こんな場面を想像してみてください。
親が子どもに「分かった。じゃあ、おもちゃを1つ買ってあげる」と言うとしたら、あなたなら英語でどんなふうに言いますか?
あるいは「君が欲しいものなんでも買ってあげるよ」は英語でどんなふうに表現しますか?
今回は “buy” の使い方をおさらいしてみたいと思います。
“buy” の意味と使い方
“buy” の意味は簡単ですよね。「〜を買う」です。つまり、
buy+物(何)
となります。なので「分かった。おもちゃを買うよ」を英語で言うと、こうなります↓
- OK. I’ll buy a toy.
でも「おもちゃを買ってあげるよ」は「あなたにおもちゃを買ってあげる」ということですよね。英語ではこれをきちんと表現しないといけません。
では、以下の2つの文章のうち、あなたならどちらを選びますか?
- OK. I’ll buy you a toy.
- OK. I’ll buy a toy for you.
“buy” の後ろの「人」「物」の順番
「人に物を買ってあげる、買う」を表す場合には、
buy+人+物
という語順になります。でも、これは、
buy+物+for+人
に書き換えることができる、とも習ったと思います。
私は “buy” の後ろには「物」を入れる「buy+物」という語順のイメージが強くて「buy+物+for+人」という語順を使うことが多かったのですが、ネイティブと話していて気付いたことがあるんです。
「人(誰に)」が入る場合(=目的語が「誰に」「何を」の二つになる場合)は「buy+人+物」を耳にすることが圧倒的に多いということです。例えば、
- I bought her a gift.
彼女にプレゼントを買った(買ってあげた) - I was about to buy John a new pair of shoes.
ジョンに新しい靴を買ってあげようとしていたところです - Buy yourself something nice with the money.
そのお金で(自分に)何かいいものを買いなさい - I’ll buy you anything you want.
欲しい物なんでも買ってあげるよ - I’ll buy you a coffee.
コーヒーおごるよ - Let me buy you a drink.
一杯おごらせてよ
みたいな感じですね。
“buy you 〜” や “buy her 〜”、”buy John 〜” みたいな並びは、私は慣れるまでとても違和感があったのですが、実際にはめちゃくちゃよく耳にします。
「buy+物+for 人」の順番になるのはどんな時?
目的語の順番を入れ替えた「buy+人+物」と「buy+物+for 人」は同じだと習いましたが、厳密に言うと全く同じというワケではないようです。
「buy+物+for 人」がよく使われるのはどんな時かというと、Advanced Grammar in Useにはこんなふうに書かれています↓
1. We often use this pattern if we want to focus particular attention on the object after for.
→「誰に」に重点を置きたい場合
2. We also use it if the IO (=the indirect object「人」の目的語) is a lot longer than the DO (=the direct object「物」の目的語)
→「人」が「物」よりもかなり長い場合
3. If the DO is a pronoun, a pattern with DO + preposition + IO is usual.
→「物」が代名詞の場合
これはどういうことなのか少し具体的に見てみると、
- I bought a toy for John.
は「(他の誰でもない)ジョンのために」という「誰に」に重点を置いた表現になります。反対に “I bought John a toy.” だと、重点は「toy」にあります。
また、「誰に」の部分が「物」の部分に比べて長くなるような場合、例えば、
- I want to buy toys for children who are in hospital.
みたいな場合も「buy+物+for 人」になるということです。
さらに、一番大事なのは「物」の部分が “it、this、that、them、these、those” のような代名詞が来た場合にはほぼ必ず「buy+物+for 人」の順番になります。
- I bought it for John.
みたいな感じですね。”I bought John it” とは言えません。
“buy” 以外にもある、目的語を2つとる動詞
「buy+人+物」のように目的語を二つ取る動詞は “buy” だけではないですよね。他にも、
- get
- make
- bring
- pass
- give
- show
- teach
- tell
- send
などがありますが、どれも「動詞+人+物(何)」と「動詞+物(何)+for/to 人」のパターンがあります。
- I’ll make you something.
何か作るよ - I’ll make something for you.
君のために何か作るよ - My dad gave me the watch.
父がその時計をくれました - I gave the watch to my son.
私は息子にその時計をあげた
みたいな感じですね。それぞれ、重点が置かれている場所がちょっとだけ違います。
ただ、語順の違いでニュアンスが微妙に意変わるとは言え、意味が全く変わってしまうわけではないので、それほど気にする必要はないかもしれません。気になる方はちょっと意識してみてくださいね。
■ “for you” と “for me” についてはこちらのコラムでも紹介しています↓