「マラソンにチャレンジしたい」
「ダイエットにチャレンジする」
「英語にチャレンジする」
こんなふうに「〜にチャレンジする」という日本語は、英語の “challenge” から来ているんだろうなと想像できますよね。確かに英語には “challenge” という動詞があります。
ところが、それは本来の英語の “challenge” の意味とはちょっと違うんです。
英語の “challenge” の意味
日本語にすっかり浸透している「チャレンジする」という言葉。でも「マラソンにチャレンジしたい」をそのまま “I want to challenge a marathon.” と言っても通じないと思います。
日本語の「チャレンジする」は「何か新しいこと・難しいことに挑戦してみる」という意味で使われますが、そういう場合は英語では “try” で表すことが多いです。
例えば「マラソンにチャレンジしたいと思っています、チャレンジします」なら、
- I’m thinking about trying a marathon.
- I’m going to run a marathon next year!
みたいに “challenge” は使いません。
では “challenge” はどういう意味で使われるのか、大きく2つ挙げると英英辞書には、
ロングマン現代英英辞典
- to refuse to accept that something is right, fair, or legal
- to invite someone to compete or fight against you, or to try to win something
と書かれています。つまり、
- 異議を唱える
- (人)に挑む
です。ポイントは上の2つ目の定義です。”challenge” を動詞で使う場合には「人に挑む」という意味で使われることが多いんです。
“challenge” の使い方は?
「人に挑む」という意味の “challenge” で私が印象に残っているのは、ずいぶん前に流行った(流行るという言葉が適切なのかは分かりませんが) ALSバケツチャレンジです。
覚えていますか?ALSという難病の認知度を高めたり寄付を募るチャリティ活動で、著名人らが氷水を頭からかぶって、次に誰か3人を指名するという形で一大ブームを巻き起こしました。
その動画に必ず出てきたのが、動詞の “challenge” です。誰かに挑戦状を叩き付けるというイメージで、
- I’m going to challenge ◯◯(人の名前).
というふうに使われていたのが印象的です。ここでは、聞きとりやすいビル・ゲイツ氏のアイスバケツチャレンジから引用してみましょう。(45秒あたりから再生されるように設定されています↓)
- I’m gonna(=going to) challenge three more people,
と言っているのが聞き取れましたか?これで「あと(もう)3人に挑みます」という意味になるんですね。繰り返しになりますが、挑戦状を叩きつけるイメージです。
そして、指名を受けた側からも “challenge” という単語をよく耳にしました。例えば、ビル・ゲイツ氏を指名したマーク・ザッカーバーグ氏は、
- Yesterday, ○○(人の名前)challenged me to the ALS Ice Bucket Challenge. ○○, I accept your challenge.(中略)I’m gonna challenge Bill Gates,(〜 and 〜).
と言っていましたが、太字の “challenge” が動詞、その間に出てくる “challenge” は名詞ですね。
ここにも動詞の “challenge” の使い方のポイントが出てきています。それは「challenge+人+to 〜」で、これで「(人)に(〜)を挑む」を表します。
“challenging” も覚えておきたい
実は動詞の “challenge” には「〜の技量・能力を試す」といった意味もあるんです。
- I chose to study abroad to challenge myself.
自分自身の能力を試すために海外留学を選びました
みたいな感じですが、これに関連した形容詞の “challenging” もネイティブがとてもよく使うのでぜひ覚えておきたい単語です。これは「やりがいのある」という意味で辞書に載っていることが多くて、
difficult, in a way that tests your ability or determination
Cambridge Dictionary
という意味の単語です。自分の能力を試すという意味で「難しかったり大変だけどやりがいのある」を表すときに使うんですね。
例えば、仕事が簡単でやりがいがないなと感じている人が、もっとやりがいのある仕事を探しているなら、
- I’m looking for a job that’s more challenging.
もっとやりがいのある仕事を探しています
と言えるんです。
“challenging” は「大変な」「難しい」をポジティブに表現したい時にもネイティブが好んで使う単語です。例えば、仕事やビジネスで「〜するのは大変です、難しいです」と言う場合は相手にネガティブな印象を与えないように、”hard” や “difficult” よりも、
- It’s challenging to 〜.
がよく使われていると感じました。こちらも使う機会があれば会話に役立ててみてくださいね。