学校で英語を習ったときに、こんなふうに教わりませんでしたか?
「I’m」は「I am」を短縮した形で、意味は同じ・書き換え可能
それなら “I am hungry.” でも “I’m hungry.” でも、自分が好きな方で言えばいいんじゃない?と私は思っていました。意味が同じなら問題ないですよね。
でも、ニュージーランドで生活をするようになって、”I am” と “I’m” は違うと気付きました。”I am” と “I’m” に限らず、”He is” と “He’s” にしても同じです。ネイティブはこれらを使い分けています。
では、何が違って、どんなふうに使い分ければいいのでしょうか?
基本的に口語ではbe動詞は短縮形になる
ここから先は口語の話、つまり会話における話し言葉での話になりますが、
be動詞は基本的にほとんど短縮される
こう覚えておくといいと思います。
ネイティブが話すのを聞いていると、強弱があったりリズムがあるのが分かると思いますが、全ての単語を一語一句キッチリ発音しているわけではないんですね。意味的に重要ではないところを短く発音して話しているんです。
be動詞は重要な情報を持った単語ではない(意味的に重要ではない)ので、サラッと短く発音するんですね。
つまり、口語では “I am” ではなくて “I’m” と言うことがほとんどです。発音は /aɪm/ になりますが、もっと短く /əm/ と発音されることもありますよ。
be動詞の短縮形まとめ
“I’m” 以外のbe動詞の短縮形をざっと並べてみると、
- it is → it’s(発音は /ɪts/)
- you are → you’re (/jər/ /jɚ/)
- he is → he’s(/hiz/)
- she is → she’s(/ʃiz/)
- we are → we’re(/wɪər/ /wɪr/)
- they are → they’re(/ðeər/ /ðer/)
などがありますが、これらも短縮されることがほとんどです。なので、これらのbe動詞が短縮されるのに耳が慣れると、ネイティブの言っていることが聞き取りやすくなりますよ。例えば、
- You are right. → You‘re right.
- He is driving. → He‘s driving.
- She is coming. → She‘s coming.
なんかは上に挙げた短縮のパターンですが、それ以外にも、
- My mum‘s (=My mum is) turning 60 tomorrow.
- No one‘s (=No one is) gonna notice.
- The line‘s (=The line is) busy.
- The door‘s (=The door is) open.
- The light‘s (=The light is) on.
みたいに、普通の名詞の後ろに来る “is” なんかも短縮形で発音します。耳だけで聞くと、上の文ではそれぞれ mums, ones, lines, doors, lights みたいに聞こえるので「複数形?」と一瞬勘違いしそうになるので注意です。
※短縮の “-‘s” はbe動詞の “is” に限らず、助動詞の “has” が短縮されたパターンもありますよ。
- He’s been (=He has) been to London.
さらに、who・what・when・where・howにくっつく “is” も短縮形になることが多いです。
- What‘s (=What is) that?
- When‘s (=When is) your birthday?
- How‘s (=How is) that possible?
be動詞を短縮しないと意味が変わる?
では、通常短縮するところを短縮しないでハッキリ発音すると、どうなるのでしょうか?
ネイティブが敢えて短縮形を使わないでハッキリ発音するのは強調の意味を込める時です。例えば、
- I’m twenty.
- I am twenty.
の違いは、上の文は「私は20歳です」を普通に表していますが、下の文は「20歳であること」を強調した言い方になります。例えば、店でお酒を買う場面を想像してみてください。
店員:How old are you?
お客さん:I’m twenty.
店員:No, you’re not.
お客さん:Yes, I am twenty.(身分証を見せて)See?
みたいな感じです。「20歳です」と言うお客さんに対して店員さんが「違うでしょ」と疑っているので、Aさんは「本当に20歳なんです」と強調しているんですね。
お客さんの最後のセリフは “am” が強く発音されます。また、”twenty” は省略して “Yes, I am.” とだけ言うことも多いですが、その場合も “am” が強調されるので、 短縮して “Yes, I’m.” とは言えません。
be動詞を短縮しないのはどんな時?
be動詞は基本的に短縮されることがほとんどだと紹介しましたが、短縮しない時・できない時もあるんです。
それは大きく分けると3つの場合で、
- 強調の意味をこめる時
- 文字で書く時(手紙、メール、論文など)
- be動詞が文末に来る時
です。1つずつ見てみましょう。
強調の意味を込める時
これは上で紹介しましたね。この場合は短縮して言うこともできますが、敢えて短縮しない場合の話です。
文字で書く時
be動詞が短縮されるのは基本的に「口語・話し言葉」での話であって、フォーマルな論文や手紙・メールでは短縮しないのがルールです。なので、正式な手紙やメールでは “I am writing with regard to 〜” のように書きます。
ただし、メールはカジュアル寄りになるので、実際には短縮形が使われることも多いです。手紙・メールでは短縮形を避けた方がフォーマルさがアップしますよ。
be動詞が文末に来る時
文末に来るbe動詞に短縮形は使えません。
具体的にどんな場合かと言うと、先ほどお酒を買うくだりの会話の最後に出てきた “I am.” は “I’m.” に短縮できない、というのがこれです。
お客さん:I’m twenty.
店員:No, you’re not.
お客さん:Yes, I am.(× I’m.)
他にも例を挙げるとキリがないほどたくさんありますが、
- Are you ready? –Yes, I am. (× Yes, I’m.)
「準備できた?」「できたよ」 - She’s more excited than I am. (× than I’m)
彼女は私よりもワクワクしてるよ - Who do you think you are? (× Who do you think you’re?)
あなた自分を何様だと思ってるの? - It is what it is. (× It’s what it’s.)
仕方ないよ
のように、どれも文末のbe動詞は短縮できません。特に最後の文、”It is what it is.” は決まり文句ですが、文頭の “It is” も一語ずつハッキリと発音するので「そういうもの」を強調しているニュアンスが感じ取れるかと思います。
be動詞の短縮、まとめ
今回のポイントは、口語では基本的にbe動詞は短縮する、ということです。
文法の参考書なんかでは短縮しないで書いてあることがほとんどですが、実際の会話では違います。
これを意識すると英語で話すリズムもいい感じになるので、これまでbe動詞をハッキリ発音していた方は意識してみてくださいね。自分が言えることは聞き取れるはずなので、リスニングにも役に立つと思います!
■助動詞や否定の短縮形なども含めた短縮形については以下のコラムでもっと詳しく紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください↓
■”can’t” を短縮せずに書くと、”can not” と “cannot” のどちらが正しい?