日本語は「曖昧な表現の言語」で、英語は「YesかNo ハッキリした言語」だと思っていませんか?
確かに、日本語ではYesかNoではなく、ちょっとぼかすのが好まれることがあります。
例えば、誰かが手料理を振る舞ってくれた時、あまり好きではない食べ物が出されたら「ちょっと苦手なんです…」のように、やんわり伝えたりしますよね。
では、英語ではそんな時に “I don’t like this.” とハッキリ言うのでしょうか?
実は英語でも、やんわり「嫌い」を伝える表現がよく使われるんです。
やんわり “No” を伝えるための法則
- 嫌い
- 好きじゃない
- あまり好きじゃない
これらは、程度の差こそあれ、どれも基本的には「嫌い」を表していますよね。
では、この中で一番きつく感じる言い方はどれですか?
「嫌い」ではないでしょうか。ストレートすぎて強い感じを受けます。
「好きじゃない」は、「嫌い」よりも少しやわらかい印象だと思います。
これは「嫌い」の反対語を使った上で「そうではない」と打ち消している、遠回しな表現ですよね。遠回しに言うほど柔らかい印象になる、という仕組みです。
実はこの法則は、英語でも当てはまるんです。
特にネガティブなことを言う時ほど、遠回しな表現はとてもよく使われます。
「嫌い」は “hate” ではない
「嫌い」を “hate” と言ってしまう人がいますが、“hate” はとても強い「大っ嫌い」なので滅多なことでは使いません。
親に叱られた小さい子が、親に向かって “I hate you!” と言ったりしますが、多くの親は子どもが “hate” という単語を使うと注意します。
食べ物や物事を「嫌い」と言う場合は “hate” と言うとかなりきついので、
- I don’t like 〜.
という言い方が一般的です。
でも、相手に失礼にならないように言いたい場合には、少しストレートすぎます。
そこで「嫌い」「好きじゃない」「あんまり好きじゃない」に話を戻しましょう。
3つの中で一番丁寧な感じがする「あまり好きじゃない」を英語でも上手に言えると、相手に与える印象も変わってきますよね。
「あまり好きではない」を英語で
誰かの家に招待されて、嫌いなセロリが入っている手料理をすすめられたら、“I don’t like celery.” とストレートに言うよりも、
- I don’t like celery very much.
- I don’t really like celery.
の方がやんわりとした感じが出ます。この、
not 〜 very much
not really 〜
は、英語では本当によく使われます。”very much” や “really” を特に付けなくていい場合でも、口調や印象をやわらかくするために使われたりもします。
ただ、“really” を使う場合は入れる場所に注意が必要です。
“I really don’t like celery.” と言ってしまうと「セロリって本当に嫌い」という意味になってしまいます。やんわりNoを表現したい場合は、必ず “not really” という語順になるように気をつけましょう。
■“really” の詳しい使い方は、こちらも参考にしてみてください↓
“not a big fan” で表す「好きじゃない」
それでも “don’t like” を使わずに言えると、もっとやんわりした感じになります。例えば、
I’m not a big fan of celery.
と言われたらどんな想像をしますか?
“a fan” とは、日本語で言う「私は阪神ファンです」の「ファン」です。
“a big fan” は「大ファン、すっごくファン」ということです。
直訳すると「私はそれほどセロリの大ファンではありません」ですが、つまりは「セロリはそんなに好きじゃない」という意味なんです。
日本語で「ファン」は有名人やスポーツチームに対してぐらいしか使いませんが、英語ではこういう使い方もします。
この言い方はちょっと回りくどいですが、英語っぽくて面白い表現なので、私は好きです。
ちなみに、“big” の代わりに “huge” を使って “not a huge fan” とも言いますよ。

“not my cup of tea” で表す「好きじゃない」
カラオケが好きな人もいれば、嫌いな人もいると思います。
友達からカラオケに誘われて、あんまり好きではないので断りたい場合には、こんな言い方もできるんです。
Karaoke is not my cup of tea.
なぜ紅茶が出てくるのかと言うと、世界中で親しまれている紅茶は人それぞれの好みが違うことから、もともとは自分の好みに合うものを “〜 is my cup of tea” と言ったようです。
ただ、普段の会話では “not my cup of tea” と否定形で使われることが多く「自分の好みや趣味ではない」を表す時によく使われます。なので、上の例文は「カラオケは好きではありません」という意味になります。
他にいくつか例を挙げてみると、
- He loves watching rugby but it’s not my cup of tea.
彼はラグビーを見るのが好きだけど、私は好きじゃない - Rap music isn’t my cup of tea.
ラップ音楽は私の好みではない
という感じですね。“favourite(アメリカ英語では favorite)” を使って、“〜 is not my favourite” とも言っても、やんわり「嫌い」を表せますよ。
英語にも婉曲表現はたくさんある
英語の「やんわり表現」は、今回紹介したもの以外にもたくさんあります。
時と場合によってはハッキリ言った方がいい場合もありますし、相手に失礼にならないようにしたい場合には “Sorry, …” と今回紹介したようなフレーズを使ってストレートに言うのは避けたほうがいいかもしれません。
「やんわり表現」を知らずに直球で表現してしまっても、相手はこちらの英語がパーフェクトではないのを理解していれば、それほど気を悪くすることはないかもしれません。
それでも、やんわり “No” を伝える表現一つで相手に与える印象が変わることを考えたら、少しずつでも身につけていけたらいいなと思います。
■相手の意見をやんわり否定したり、反対意見を述べる際のやんわりした表現はこちらで紹介してます↓
■“not the best” もネガティブな表現を和らげる時によく使われますよ↓