前回のコラムでは “sorry to 〜” と “sorry for/about 〜” の違いを取り上げました。そして今回は “sorry for” と “sorry about” の違いのお話です。
以下の1と2の文には “for” と “about” のどちらが入ると思いますか?もしくはどちらでもOKだと思いますか?
- I’m sorry( )the late reply.
返信が遅くなりすみません - I’m sorry( )the mess.
散らかっててごめんなさいね
「返信が遅くなってすみません」「散らかっててごめんね」は英語で?
まずは上の2つの文の( )に入る答えから見てみましょう。
- I’m sorry for the late reply.
返信が遅くなってすみません - I’m sorry about the mess.
散らかっててごめんなさいね
これらがそれぞれ「返信が遅くなってすみません」「散らかっててごめんね」を表す時に、一般的によく使われる表現です。
ところが、”I’m sorry about the late reply.” や “I’m sorry for the mess.” が文法的に間違いかと言うと、実はそうでもないんです。”sorry for” と “sorry about” がそれぞれどんな場合に使われるのかを見てみましょう。
“sorry for” と “sorry about” の違い
英英辞書でこの違いを載せているものは見つけられませんでしたが、English Grammar in Useにはちゃんと解説がありました。やっぱりいいテキストですね。買わない理由が見当たりません。
そこには、こんなふうに書かれています↓
sorry ABOUT a situation or something that happened
English Grammar in Use
sorry FOR / ABOUT something you did
“sorry about” は【状況や何か起こった事(出来事)】が後ろに続き、”sorry for/about” は【あなたがした事】が後ろに続くんですね。
つまり【あなたがした事】に関しては “for” も “about” も、どちらも使えるということです。
とは言え、実際にネイティブが使っているのを見聞きしていると、微妙に使い分けているように感じます。
そこで次は、ネイティブの英語の先生に教わったことと、この場合にはこっちがよく使われるというパターンから、”sorry for” と “sorry about” の違いを見ていきたいと思います。
“sorry for” の意味と使い方
“sorry for” を使った文をいくつか挙げてみると、
- I’m sorry for yelling at you.
君を怒鳴りつけてごめん - I’m sorry for not being able to contact you sooner.
もっと早くにご連絡できずすみません - Sorry for the inconvenience.
ご不便をおかけして申し訳ありません - I’m sorry for the trouble.
お手数をおかけして申し訳ありません - I’m so sorry for what I said.
私が言ったこと、本当にごめんなさい
これらは自分がした何か特定の行動に対して「申し訳ない」を表しています。”sorry for” は自分が悪いと認めて謝る場合に使われることが多いように思います。
「謝罪する」を意味する単語 “apologise(apologize)” も後ろに “for 〜” を持ってきて「〜(したこと)を謝罪する」を表すんでしたよね。こんなふうに、自分に責任がある何かspecificなことに使われやすいのが “sorry for” です(”about” でも間違いではないです)。
“sorry about” の意味と使い方
次に、”sorry about” がよく使われる例を挙げてみると、
- Sorry about yesterday/the other day/earlier.
昨日/先日/さっきはすみませんでした - Sorry about that.
ごめんなさいね *軽い謝罪 - Sorry about the mess.
散らかっててごめんなさいね - Sorry about the noise in the background.
後ろの音(騒音)がうるさくてすみません - I’m sorry about your dad.
お父さんのこと、残念だったね
先ほどの “sorry for” と比べると「何に対して」という具体性に欠けるものもありますよね。
その理由は、”sorry about” が使われるのは、状況や出来事が引き起こした状況全体に対して「申し訳ない」「残念だ」を表すからです。なので、特定の「これ」というものが見えにくかったりします。
また、個人的に自分の責任ではないこと・自分がコントロールできない状況にも “sorry about” は使われるので、自分の責任ではないというニュアンスを含む場合もあります。
そこから責任の感じ方が少ないと受け取られることもあるので「心よりお詫び申し上げます」のような深刻な謝罪には向きません(その場合はフォーマルな “I/We apologise for 〜” をおすすめします)。
“sorry for” しか使えない場合
自分が何かをしてしまった場合には “sorry for/about” のどちらを使っても間違いではありませんが、実は “sorry for” しか使えない場合があります。
それは、同情を表す時です。例えば、こんなフレーズをご存知ではないでしょうか?
- I’m sorry for your loss.
ご愁傷様です(お悔やみ申し上げます) - I feel sorry for him.
彼が気の毒だ(かわいそうだ)
こんな “sorry” は必ず “for” を使うと決まっているので、”sorry about” は使えません。
■「〜してすみません、ごめんなさい」と謝る場合には “I’m sorry for doing 〜” よりも “I’m sorry (that) …” を使うことが多いです↓
■English Grammar in Useは「あれ?ここどうだっけ?」と思った時に辞書的にも使えるので、ぜひ持っておきたい一冊です。