“this” や “that” って、学校の英語の授業ではかなり初めの方に出てきますよね。
“That is a pen”、”Is that a pen?” のような文章が出てきたような気もしますが、今回はそんな「あれ」を表す “that” の使い方のお話ではありません。
「あれ」「あの」だけではなく、”that” には副詞の意味もあるって知っていましたか?
副詞の “that” って何?
さっきから副詞、副詞と言っていますが何のことなんでしょうか?
「あれ、あの」とか「それ、その」と訳される “that” は代名詞と呼ばれるものなので、”That is a pen” の “that” は副詞ではありません。
副詞の “that” が出てくるシチュエーションとは、例えばこんな時です。
あなたがお腹が空いていると知って、お母さんが食べきれないほどの量の夕食を作ってくれたとしましょう。そんな時にお母さんに向かって言う、
「お腹空いてるけど、それほど(これを全部食べられるほど)空いてないよ」
のようなセリフ。これを英語で言うと、どうなるでしょうか?
副詞の “that” を使えば、こんなふうに簡単に言えてしまうんです↓
- I’m hungry, but not that hungry.
あるいは「そんなにたくさん食べられないよ」という意味では、
- I can’t eat that much.
とも言えます。
また、自分には難しくてできないと思って誰かに頼んだ事が、思いのほか簡単に出来てしまって「そんなに簡単だとは知らなかったわ」と言うような場面でも、
- I didn’t know it was that easy.
のように “that” が使えるんです。
これらの “that” が副詞の “that” です。
副詞の “that” は会話でよく使われる
「そんなに(…でない)」「それほど(…だ)」を英語で言うと?と言われると、一瞬考えてしまうかもしれませんが、そんな時に大活躍するのが、この “that” です。
この “that” の定義は、オックスフォード新英英辞典によると、
1. to such a degree; so
2. used with a gesture to indicate size
と書かれています。
これらの “that” の使い方、私は学校で習った記憶はないと思うのですが(忘れているだけかもしれませんが…)、日常の会話ではとってもよく登場するんです。
もう少し “that” を使った例文
例えば、英語がびっしりの分厚い洋書を見て言った「これを読むのに一生かかるよ」に対して「そんなにかからないでしょ」と返すような時。
これも “that” を使って、
- It wouldn’t take that long!
というふうに言えます。
また、近所の人と「家賃って高いよね」と話していた時に、私が「近くのあの貸家、週500ドルもするんだよ!」と言うと、それに対して相手から返ってきたのが、
- Are they charging that much?
そんなにするの?
でした。他にも、上で紹介した辞書の2番目の定義の例としては、例えば、前日に釣りに行った友達との会話を想像してみましょう。
「釣った魚の大きさ、これぐらいあった?」と手で大きさを示しながら聞いたら「うん、だいだいそれぐらいだった」と答えるような場面でも、
- Yeah, it was about that big.
のような使い方ができるので、この “that” は便利で使いやすいんです。
ちなみに、”that” を “this” に変えて、”It was about this big.(これぐらいの大きさだった)” と言うこともできます。そして、この “this” も副詞なんです。
早速使ってみよう!
何度も言いますが、日常生活のいろんな場面で使えるのが、この “that” の便利なところです。
誰かが何かを一口食べて「まずい!」と言った後に、他の人が「どれどれ、ちょっとちょうだい。…そんなにマズくないじゃん」のような時でも、
- It’s not that bad.
なんていうふうに使えますよ。「それほど」「そんなに」の “that”、今日から早速使ってみて下さいね!
副詞って結構大事かも!
副詞って、注目を浴びることは少ないのですが、実は会話上手のポイントなのではないかと私は思っています。
上手に使いこなせると言いたいことがサラッと言えるし、ネイティブもよく使っているので、ナチュラルな表現に近付きます。
これまでに紹介した【副詞】にまつわるコラムもぜひ読んでみてくださいね。