こんな場面を想像してみて下さい。
彼氏とデートをしていると、彼は歩くのが早くてどんどん先に行ってしまいます。あなたは「これ以上少しも速く歩けないよ」と言いたいとしましょう。
この「これ以上少しも速く歩けないよ」を英語で言うとしたら、あなたならどんなふうに表現しますか?
「これ以上速く歩けない」
まずは「これ以上速く歩けない(もっと速くは歩けない)」を英語にしてみましょう。
「歩く=walk」「もっと速く=faster」を使えばよさそうですよね。
- I can’t walk faster.
で「もっと速く歩くことはできない」を表すことができます。
でも、この “faster” をさらに強調して「これ以上少しも速く歩くことはできない=これが限界」と言うとしたら、どうしますか?
実は、誰でも知っている単語1つをどこかに入れるだけで簡単に表現できるんです。
どんな単語で、どこに入れるのか想像しながら読み進めて下さいね。
「少しも」を表す “any”
その「ある単語」とは “any” です。
- I can’t walk any faster.
で「これ以上少しも速く歩けないよ」になります。この “any” の使い方は英英辞書によると、こう説明されています↓
[usually in questions and negatives] used before the comparative form of an adjective to mean ‘even a small amount’
ロングマン現代英英辞典
疑問文や否定文で使われるというのがポイントなのですが、この “any” は【any+比較級】という形でよく出てきて「少しでも」とか「いくらか」といった意味になります。
“I can’t walk any faster.” の場合、”any” が入ることによって、”I can’t walk faster” よりも「少しでも早く」が強調されることになるので「これ以上少しも速く歩けない」となるんですね。
【any+比較級】の使い方
何だか理屈っぽくて、少し難しそうなこの【any+比較級】ですが、会話の中でもよく使われるんです。
例えば、ゆっくり走るタクシーの運転手さんに「もう少しスピード出せますか?」と言いたい場合にも、
- Can you go any faster?
なんていうふうに言えます。
また、気分がすぐれなくて休んでいた人に、
- Do you feel any better now?
と聞けば「さっきよりも良く」を強調した「気分は少しはよくなりましたか?、いくらかはよくなりましたか?」という意味になります。
他には、電車が遅れていて約束に遅れてしまった場合に「これ以上早く来ることはできなかったんだ」と言い訳したい時なんかにも使えますよ。
- I couldn’t get here any sooner/earlier.
と言うと「これ以上少しも早く来ることはできなかった」という強調したニュアンスが表せます。
疑問文・否定文の【any+比較級】
こんな “any” の使い方は学校で教わらなかったような気もします。それだけに、このコラムを読んだだけではイマイチ使い方がピンと来ないかもしれません。
しかも “any” は日本語に訳しにくい単語で、この使い方も疑問文・否定文でしか登場しないので、なかなかニュアンスが掴みにくいと思います。
でも、この “any” の使い方は日常生活の中で耳にする機会が結構あるので、ちょっと頭の片隅に覚えておいて、次にこの “any” の使い方に出会った時に思い出してもらえればいいなと思います。