街中やエレベーターでくしゃみをして、外国人に “bless you” と言われた経験ありませんか?
こういった経験、日本ではなかなか少ないかもしれませんが、海外旅行などで経験したことがある方も多いのではないでしょうか。
“bless you” はもともと「神のご加護がありますように」という意味。日本では馴染みがない言葉なので “bless you” と言われても、どう返したら良いのかわかりません。
そんなときのために “bless you” に対してどう答えたら良いのか覚えておきましょう。
それと余談ですが、この記事を書いていて「実は日本にもその昔 “bless you” と同じ使い方をした言葉があったことを知りました。その辺についても「余談」ではありますがまとめていますので、良ければ読んでみてください。
なぜくしゃみをした人に”bless you” と言うのか
“bless you” はもともと “May God bless you” が短くなったものです。意味は「神のご加護がありますように」です。
なぜくしゃみをしただけなのに「神のご加護」が必要になってくるのでしょうか。くしゃみをした人に、”Bless you” と言うようになった起源は幾つかありますが、その中から有名な説を2つ紹介します。
起源1:14世紀のペストに起因する説
14世紀にヨーロッパでペストが蔓延しました。当時ペストの致死率は非常に高いものでした。厚生労働省 検疫所によると当時全世界で5000万人、当時の人口の約25%がペストで亡くなったそうです。
ちなみに新型コロナウイルスで亡くなった人の数を調べてみると、2022年時点で550万人、現在の人口が80億人いると考えると人口比は0.07%です。そう考えるとペストがどれだけ当時の人たちに恐れられていたのかわかります。(情報元:厚生労働省 検疫所)
そういった非常事態を受けて、当時の教皇ジョージ1世が「くしゃみをする=ペストに感染している可能性がある」と考え「くしゃみをした人に神からの加護があるよう祈りましょう」という提案があったとか。
もちろん今の常識で考えれば「神の加護でペストは防げない」とわかっているのですが、当時の医療や市民の医療に関する常識を考えれば「神頼み」は立派な防護策の1つ、「祈り」は重要なことだと考えられていたのかもしれません。
そこから「くしゃみをした人には “bless you”を言う文化」が始まったと言われています。
「ペスト plague」を使った例文
- The plague wiped out entire villages in the olden times.
昔、ペストが村を壊滅させました。 - Many people fell sick during the plague outbreak.
ペストの発生時に多くの人が病気になりました。 - Doctors worked tirelessly to find a cure for the plague.
医者たちはペストの治療法を見つけるために休むことなく働きました。
起源2:くしゃみをして魂が抜け出ないようにする説
その昔、ヨーロッパでは「くしゃみは魂を追い出すもの=くしゃみをすると魂が体から抜けてしまう」と信じる人が一定数いました。さらにくしゃみをすることで、その人の魂を体の外に出すだけでなく、周りの人にも災いをもたらすと信じられていました。
そんな災害から身を守る唯一の手段が「神の祝福」くらいしかありませんでした。くしゃみをした人に “bless you” ということで魂が抜け出ることと、周りに降りかかる災いの両方から守ってくれると思われていたそうです。
日本にも似た風習があった
ちなみにこの記事を書いていて知ったことなのですが、ヨーロッパで「くしゃみをすると魂が抜ける」と信じられていたのと同様に、日本でも「くしゃみをすると魂が抜けて早死にする」と信じられていたそうです。
それに対抗する呪文として「くさめ」「くっさめ」と唱えられていたとか。
この「くさめ」がいつしか「くしゃみ」となり、「くしゃみをするという行為自体をくしゃみ」と呼ぶようになったと考えられています。
この「くさめ」は1330年に書かれた「徒然草」の第47段にも載っている古い言葉です。
情報元:くしゃみ | Wikipedia
“bless you” への返し方はシンプル
さて、ここまで余談が少し長くなりました。
ここからが本題です。”bless you” と言われたとき、どう返すのか?というと、実はとてもシンプルです。
- Thank you / Thanks
これだけ覚えておけば大丈夫です。もしもっと丁寧に、相手のことも気遣った感じにしたい場合は “Thank you, you too.” も良いですね。
“bless you” 以外の言い方は
くしゃみをした人に対して “bless you” 以外に何か良い言い方はあるのでしょうか。
“bless you”以外の言い方としてドイツ語版やスペイン語版の “bless you” もあって「bless you以外の言い方」として紹介されているのを見かけます。
ただ正直なところ、ドイツ語やスペイン語の言葉の意味や使い方、正しい発音をよく知らずに安易に使うことはオススメしません。
“bless you”の代わりの言葉は日本語でくしゃみをした人に対して声をかけるのと同じことを言うのが自然ではないでしょうか。
- Are you okay?
大丈夫? - Are you alright?
大丈夫? - Have you got a cold?(イギリス英語)
風邪引いた? - Do you have a cold?(アメリカ英語)
風邪引いた? - Do you have hay fever?
花粉症?
こういった「大丈夫?」「風邪引いた?」と声をかけたあと、「実は風邪っぽくて」と言われたら「お大事に」と話を繋げてみても良いのかもしれませんね。
関連記事:
まとめ:”bless you”への返し方は
“bless you” の返答、嘘みたいに簡単でしたね。”Thank you” これだけでした。
個人的には”bless you” の返答は “How are you?” の100倍わかりやすいのではないでしょうか。
最後に。
今回「その昔、日本にも “bless you” と同じ言葉があったことを知りました。「くさめ」または「くっさめ」です。
今後もし外国人の人と “bless you” について話す機会があったら、「その昔、日本にも “bless you” と同じ意味を持つ言葉があった」と「くさめ」を教えて上げたいです。
日本人でもあまり知らない人が多いことなので、ぜひ皆さんにも知っておいて欲しいし、いろいろな人に伝えて欲しいなと思いました。英語とは関係ありませんけどね。