「”願う” を英語にすると?」と言われると、”hope” や “wish” と答える人が多いのではないでしょうか。
「願う」と訳さなくても、「〜だといいな」のように希望・願望などを英語で表す場合には “hope” や “wish” を使うことが多いと思います。
では、”hope” と “wish” をどうやって使い分けていますか?
「仮定法には “wish” を使う」とも習いましたが、同じ「願う」「〜だといいな」の “hope” はなぜ仮定法では使わないのでしょうか?
“wish” と “hope”、どんな時に使う?
いきなり “wish” と “hope” の違い、と言われてもイメージしにくいかもしれないので、それぞれの単語が使われている文章を思い浮かべてみましょう。
まずは “wish” から。
どんな文章に使われているのを聞いた(見た)ことがありますか?
一つは、教科書に載っていた仮定法の定番の文章、
- I wish I were a bird.
があると思います。「私が鳥だったらなぁ」という意味でしたよね。
また、誘いを断る時の表現に、
- I wish I could.
というのもあります。「(行けたら/できたら)いいのですが行けません/できません」と丁寧に断るフレーズになります。
では、”hope” はどうでしょうか?
どんな文章を見たり聞いたりしたことがありますか?
「明日晴れるかな?」に対して、
- I hope so.
そうだといいね
という返し方があったり、プレゼントを渡す時に、
- I hope you like it.
気に入ってもらえるといいのですが
というのもよく使われます。また、メールなどの書き出しでは、
- I hope you are well.
お元気だといいのですが
というのもよく見かけます。
では “wish” と “hope” の違いって何だと思いますか?
“wish” の「〜だといいな」は実現の可能性が低い
“wish” の意味を英英辞書で確認してみると、
to want something to happen or to be true even though it is unlikely or impossible
Oxford Advanced Learner’s Dictionary
と書いてあります。”wish” は恐らく起こらないと思っていることに対する強い願望を表す時に使われるんです。これが一番のポイントです。
そして、これが “wish” が仮定法でよく使われる理由なんです。「私が鳥だったら…」は絶対に起こりえないですよね。
誘いを断るときの “I wish I could” も「できないけど」という前提で「できたらなぁ」という気持ちを表しています。
このように、実現の可能性がない(低い)場合の「〜だったらいいな」「〜だったらいいのにな」には “wish” を使います。
“hope” の「〜だといいな」は実現可能
- I hope so.
- I hope you like it.
- I hope you are well.
のように使われることがよくある、と紹介しましたが、これらに共通することは何でしょうか?
それは “wish” と違って、実現の可能性を感じているということです。
英英辞書にも、”hope” の定義はこう書いてあります↓
to want something to happen and think that it is possible
Oxford Advanced Learner’s Dictionary
さらに、文章の構造もちょっと違いますよね。
“wish” の時は後ろに “were” や “could” がくっついてきていましたが、“hope” の後ろは現在形が使われることが多いです。実現する可能性を感じているので「仮定法」にする必要はありません。
ということで、”hope” の「〜だったらいいな」は、実際にはどうか分からないけど、実現する可能性があると思っていることが「起こってほしいな」という希望・願望を表します。
“wish” と “hope” の違いをおさらい
さて、”wish” と “hope” の基本的な違いを紹介しましたが、ここで復習を兼ねた練習問題です。
外では雨が降っているとします。
そんな場面で下の2つのフレーズを言う場合、ニュアンスにどんな違いがあるでしょうか?
- I wish it would stop raining.
- I hope it stops raining soon.
両方とも日本語にすれば「雨が止めばいいのになぁ」ですが、1番は “wish” を、2番は “hope” を使っています。
上で説明した違いを思い出して下さいね。
1番は雨雲が一面に広がっているのが見えるのか、心の中で「止まないだろうな、無理だろうな」のように「止む可能性」を感じていません。
それに対して2番は、ちょっと薄雲になったのか、天気予報で雨が止むのを知っていたのか「止む可能性」を感じて願っているところに違いがあります。
“wish+誰に+何を” は例外
ここまで読んでいて、”wish” の説明に納得がいかなかった方はいませんか?
実現の可能性がない(低い)と思っている時に使うのが “wish” だったら、
- I wish you a Merry Christmas.
は間違った英語ではないでしょうか?
「よいクリスマスを」と言いながら、実現しないと思っているのでしょうか?
実はそんなことはないんです。”wish” には上に出てきた以外にも、
express a hope that (someone) enjoys (happiness or success)
という使い方があります。なので、
- I wish you luck!
- I wish you every success in the future.
なんていう言い方ができるんです。
この場合は、必ず【wish+誰に+何を】という形になるので、混乱することは少ないと思います。
“wish” と “hope” はそれぞれ他にも使い方がありますが、今回紹介した基本的な違いを知っていれば、日常生活で使う「〜だといいな」は自信をもって使い分けられると思うので、ぜひ使ってみて下さいね!
■”I hope 〜” の否定形はちょっと間違えやすいので、こちらのコラムを読んで合わせて覚えてしまいましょう↓
■仮定法の “if” についてはこちらも参考にしてみてください↓