簡単な単語を使いこなす、これは会話上達のための大事なポイントの一つです。でも、これって簡単なようで意外と難しいんですよね。
今回のコラムで取り上げるのも、とってもシンプルな “short” という単語です。
「short=短い」はよく知られた意味ですよね。ちなみに、下の写真のような「ショートパンツ/短パン/ハーフパンツ」を英語では “shorts” と言います↓

ところが、“short”は「短い」以外の意味でも日常会話でよく耳にするんです。それはどんな意味だと思いますか?
“You’re $2 short.”、“How much am I short?” の意味は?
まずは、ちょっと面白い動画を紹介したいと思います。
ニュージーランドのある金融機関が行った社会実験の動画なのですが『Good Kiwis. Do they exist?(いいニュージーランド人は存在するのか?)』というタイトルの、見ていてあったかい気持ちになれる動画です。
舞台はスーパーマーケットのレジ。役者さんが演じる年配の男性がレジで困っているのを見た、列の後ろに並んでいるお客さんがターゲットです。
それでは、どうぞ(スマホで見ている方は別ウィンドウが開いたら「Open in browser」をクリックすると見られます)↓
Good Kiwis. Do they exist? We did a social experiment to find out…https://t.co/GC12NGkIKC
— Co-operative Bank (@CoopBankNZ) April 24, 2016
いかがでしたか?セリフが全部は分からなかった方も、何が起こっているのかはなんとなく理解できたと思います。
それでは、“short” が持つもう一つの意味はすでにお分かりですね。
「不足した」を意味する “short”
動画に出てきた “You’re 2 short.” のような “short” の定義は、英英辞書にこう書いてあります↓
[not before noun] not having enough of something; being without something
Oxford Advanced Learner’s Dictionary
「十分持っていない=足りない、不足した」ですね。“short” はこの意味でもよく使われるんです。
なので、ビデオの中に出てきたフレーズは、
- You’re $2 short.
2ドル足りません - How much am I short?
いくら足りませんか?
という意味だったんですね。「足りない」を英語で言うと?と言われるとちょっと悩んでしまいそうですが、実はこんなに簡単に言えてしまうんです。
ここで、1つだけ注意したいポイントがあります。
日本語では「私は」という主語を言わずに、単に「2ドル足りません」と言うので、英語にする時に主語が分からなくなったり、“short” をどう使ったらいいのか分からなくなってしまいがちです。
せっかく “short” が「足りない」という意味だと知っていても、それでは使える表現にならないので、この際 “I’m $2 short.” を丸ごと覚えてしまいましょう!
「ショートブレッド」の “short” の意味は?
突然ですが、ショートブレッドというお菓子をご存じですか?バターたっぷりのサクッホロッとしたクッキーのようなもので、私はショートブレッドが大好きです。

「ショートブレッド」は英語でも “shortbread” と言いますが、直訳すると「短いパン」というこのネーミングがずっと不思議でした。見たところ特に短いと感じることもない形なのに、何が “short” なんだろうと疑問に思っていました。
実は、“short” には「短い」「不足している」以外に、さらにこんな意味もあったんです↓
containing a high proportion of fat to flour and therefore crumbly
オックスフォード新英英辞典
お菓子作りで “short” というのは、粉に対してバターなど脂分の割合がとても高く、ポロポロ崩れやすいようなものを指します。
“short dough” と言えば、カロリーを知りたくないほどバターなどの脂分が恐ろしくたっぷり入っている生地のことです。
ショートブレッドも小麦粉・バター・砂糖の割合が3:2:1と、かなりバターが多めですが、そのおかげでリッチな味&サクッホロッとした食感になって美味しいんですね。
「短い」だけじゃない “short”
ちょっと話が逸れましたが、今回は誰もが知っている単語 “short” にスポットを当ててお届けしました。
「短い」という意味しか知らなかった方は、これを機にまずは “I’m $2 short.” から覚えてみてくださいね。
また、それだけではなく、動画の中の「私が払うよ」と申し出る時の表現や他のやりとりも参考になる表現が多いので、もう一度じっくり見てみて実際の会話にぜひ役立ててください!