以前テレビを見ていた時に、フィリップ・シーモア・ホフマン(Philip Seymour Hoffman)さんの突然の訃報がニュースになっていました。
『パッチアダムス』や『スーパーチューズデー』などに出演し、有名な俳優さんでありながらも、失礼ながら私の中では大スターのイメージはなく、いぶし銀的な笑顔の素敵な俳優さんというイメージだったので、ドラッグの過剰摂取で亡くなったというニュースにビックリしました。
そのニュース記事をインターネットで読んでいて “trip” という単語の使い方が興味深かったので、今回は単語の意味にまつわるお話をしてみたいと思います。
trip = 旅行
「tripの意味は?」と聞かれると「旅行」が真っ先に思い浮かびますよね。
“a day trip” は日帰り旅行、”a business trip” は出張、旅行に出かける人には “Have a nice trip!” と言ったりもします。
では、他にどんな意味があるのでしょうか?
考えてみてもあまり浮かんできません・・・
冒頭で少しふれたニュース記事によると、フィリップさんは亡くなる一ヶ月前にバーで飲んでいて、それを見ていた人が当時の様子をこう語っています。
He apparently was with a woman at the bar and made “multiple trips” to the bathroom – which alerted the fellow patron’s attention.
意訳するとこんな意味です。
「彼は見たところ女性と一緒にバーにいて、トイレに “multiple trips” をしていたため、周りの注意をひいた」
という感じですかね。”multiple trips” はそのまま残してあります。
トイレに何回も「旅行」する?もちろんトイレには旅行しません。
ちょっと想像をふくらませてみる
旅行という基本的なイメージはそのままで、ちょっと想像を膨らませてみるとどうでしょうか?
旅行する→移動する→トイレに移動する→トイレに立つ
こんなイメージが想像できませんか?
“trip” には実は「短い距離の移動」という意味もあったのです。英英辞書には、
an act of going to a place and returning
とありますが「ちょっと行って帰ってくる」というイメージですね。
このイメージでもう一度、記事にあった文章を読んでみるとどうでしょう?
「彼はバーで何度も何度もトイレに行って、それが他のお客さんの注意を引いた」となりますよね。
英単語は一つ意味を知っていると、そこから派生する意味で使われている場合にも想像でなんとなく分かる場合があります。
もちろん、全然違う意味を持っていることもあるので注意が必要ですが、分からない単語があった時に意味を想像しながら英文を読んでいくのも楽しさの一つだと思います。