ハロウィンの季節がやってきましたね。
ハロウィンと言えば、以前放送された『林先生が驚く初耳学』でこんな問題が取り上げられていました。
【日本人が普段食べているカボチャは、英語で “pumpkin” とは言わない】
みなさんご存じでしたか?
林先生は初耳だったようですが、実は英語圏に住んでいる私もこれは初耳でした。
そこで今回は「かぼちゃ」を表す英単語のお話です。
“pumpkin” は皮がオレンジ色のかぼちゃだけ?
番組の解説はだいたいこんなものだったかと思います。
【pumpkin】とは、ハロウィンで使うような皮がオレンジ色のかぼちゃのこと。皮が緑色の日本のかぼちゃは英語で【squash】と呼ぶので、パンプキンではない
そして、街頭で海外の人に日本の緑色のかぼちゃを見せて「これは英語でなんて言う?」とインタビューすると、みんな “squash” だと答えていました(発音はスカッシュではなく /skwɒʃ/)。
これにはスタジオの芸能人もビックリ、私もビックリしました。
その理由は、ニュージーランドでは緑のかぼちゃも “pumpkin” と呼ぶからです。スーパーでも日本のような緑色のかぼちゃが “pumpkin” として売られています。
では、”pumpkin” と “squash” の違いって一体何なのでしょうか?
“pumpkin” と “squash” の違い
気になったので調べてみました。
まずは英英辞書で “pumpkin” を引いてみると、こう書いてあります↓
a large round vegetable with thick orange skin.
Oxford Advanced Learner’s Dictionary
えー?本当に “pumpkin” は皮がオレンジ色のものなんですね…。続いて “squash” を引いてみると、こんなことが書いてありました。
a type of vegetable that grows on the ground. Winter squash have hard skin and orange flesh. Summer squash have soft yellow or green skin and white flesh.
Oxford Advanced Learner’s Dictionary
もっと詳しく調べてみると、ウリ科カボチャ属のものを “squash” と呼び、皮が硬いかぼちゃ系のものを “winter squash”、皮が薄いズッキーニなどを “summer squash” と分類するようです。(ズッキーニはカボチャ属なんだそうですよ!)
なので、皮がオレンジ色のかぼちゃも緑色のかぼちゃも同じ “winter squash” に含まれるんですね。そして、”winter squash” にはどんな種類のものがあるのか少しだけ挙げてみると、
- Butternut squash
- Buttercup squash
- Acorn squash
- Banana squash
- Spaghetti squash
- Delicata squash
- Kabocha (squash)
- Pumpkin
© Health Starts in the Kitchen
つまり、“pumpkin” というのは “squash” というカテゴリーに含まれるいろんな種類のかぼちゃのうちの一つなんですね。そしてまた、”pumpkin” の中にも様々な品種がいろいろあって、ハロウィンで使うオレンジ色の皮のかぼちゃもその1つだということです。
それに対して、日本のスーパーでよく売られている緑色のかぼちゃは、同じ大きな “squash” というくくりですが “pumpkin” とは別の種類なので “squash” と呼ばれるそうです。国によっては “Kabocha” や “Kabocha squash” と呼ばれているそうですよ。
これがテレビ番組で「日本で食べている緑色のカボチャは “pumpkin” ではない」と紹介された理由だと思います。
でも、これは主に北米やイギリスでの話なんです。
ニュージーランドとオーストラリアでは “pumpkin” と呼ぶ
ニュージーランドやオーストラリアでは、緑色のかぼちゃも “pumpkin” と呼ばれています。
ニュージーランドで栽培されている野菜を紹介するウェブサイトvegetable.co.nzには、こんなことが書かれてあります。
The terms pumpkin and squash are often used interchangeably
つまり、”pumpkin” と “squash” という言葉は同じように使われるのだそうです。
私がニュージーランドでよく見かける種類は、
- Buttercup
- Butternut
- Crown
- Spaghetti squash
などです。”Buttercup” は西洋かぼちゃの一種で皮が緑ですが、”pumpkin” として売られています↓
実はこれ、日本のスーパーに並んでいるかぼちゃと見た目も味も全く同じです!
よくスーパーに行かれる方はご存じかもしれませんが、日本で国産かぼちゃが出回らない年明け〜春過ぎのスーパーの売り場をよーく見てみてください。「かぼちゃ ニュージーランド産」と書かれたものをとってもよく目にしますよ!
南半球にあるニュージーランドは日本と季節が逆なので、この時期日本はニュージーランドからの輸入かぼちゃに大きく頼っているんです。年間を通しても、かぼちゃの輸入先1位というのも頷けますよね。
ちなみに、オーストラリアでは日本のようなかぼちゃは “Kent” や “Jap/Japanese pumpkin” という名前で売られているそうですよ(情報をいただいた現地在住読者の方、ありがとうございます!)。
かぼちゃを表す英単語まとめ
長くなったので、もう一度まとめておきましょう。
日本で食べているような緑色のかぼちゃは…
- 北米やイギリス→ “squash” と呼ぶ(”pumpkin” とは呼ばない)
- ニュージーランド・オーストラリア→ “pumpkin” と呼ぶ
野菜や果物は国や地域によって呼び方が違うこともあるので、ちょっとややこしいですね。
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