終戦から79年を迎える今日、東京で全国戦没者追悼式が開かれ、正午には1分間の黙祷が捧げられます。
日本では他にも、広島・長崎に原爆が投下された時刻や、東日本大震災が起きた時刻など、命を落とした多くの方々を追悼する式典では必ず黙祷が捧げられますよね。
では「黙祷」「黙祷を捧げる」って、英語ではどう言うのでしょうか?
「黙祷」「黙祷を捧げる」は英語で何て言う?
「黙祷」は和英辞書を引くと “silent prayer” と出てくると思います。「無言の祈り」ということですね。
ただ、私は個人的には一度も耳にしたことがなく、ニュージーランドではもっぱら、
a moment of silence
という表現が使われています。もしくは「1分間の黙祷」なら、
- a minute’s silence
- one minute’s silence
- a minute of silence
- a one-minute silence
のように表すのが一般的です。そして「1分間黙祷する、黙祷を捧げる」は、
- observe a minute of silence
- hold a minute of silence
- have a minute of silence
のように “hold” や “observe” で表すことが多いです。“observe” は「観察する」とか「観測する」という意味でよく使われますが、こんなふうにも使われるんですね。また、
- stand in silence (for a minute)
という表現もよく使われますよ。直訳は「無言で立っている」ですが、立って静かに黙祷を捧げる時に使われるフレーズです。そして、黙祷のスケジュールをお知らせする時には、
- There will be a minute of silence.
1分間の黙祷があります - A minute of silence will be held at 12pm on Thursday.
木曜日の12時に1分間の黙祷があります
のように表現することが多いかなと思います。
海外の「黙祷」は1分とは限らない?
黙祷といえば1分間というイメージがありませんか?
この「1分間の黙祷」は、1923年に起こった関東大震災の翌年に行われた慰霊祭で1分間の黙祷が捧げられたことから広まり、今でも日本の公式行事では1分間の黙祷が多いようです。
私も黙祷といえば1分間だと思い込んでいたので、ニュージーランドで「2分間」の黙祷の場に遭遇したときには、とてもビックリしました。
「2分間の黙祷」
それは、2019年3月22日のことでした。この日はクライストチャーチのモスクで起きた銃乱射事件で51人が亡くなってからちょうど1週間にあたる日でした。
私は市内の大きなダイニングバーでランチを食べていました。店内では昼間からビールを飲んでいるお客さんが多く、とても賑やかだったのですが、急にこれまでに感じたこともない異様な静けさが店内に広がったんです。突然みんなピタッと話すのを止め、沈黙が走りました。
私はその日に追悼式があるのをすっかり忘れていたので「何?何があったの?」と一瞬怖くなったのですが、その沈黙は、事件が起きた時刻に始まった犠牲者追悼式典の「2分間の黙祷」だったんです。
2分の間、店内の全員が手を止めて黙祷を捧げていました。食べたり飲んだりはもちろん、店員さんも立って黙祷していて、席を立つ人すら誰もおらず、手を合わせて祈っている人もいました。
さらに、店内にいる人だけでなく、店の外の通行人もが足を止め、その場で静かに黙祷を捧げていました。
後でニュースで知ったのですが、ニュージーランドで一番忙しいオークランド国際空港でも同時刻に税関職員らが出国ゲートを一時的に閉鎖し、2分間の黙祷が捧げられたようです(その時のニュースはこちら)。
ニュージーランド以外でも、イスラエルではホロコーストメモリアルデーに犠牲者を悼むために国中で2分間の黙祷が捧げられたり、11月11日の第一次世界大戦の休戦記念日に戦没者を2分間の黙祷で追悼する国もあります。
こんな「2分間の黙祷」は、
- a two-minute silence
- two minutes of silence
- two minutes’ silence
と表すことができますよ。例えば、
- A two-minute silence will be held at 11am on Monday.
月曜日の午前11時に2分間の黙祷が捧げられます
みたいな感じです。
日本では8月15日は公的機関の各庁舎や国立の施設では「半旗」が掲揚されます。「半旗」「半旗を掲げる」の英語表現はこちらを参考にしてみてください↓