“can” の否定形は皆さんご存じ “can’t” ですよね。これはアポストロフィが付いていることから分かりますが、これは省略(短縮)された形です。
では、ここで問題です。この “can’t” は何の略だと思いますか?
「そんなの簡単。”can not” でしょ」と思った方、実はちょっと違うんです。
“can’t” は何の略?
まずは正解から。”can’t” を略さずに書くと、
cannot
です。二語の “can not” ではなく、ワンワードなんです。
- isn’t → is not
- don’t → do not
- doesn’t → does not
- didn’t → did not
- haven’t → have not
と来たら、”can’t” も “can not” の略だと思ってしまいますよね。ネイティブでもたまに “can not” と書いている人がいますが、略さずに書くなら “cannot” が正解です。
“can’t” と “cannot” の違いと使い分け
“can’t” と “cannot” の違いは略しているか略していないか、ただそれだけです。意味に違いはありません。
では “cannot” はいつ使うのかと言うと、それは、
フォーマルな文面
です。つまり、書き言葉で使われます。
基本的に口語では “I am → I’m”、”I will → I’ll”、”It is → It’s” などと略すことがとても多いですが【短縮形(縮約形)はインフォーマルな表現である】というのが基本のルールです。
なので、フォーマルな手紙・メール・お知らせ・論文などでは、”I am” や “We are”、”It is”、そして “cannot” のように略さずに書かれます。
実際に私が企業から受け取ったメールを見てみると、
- If you cannot view this email properly, please click here.
- This email was sent from an address that cannot accept incoming messages.
- Please contact us if you cannot find an answer to your question.
- Offer cannot be used in conjunction with any other offer.
などと書かれていましたよ(インフォーマルな手紙やメールなら “can’t” で全く問題ありません)。
“can not” は正しい?
“can’t” を “can not” と書くのは文法的には正しくない、というのが一般的に言われていることです。
実際に辞書には “can” の否定形は “cannot” と書かれている場合がほとんどで、Cambridge Dictionaryには「ワンワードの “cannot” が正しく、“can not” は間違いである」とハッキリ書かれています。
ところが、Merriam-Websterにはこんな記載もあるんです↓
Both cannot and can not are perfectly fine, but cannot is far more common and is therefore recommended, especially in any kind of formal writing.
Merriam-Webster Dictionary
“cannot” の方がはるかに一般的なので推奨される、とは言いつつも “can not” も全く問題なし、と書いてありますよね。そして、そこには “cannot” ではなく “can not” の方が好まれる場合の例文が載せられています↓
Now I can not only smell the pie, but I can also see it.
Merriam-Webster Dictionary
これは “can not” の “not” が、”not only…, but (also) 〜” の一部になっているので、”can not” が適切なんだそうです。ただ、この “can not only…, but 〜” は「…できるだけではなく」なので、もはや “can’t(できない)” の意味ではないですよね。
can’t / cannot / can not の違い【まとめ】
話がややこしくなってきたので、最後に整理してみます。
【can’t】口語やカジュアルな文面でよく使われる。フォーマルな文面では避けられる
【cannot】can’t を略さずに書いた形。フォーマルな文面で用いられる
【can not】一般的なライティングでは間違いとみなされる ※例外あり。上記参照。
これまで “can not” と書いていた方は今日からちょっと意識してみてくださいね。
■”I am” と “I’m” のような、短縮する場合としない場合の基本的なルールはこちらで紹介しています↓