“do one’s bit” というフレーズを耳にしたことはありますか?
パリパラリンピックの車いすテニスの決勝で小田選手に惜しくも敗れたイギリスのHewett選手は、インタビューでこんなことを語っていました↓
- We certainly did our bit for wheelchair tennis today and the Paralympic movement.
また、コロナの時にはニュースで、“We all need to do our bit to help stop the spread of COVID-19.” のようによく使われていたのを思い出します。
今回はそんな “do one’s bit” の意味と使い方を紹介します!
“do one’s bit” とは
4年前、ニュージーランドがコロナでロックダウンに入る数時間前に政府から送られてきた緊急アラートがこちらです↓
From 11:59pm tonight, the whole of New Zealand moves to COVID-19 Alert Level 4. Follow the rules and STAY HOME. Act as if you have COVID-19. This will save lives.(中略)Lets all do our bit to unite against COVID-19.
画像の下から3行目に “Let’s all do our bit to unite against COVID-19” と書かれていますね。
「団結してCOVID-19に対抗するために、みんな “do our bit” をしよう」ということですね。何となく想像できると思いますが、“do our bit” はザックリ言うと「個人個人がやるべきことをやる」といった意味になります。
“do one’s bit” の意味
“bit” と言えば、“a little bit” や “a bit (of 〜)” のように「少し、ちょっと」みたいな意味で使うことが多いですよね。でも、“do one’s bit” は少し違います。
この “one’s bit” は「その人の役割分担」というニュアンスです。“do one’s bit” の定義を英語で見てみると分かりやすいのですが、
(informal) to do a fair share of the work, effort etc that is needed to achieve something good or important −ロングマン現代英英辞典
(informal) to do your share of a task −Oxford Advanced Learner’s Dictionary
と書かれています。みんなで何かを達成しようとすると作業やら努力やらが必要になってきますが、実現へ向けてそれぞれが担っている「分担の役割を果たす」「務めを果たす」というのが “do one’s bit” です。
一人一人に大事な役割があって、皆でそれを果たすことでしか実現できないみたいなことを表すときにとてもよく使われるインフォーマルな表現です。
“do one’s bit” の使い方
“do one’s bit” を使った例文をいくつか見てみましょう。
コロナの時期に特によく使われていたので、そこからいくつか例をあげてみると、まずは上に出てきたロックダウンへ向けた緊急アラートですが、
- Let’s all do our bit to unite against COVID-19.
は「団結してコロナに対抗するために、みんな自分のやるべきことをやりましょう(各自の務めを果たしましょう)」という意味になります。ロックダウン中の各自の務めというのは主に「Stay home」して感染を広げないことを指しています。
また、ニュージーランド警察はFacebookにこんなポストをしていました↓
ロックダウン中は “Stay home” だけではなく “Stay local” というのがニュージーランドのルールでした。散歩や買い物の際も近所に限定されていたのですが、多くのサイクリストがこのルールを破っていたのに対して、
- This is a short-term sacrifice, but we all need to do our bit to save lives.
ロックダウンは人々の色んな犠牲の上に成り立っています。でも人々の命を守るためにはみんなが各自の役目をしっかり果たす必要があるよ、と注意を促していたんですね。
また、ニュージーランドのギャング集団がコロナから子供たちを守るために、地元の公園やバス停など公共の場をボランティアで消毒して回っている、というニュースの中で、ギャング集団のトップは、
- This isn’t about money or fame. We just want to do our bit to help our community.
と発言していました。お金や名声のためではなく、コミュニティーを助けるために自分たちの役割を果たしたいだけなんだ、ということですね。
そんな “do one’s bit” はもちろんコロナ以外でも使えます。
冒頭に出てきた、パリパラリンピックの車いすテニスで銀メダルを獲ったAlfie Hewett選手の発言を再び引用すると、
- It was just incredible and we certainly did our bit for wheelchair tennis today and the Paralympic movement.
車いすテニス界やパラリンピックムーブメントのための「自分たちの役割を果たした」ということですね。歴史を変えるほどの素晴らしい試合で「自分たちの分の貢献ができた」とも言えるかもしれません。
他にも、地球環境のことを考えてビニール袋を使わないようにしている人や、使い捨ての物をなるべく使わないようにしている人は、
- I’m trying to do my bit for the environment.
みたいに言うことができますよ。環境のために自分がやるべきことをやって役割を果たそうとしてる、というニュアンスですね。
他にも、全員が力を合わせてやらないと実現できないようなことは、
- If everyone does their bit it can make a real difference.
みたいにも言えます。逆に言うと、それぞれが役割をしっかり果たさないと実現しないよ、ということにもなりますね。