先日は全ての「できた」に “could” が使える訳ではない、というコラムをお届けしました(その時のコラムこちら)。
“could” は「できた」という意味でも使いますが、別の意味で使うこともとても多い単語です。
今回は、現在や未来のことなのに “could” を使う表現を中心に、どんな場合にどんな意味で使われるのかを見てみましょう。
“can” だけではなく “could” が使えるようになると、微妙なニュアンスが上手に伝えられるようになりますよ!
「〜かもしれない」可能性を表す “could”
「〜かもしれない」というと “maybe” などが思い浮かぶかもしれませんが、”could” も【可能性】や【推量】を表すことができます。
English Grammar in Useには、こんな説明と例文が載っています。
We use could (not can) to say that something is possible now or in the future.
English Grammar in Use
・The story could be true, but I don’t think it is. (not can be true)
現在や未来の「〜かもしれない」という【可能性】や【推量】を表すときに “could” はとってもよく使われます。ポイントは現在や未来です。”could” は “can” の過去形のように見えますが、過去のことを話しているのではありません。
例えば、仕事で大きなミスをしてしまったときに、
- I could lose my job.
職を失うかもしれない
というふうにも使えますし、懸賞などでよくあるフレーズ「(抽選で)〜が当たる!」も、
- You could win ○○!
という表現になります。「仕事を失う」「当たる」と断言するのではなく、”could” を使うことで「その可能性がある」というニュアンスを表しています。
また、ネイティブがよく使うフレーズに “I could be wrong.” があります。これは「間違っているかもしれない(間違っている可能性がある)」という意味で、
- I believe his name is Max but I could be wrong.
彼の名前はマックスだと思うんだけど、間違ってるかもしれない
のように、自分の発言に確信を持っていない時に使います。
比喩的な「〜できる」を表す “could”
ちょっと分かりにくいかもしれないので、一つ例を挙げてみましょう。
仲良しの女性2人が久しぶりに会ってカフェでおしゃべりをしています。何時間経っても話は尽きません。そこで一人が「私たち永遠に喋っていられるわ」と言ったとしましょう。
これを英語にするとどうなるでしょうか?「〜できる」なので “can” を使って “We can talk forever!” と言いたくなりますよね。でも正しくは、
- We could talk forever!
なんです。ここで “can” は使えません。なぜかと言うと、永遠に話すことは実際には不可能だからです。ここでいう「永遠に喋れる」は【比喩的な表現】ですよね。
こんな場合、日本語では「〜できる」と言いますが、英語では “can” ではなく “could” しか使えません。他にも、
- I’m exhausted. I think I could sleep for a week.
すっごく疲れた。一週間寝れると思う - I’m soooo hungry. I could eat 100 pieces of sushi.
お腹がぺこぺこだ。寿司100個食べられるよ
のように、実際には不可能だけど「〜できる(ぐらいだ)」と比喩的に表現する場合には “could” が使われます。
提案する時にも使える “could”
この使い方もEnglish Grammar in Useに定義と例文が載っています。
We use could to talk about possible actions now or in the future (especially to make suggestions)
A: What shall we do this evening?
B: We could go to the cinema.A: When you go to Paris next month, you could stay with Julia.
English Grammar in Use
B: Yes, I suppose I could.
「○○することもできるし、△△することもできる」のように選択肢を話したり提案する時も “could” が使われる代表的なシチュエーションです。
例えば、デートで「何食べに行こうか?」という話になったときには、
- We could go for Chinese, Italian, French…
のように言えます。「選択肢として〜することもできる」のニュアンスです。
他にも、私が以前ニュージーランドの本屋さんで “Do you have stamps?(切手を売ってますか?)” と聞いたら、
- No, we don’t. But you could go to ○○(別の店の名前).
いいえ。でも、○○に行ってみたらどう?
と教えてくれました。これも「(選択肢として)行くこともできるよね」のニュアンスです。結局、教えてもらった店にも切手はなかったのですが(笑)こんな時にも “could” は使えるんですね。
「could have 過去分詞」も覚えておきたい
“could” の間違えやすいポイントとしては、最初に挙げた【可能性】の意味で使う場合に過去のことだと思ってしまうことです。
例えば、先ほど出てきた “I could lose my job.” という例文があります。この意味は「職を失うかもしれない」です。今現在もしくは未来に失業する可能性を感じているんですね。
そうすると、過去にその可能性があったという「〜した(〜だった)かもしれない」はどう表すのかというと、
could have+過去分詞
です。上の例文を活用すると、
- I could have lost my job.
私は職を失っていたかもしれない
で、(現実にはそうならなかったけど)過去にその可能性があったことを表すことができます。
“could” を使いこなすのは難しい?
“could” は慣れるまでは使い方が分かりにくい単語かもしれません。でも、ネイティブの人たちは実に絶妙に会話にはさんできます。それぐらい日常でよく使われる単語です。
“could” も “would” と同じく仮定法で使われることもありますが、きっぱり断定するのではなくて「〜かもしれない」といった、どこかぼんやりしたイメージがつきまといます。
実際に “could” が使われている会話などをたくさん聞くとイメージが掴みやすいですが、そんな機会がない場合は、例文をたくさん見るだけでも何となくイメージが掴めると思います。
使い方が何となく分かったら、実際に使ってみましょう!表現の幅がグンと広がりますよ。
■「〜できた」なのに “could” が使えない場合とは?
■間違えやすい “could” と “was able to” の使い分けはこちら↓