“lucky” という単語を聞いて、思い浮かぶイメージはどんなものですか?
宝くじが当たったら「ラッキー!」と言う人もいるかもしれないし、通勤の電車に間に合わない…と思ったら、電車が遅延していて乗れた場合も「ラッキー♪」と言えるシチュエーションですよね。
そんな「運がいい」「幸運な」「ツイてる」と訳される “lucky” ですが、実はこう訳してしまうとしっくりこない場合もあるんです。
「うらやましい」を表す “lucky”
まずは少し復習をしておきましょう。
以前に「うらやましい」って英語で何て言う?というコラムでも紹介しましたが、”lucky” は「うらやましい」を表すときにもよく使われます。
“lucky” のそもそもの定義が、
having good things happen to you by chance
(Cambridge Dictionary)
なので、偶然に「良いこと」がおとずれた時に使われます。例えば、冒頭に出てきたように、友達が宝くじに当たったら、
- Wow, you’re so lucky!
で「うらやましい!」が表現できてしまうんですね。
これは「運がいい」と訳せる “lucky” です。でも、次に紹介する “lucky” はちょっと違います。
「ラッキーな」がしっくりこない “lucky”
娘が赤ちゃんの頃にこんなことがありました。
あまりにも良い天気だったので、1歳の娘を連れて家族で海に行ったときのこと。
娘は最初、波打ち際で手で水を触って遊んでいたのですが、そのうち座り込んで遊び出してしまい、洋服もオムツも水没→そんな娘のビーチデビューに写真を撮りまくりの両親→うっかり靴が水没→爆笑となり、結果、砂浜遊びを大満喫しました。
そして、娘を着替えさせ、さて帰ろうという時に、近くにいた年配のご婦人2人がニコニコしながらこんなふうに声をかけてきたんです。
- We were watching you. You gave us a great joy. She’s so lucky to have you both.
と。「あなたたちを見ててとても楽しませてもらったわ。娘さんはあなたたちがいて “lucky” ね」ということなんですが、この “lucky” って「運がいい」「ツイてる」とはちょっと違う気がしませんか?
宝くじが当たった “lucky” と同じとは思えません…
「幸せ」「恵まれている」「〜でよかった」という意味の “lucky”
こんな、日本語で「運が良い」「ツイてる」と訳すとしっくりこない “lucky” ですが、実は英語では結構使われるんです。
例えば、家族や親しい友達に対して、
- I’m so lucky to have you in my life.
- I’m so lucky to have such amazing people in my life.
- I’m so lucky to have a friend like you.
なんて言うことがあります。また「この仕事に就けて(していて)よかった」というニュアンスで、
- I’m lucky to have this job!
というのもよく耳にします。
これらは、ただ単に「運がいい」「ツイてる」「ラッキー!」というよりは、そのことを幸せに感じて感謝する気持ちが含まれているような気がしてなりません。ナチュラルな日本語にすると「〜でよかった」がしっくりくる場合もあれば「恵まれてる」「〜で幸せ」がピッタリなこともあります。
そう考えると、ビーチで遭遇したご婦人方の言葉もストンと入ってくるし、すごく恵まれた環境にいるのに文句ばっかり言っている人に対して言う、
- You don’t know how lucky you are.
のようなフレーズもしっくりきますよね。
■「天気に恵まれる」も “lucky” を使って表現します↓
簡単なようで深い “lucky”
「lucky=ラッキー」だと思っていると、ちょっと違和感を感じる使い方に遭遇するのは、その場合に日本語では「運が良い」と表現しないからだと思います。
でも、上のように「恵まれている」も、結局は「運良く与えられる」という意味に変わりはないので、英語を勉強していると「日本語って難しいなぁ…」と改めて気付くことも多いです。
それと同時に、「恵まれている」を直訳すると “lucky” という単語はなかなか出てこないと思うので【英語→日本語、日本語→英語】という理解ではなく、できるだけたくさんの生の英語に触れて【英語→英語】で理解することも大切だなと感じます。
■「幸せ」と言えば “happy” を思い浮かべるかもしれませんが、”happy” はどちらかというと「嬉しい」を表します↓