英語の「リスニングが苦手」と言う人もいれば、中には「ヒアリングが苦手」と言う人もいると思います。
では「リスニング」と「ヒアリング」の違いは何なのでしょうか?
実は「リスニングテスト」も「ヒアリングテスト」も、英語としては両方とも正しい表現なんです。
そこで今回は「リスニング」と「ヒアリング」の違いをわかりやすく解説したいと思います!
「リスニング」と「ヒアリング」どちらが正しい?
結論から言うと、英語の「聞き取り」という意味では、
リスニング(listening)
が正解です。簡単でしたか?
今では常識かもしれませんが、昔は英語の「リスニング」のことを「ヒアリング」と言っていたので、40代より上で英語学習から遠ざかっている人は「ヒアリング」と言うことが多い印象があります。
「ヒアリング」という表現が学校教育で使われなくなって30年ほど経つそうなので、もう死語なのかと思っていましたが、このところ「ヒアリング」という表現をまだ使っている人に出会ったり、テレビで見かけたりしたので「ヒアリング」と「リスニング」の違いをスッキリまとめてみたいと思います。
「ヒアリング」とは?
まずは「ヒアリング」から。
英語で書くと “hearing” です。これは動詞の “hear” に”-ing” が付いた形ですね。なので、”hear” の意味をきちんとおさえておけば何も難しいことはありません。
“hear” の意味は、
to be aware of sounds with your ears
Oxford Learner’s Dictionary
「耳で音に気付いている(音を認識している)」と言うと分かりにくいですが、簡単に言うと「音が聞こえている」状態です。つまり「聞く」ではなく「聞こえる」です。例えば、
- I heard someone come in.
誰かが入ってくるのが聞こえた - Did you hear that?
今の、聞こえた? - Can you hear me?
(電話で)私の声が聞こえますか?
みたいな感じで、音が耳に入ってくるのが “hear” のイメージです。
実は「ヒアリングテスト(hearing test)」という言葉自体は、英語としては間違っていません。ただ、英語の「聞き取り」とは意味が違ってくるんです。
“hearing test” は「音が聞こえるかをチェックするテスト=聴力検査」という意味になります。なので、”I passed my hearing test.” は「聴力検査に合格した=聴力に異常はなかった」ということです。「(英語の)ヒアリング試験に合格した」ではありません。
こんなふうに “hearing” には「聴力、聴覚」という意味があって、聴力に関する英語表現でよく出てきます。例えば、
- hearing aid
補聴器 - I’m hard of hearing.
私は耳が遠いです、耳がよく聞こえません - My hearing isn’t very good.
私は耳が遠いです、耳がよく聞こえません
みたいな感じです。
「リスニング」とは?
次は「リスニング」の意味を見てみましょう。
これも動詞の “listen” に “-ing” が付いた形なので、”listen” の意味が分かれば “listening” の意味も自ずと分かるはずです。
動詞の “listen” の意味は、
to pay attention to what someone is saying or to a sound that you can hear
ロングマン現代英英辞典
と書かれています。”hear” との違いは一目瞭然ですね。”listen” は「誰かが言っていることや音を注意して聞く、耳を傾ける、聴く」です。つまり「聞こうと思って聞く」です。これも使い方を挙げてみると、
- Hey! Listen!
ねえ!聞いて! - Listen carefully.
注意して聞きなさい - Sorry, I wasn’t listening.
ごめん、聞いてなかった(耳を傾けていなかった、のニュアンス)
英語の聞き取りテストは人が言っていることを「しっかり耳を傾けて聞く」ので “listening test” なんですね。英語学習関連で使われる「ヒアリング」というカタカナ表現は、英語では “listening” で表します。
- I want to improve my English listening skills.
リスニングをもっと伸ばしたい - My listening skills are bad.
リスニングが苦手です
では、ここで一つ問題です。
“listening device” ってどんな「装置」だと思いますか?「補聴器」ではありませんよ。正解は…
「盗聴器」です。耳を傾けて意識して「聴く」というニュアンスがとてもよく表れていますよね。
「ヒアリング」と「リスニング」の違いまとめ
「ヒアリング」は「(自然と)聞こえること」、そして「リスニング」は「(意識して)聞くこと」です。
Camgbridge Dictionaryにはこんな解説が載っていました↓
‘Hearing’ is an event; it is something which happens to us as a natural process. ‘Listening’ is an action; it is something we do consciously.
‘hearing’ は「event(出来事)」で ‘listening’ は「action(行為)」。言い得て妙ですね。