最近、日刊英語ライフのインスタグラムとfacebookで英語のなぞなぞを紹介しています。
そこで先日紹介したのが、こんななぞなぞです↓
- Forward I am heavy, but backward I am not. What am I?
ここに “forward” と、その反対語の “backward” という単語が出てきていますが、いただいた回答を見ていると、”forward” と “backward” の意味を勘違いしている方が多いのかもしれないと感じました。
そこで今回は基本的な “forward” と “backward” の意味と使い方をおさらいしてみたいと思います。
“forward” は「フォワード」で覚えない方がいい
皆さん、”forward” という単語で真っ先に思い浮かべるイメージはどんなものですか?
日本語に浸透している言葉に「フォワード」がありますよね。例えば、サッカーやラグビーには「フォワード」というポジションがあります。
そのイメージで「forward=前、前部」という意味で覚えてしまっていませんか?
“forward” にはもちろん「フォワード(の選手)」という名詞の意味もありますが、基本的には副詞として使われることがとても多い単語なんです。
これは “backward” も同じで、まずは副詞の基本の意味を覚えておけばOKだと思います。
副詞の “forward” の意味とは?
“forward” のイメージは極端に言ってしまうとたった1つです。それは、
前へ(前に)
です。ポイントは「前」「(何かの)前の部分」という位置を表すのではなくて、前向きの矢印がついた「前へ」です。つまり、動きの方向を表す単語なんですね。イメージはこんな感じです↓
“forward” の意味は、単語の成り立ちを見ても分かりやすいです。
“-ward” で終わる単語は他にもいくつかありますが、これらは以前に “onward” ってどんな意味?のコラムで紹介したとおり「〜の方向へ」という意味を作ります。”for” は “fore(前、前部)” です。”forehead” は「頭の前部」なので「額、おでこ」を表します。
なので「for+-ward」は「前の方向へ→前へ(前に)」という意味になるんです。
繰り返しになりますが、これは動きの方向を表す単語です。
ちなみに、”forwards” も副詞の “forward” と意味は同じです。sがつくのはイギリス英語の特徴です。
“forward” の使い方
“forward”(と “backward”)の使い方を例文をあげながら見てみましょう。まずは、物理的に「前へ(後ろへ)」を表す一番基本的な使い方です。
- The soldiers slowly moved forward.
兵士たちはゆっくり前に進んだ - Kangaroos can’t jump backwards.
カンガルーは後ろにジャンプできない
物理的な「前へ」以外にも、進んでいく方向の「前へ、先へ」を表すこともできます。
- This is a big step forward in my career.
これは私のキャリアにおいて大きな一歩(前進)だ - Without them, the project can’t go forward.
彼らなしに計画は先に進まないよ
20年ほど前に『ペイ・フォワード(原題:Pay it forward)』という映画がありましたが、この “pay it forward” とは「自分が受けた善意(恩)を他の誰かに渡すこと」で、善意や恩を「先へつないでいく」といった意味です。「恩返し」ではなく「恩送り」と言われたりもします。
例えば海外でよくあるのが、ドライブスルーやコーヒーショップでお会計をしようとしたら、自分の前にいたお客さんが自分の分を支払ってくれているみたいなシチュエーションです。その人が次の人の分を支払ってあげると “pai it forward” になります。これも「先へ」のイメージですね。
↓実際にアメリカのマクドナルドであった “pay it forward” のニュース動画です。
そして、”come forward” もニュースなどでよく使われる表現ですが「(協力などを)申し出る、名乗り出る」という意味になります。「前に来る」というイメージを思い浮かべると分かりやすいですよね。
- Police are appealing for witness to come forward.
警察は目撃者に名乗り出る(協力を申し出る)ように強く求めている
また、時間的(将来的)に「先へ、前へ」なんかを表すときにも使いますよ。
- The clocks go forward 1 hour when daylight saving starts.
サマータイムが始まる時は時計が1時間先に進む - We must look forward and invest in renewable energy.
我々は先を見据えて再生可能エネルギーに投資しなくては
いずれの使い方も、上に登場した図にあるような前方向(もしくは後ろ方向)への「矢印」をイメージできていれば日本語訳を暗記する必要はなさそうですね。
動詞の “forward” もあります
“forward” の一番基本的な使い方は副詞ですが、実は動詞として使われることもあります。
それは皆さんよくご存じの「(メールなど)を転送する」です。メールのタイトルの先頭に「Fwd:」がくっついているメールは「転送メール」ですよね。
- I’ll forward you the email, just in case.
念のため後でメールを転送しますね - I’m forwarding Zoe’s email to you.
ゾーイからのメールを転送します - I need to have my mail forwarded to my new address.
郵便物を新しい住所に転送してもらわないと
「転送する」は「前へ」という方向性をイメージするのが難しいですが、この場合は「別の誰かに、別の場所に送る」というニュアンスですね。
今回紹介した中で一番覚えておきたいのは、やはり副詞の「前へ、先へ」を表す “forward” です。”forward(s)” と言われたら「前向きの矢印」、”backward(s)” と言われたら「後ろ向きの矢印」が頭の中に思い浮かんだら、それだけでバッチリです!
■ディズニーの映画の題名にもなった “onward” ってどんな意味?
■”look forward to 〜” はこちらのコラムで紹介しています↓