「イベント」は日本語にすっかり浸透した言葉ですよね。
では、”big event” と言えばどんな意味を想像しますか?
今回はぜひ知っておきたい英語の “event” の意味と、日本語の「イベント」との違いを紹介します。
「event=イベント」とは限らない
日本語の「イベント」とは、例えば音楽や食にまつわる催しだったり、パーティーだったり、そんな感じの楽しい「催し」「行事」みたいな意味で使う言葉ですよね。
なので、”big event” という英語表現を目にしたら、人がたくさん集まる大きな催しみたいなのを想像する人が多いのではないかと思います。日本語にすると「大きなイベント」ですもんね。
ところが、英語の “big event” とは、そうとは限らないんです。
例えば最近のニュースを見てみると、トルコ・シリアで起きた大きな地震が “big event(s)” と表現されていたり、先日ニュージーランドに大被害をもたらしたサイクロンが “massive event” と書かれている記事もありました。
これって日本語ではとても違和感がある表現ですよね。人が亡くなった震災や自然災害を「イベント」と呼ぶことは絶対にありません。
ここに日本語の「イベント」と英語の「event」の違いがあるんです。
英語の “event” の意味とは?
英語の “event” は、大きく分けて2つの意味で使われる単語です。英英辞書で見てみると、
(ロングマン現代英英辞典)
- something that happens, especially something important, interesting or unusual
- a performance, sports competition, party etc at which people gather together to watch or take part in something
と書いてあります。先に2を見てみると、これが日本語の「イベント」にあたる意味ですね。英語の “event” にも確かに「催し、行事、大会」という意味があります。”fun event(楽しい催し)” とか “school event(学校行事)”、”annual event(毎年恒例の行事)”、”sporting event(スポーツ大会)” みたいに使うので「イベント」が和製英語という訳ではありません。
ところが、最初に来ている1番の定義はちょっと違います。これは単に「出来事」という意味で、特に「重要な出来事」とか「大きな出来事」のことを表していて、これが “event” の基本的な意味なんです。
そうすると、大地震が “big event” なのも納得ですよね。世界中でニュースになる重大な出来事でした。ニュージーランドのサイクロンの報道には、
- devastating event:壊滅的な被害をもたらす出来事
- extreme/severe weather event:極端な/猛烈な気象事象(異常気象)
といった表現がありましたが、これらはとてもよく出てくる “event” の使い方で、大雨・洪水・大雪・ハリケーン・サイクロン・竜巻・熱波などの異常気象が発生するとニュースではよく “severe weather event” と表現します。
■ハリケーンとサイクロンの違いはこちらで紹介しています↓
また、”event” は「事件」を表す時にも使われる単語で、アメリカでよくニュースになる銃乱射事件も英語のニュースでは “tragic event(悲惨な事件)” と表現されたりします。
“event” の「出来事、事件」という意味を知っていれば何てことない表現ですが、日本語的な「イベント」の意味しか知らないとドキッとする表現ですよね。
“in the event of 〜” の意味とは?
最後にもう一つだけ “event” のニュアンスがわかりやすい表現を紹介したいと思います。
私がまだ英語の “event” の意味をよく分かっていない時に見て衝撃を受けたのですが、海外のエレベーターに以下のような注意書きがあるのを見たことはありませんか?
- IN THE EVENT OF FIRE DO NOT USE LIFTS
もちろん “event of fire” は「火のイベント」ではありません。”in the event of 〜” とは「〜の場合には(もし〜が起きたら)」という意味になるんです。
なので、上の注意書きは「火事の場合はエレベーターを使わないでください」ということなんですね(”lift” はイギリス英語で「エレベーター」を表します)。
この “in the event of 〜” は「〜」の部分にいろんな単語が入ります。例えば、
- in the event of an emergency:緊急事態の場合は
- in the event of an earthquake:地震発生時には
- in the event of a disaster:災害発生時には
- in the event of a fire:火災発生時には
- in the event of a cancellation:キャンセルの場合は
といった感じで「万が一〜の場合は」といったニュアンスで使われるフレーズです。
「event=イベント」の意味しか知らなかったよという方は、ぜひこの機会に今回紹介した英語の “event” の意味も覚えておいてくださいね。結構よく出てきます!