先週、日本のニュースを見ていると目に入った言葉がありました。
それが今回取り上げる「デブリ」です。
福島第一原発のニュースで出てくることの多い「デブリ」ですが、その意味と使い方、英語での正しい発音を紹介します。
「デブリ(debris)」とは
原発関連のニュースでは「燃料デブリ」という言葉がよく出てきますが「デブリ」とは英語の “debris” のことです。
これは「(破壊された物の)破片、がれき」という意味で、小さいピースに破壊された「残骸」といったイメージです。
英語での定義は、
pieces of wood, metal, brick, etc. that are left after something has been destroyed
(オックスフォード現代英英辞典)
なので例えば、事故・ガス爆発などで散らばった破片やがれき、地震で崩れた建物のがれきなどが “debris” にあたります(建物のがれきには “rubble” もよく使われます)。
他にも、豪雨で浜に流れ着いた流木、台風や竜巻・嵐で飛ばされて破壊された物の残骸・破片なども “debris” と呼ばれます。
また、日本語でも「スペースデブリ」と言うそうですが、地球の軌道上に残された、役目を終えた人工衛星や切り離したロケットの不要部分、爆発や衝突で発生した破片などの「宇宙ゴミ」を英語で “space debris” と言います。
“debris” は確かにゴミ、不要になった物ですが、本来これ自体は「(物の)破片、残骸」という意味の単語です。
“debris” の使い方
例えば先月、ユナイテッド航空の旅客機のエンジンが飛行中に炎上し、エンジンなどの破片が住宅地に落下したというニュースがありましたよね。
その時のニュースに “debris” がたくさん使われていました↓
- US flight suffers engine issue mid-flight, scatters debris across Colorado city −Stuff
- Debris falls from plane during emergency landing near Denver −ABC News
“debris” は「〜をばらまく、まき散らす」を表す “scatter” という動詞と使われることも多いです。日本語でも「破片が散らばる」みたいに言いますよね。
他にも、”debris” は事故や災害などのニュースによく出てきます。
- Debris from the explosion was thrown more than 200m from the explosion site.
爆発によるがれき・破片が200m以上先に飛ばされた - A woman was rescued after being trapped under debris for 30 hours.
瓦礫の下敷きになった女性が30時間後に救助された - About 5 million tonnes of tsunami debris is estimated to have washed out into the ocean after the 2011 Japan quake.
東日本大震災の津波でおよそ500万トンのがれきが海に流出したとみられる
また、福島第一原発の英語ニュースにも “debris” はこんなふうに出てきます↓
- According to local reports, there is still 900 tonnes of melted reactor debris inside three reactors that experienced meltdowns. −New Zealand Herald
- A decade after the accident, Japan doesn’t yet have a plan to dispose of the highly radioactive melted fuel, debris and waste at the plant. −ABC News
“reactor debris” は直訳すると「原子炉デブリ」で、これが溶け落ちた核燃料デブリを指しています。
“debris” の発音
“debris” はこのまま読むと「デブリス」と読んでしまいそうですが、この最後のsは発音しません(もともとはフランス語由来の単語のようです)。
英語の発音は、イギリス英語とアメリカ英語でちょっと違います。
イギリス英語は /ˈdeb.riː/ なので最後がちょっと伸びるものの、あたまにアクセントがあって日本語で言う「デブリ」と似ています。
一方、アメリカ英語ではアクセントが後ろに来て、/dəˈbriː/ となります。