは違う音なので「エ」みたいに聞こえてしまうことがあります。
それぞれの単語の発音記号を見てみると、
- listen /ˈlɪs.ən/
- six /sɪks/
- it /ɪt/
です。全部の単語に大文字のIがちっちゃくなったような /ɪ/ という発音記号が入っていますよね。これが今回のテーマ【短母音のi】です。
短母音 i(ショートi)の発音
/ɪ/ の音は「短母音のi」とか「ショートi」と呼ばれます。
日本語の「エ」の口の形で「イ」と言ったときの音、とよく言われますが、私個人的には口と喉をリラックスさせて口の奥のほうから出てくる「イ」だと思っています。
日本語の「イ」は口先で発音するカタい音ですが、英語の /ɪ/ の音はもっと奥の方で響く音で、音も「イ」より暗いです。
カタカナの「イ」で発音しても通じることがほとんどですが、実際にはイにも聞こえるし、エにも聞こえるみたいな微妙な音で「イ」と同じではありません。
以前、イッテQの『出川イングリッシュ』で出川さんが、”Kids gotta eat.” と言われたのを「ケツからイート?」とリピートしていて大爆笑しましたが、これもショートiのせいなんです。”kids” の発音は「キッズ」ではなく「ケッズ」みたいに聞こえることが多いです。なので出川さんには「ケツ」に聞こえたんですね。出川さん、いい耳してます!
と言いつつも、発音はやっぱり動画で見たり聞いたりした方がわかりやすいですよね。以下の動画がめちゃくちゃわかりやすいなぁと思ったのでぜひご覧ください↓
「short i」をきちんと発音できた方がいい理由
/ɪ/ の音はカタカナの「イ」で発音しても通じるので、そのままスルーしてしまっている人も意外と多いと思います。
ただ、他の発音ができていてもこの音がカタカナの「イ」のままだと、全体的にものすごくカタカナ英語に聞こえてしまうんです。
その理由は、この /ɪ/ の音はめちゃくちゃよく使われるからです。とにかくいろんな単語に入っています。例えば、
- it /ɪt/
- in /ɪn/
- if /ɪf/
- will /wɪl/
- did /dɪd/
- this /ðɪs/
- his /hɪz/
- -ing / -ɪŋ/
- here /hɪər/
そして、よく使われる動詞にも入っています。
- think /θɪŋk/
- give /ɡɪv/
- live /lɪv/
- visit /ˈvɪz.ɪt/
- sit /sɪt/
もちろん形容詞や名詞にもたくさん出てきます。
- big /bɪɡ/
- sick /sɪk/
- pink /pɪŋk/
- city /ˈsɪt.i/
- trip /trɪp/
- milk /mɪlk/
- chicken /ˈtʃɪk.ɪn/
- fish /fɪʃ/
- animal /ˈæn.ɪ.məl/
- music /ˈmjuː.zɪk/
あと、個人的に「イ」の音と全然違うなぁと強く感じるのは、”Nick” や “Bill”、”Tim” のような名前を呼ぶときです。/ɪ/ を意識しないと薄っぺらい発音になってしまいます。
スペリングが「i」ではない /ɪ/ の音
アルファベットの「i」が /ɪ/ の音になることが多いですが、必ずしもそうとは限りません。例えば、
- been /bɪn/(もしくは /biːn/)
- busy /ˈbɪz.i/
- excuse /ɪkˈskjuːz/
- enough /ɪˈnʌf/
- English /ˈɪŋ.ɡlɪʃ/
- gym /dʒɪm/
- system /ˈsɪs.təm/
などはスペリングは「i」ではないものの、/ɪ/ の音が入っています。
繰り返しになりますが、今回紹介した/ɪ/ の音は日本語の「イ」で発音しても通じます。ただ、きちんと発音できるとグンと英語っぽく聞こえるので、これまで何となくスルーしていた方はちょっと意識してみてもいいかもしれませんね。