以下の2つの文のうち、コンマ(カンマ)を正しく使っているのはどちらだと思いますか?
- I went to Italy, Germany, and France last month.
- I went to Italy, Germany and France last month.
こういった3つ以上の言葉を羅列する時に “and” の前にコンマは必要なのか必要ないのか、うろ覚えな方はいませんか?実は私は長い間うろ覚えなままでした…。
ライティングの文法って面倒だったりしますが、これは結構大事なポイントなので、ぜひ覚えておきたいですね。
3つ以上の単語(語句)を羅列する時のコンマ
「AとBとC」を英語で書くとしたら「A and B and C」と書きたくなりますが、普通はそうは書きません。「,(コンマ)」と「and」を使って、
A, B, and C
のようにスッキリ書くのがルールです。1つ目の言葉を並べてコンマ、次の言葉を並べてコンマ、これを続けて、最後の言葉の前だけに “and” を入れるんですね。4つ並べる場合も10個並べる場合もルールは同じです。
では、”and” の前のコンマって絶対に必要なのでしょうか?
実は、”and” の前のコンマ無しの、
A, B and C
も正しいんです。これはアメリカ英語とイギリス英語の違いで、アメリカ英語では “and” の前にコンマを置くことが正解とされることが多く、イギリス英語ではコンマを付けない表記がよく使われます。つまり、
アメリカ英語では A, B, and C
イギリス英語では A, B and C
ということです。なので、冒頭に出てきた2つの文はどちらも正解ではありますが、自分がどちらの方式で書くのか一貫性を持たせることが大事で、例えば、
- Alex, Ben, and John are from the UK.(コンマあり)
- John is friendly, kind and responsible.(コンマなし)
のような2つの方式が同じ文章の中に混じってしまうのはマズいです。なので、どちらかに統一するように意識するといいですね。
「オックスフォードコンマ(Oxford comma)」とは
ここでちょっとだけ用語のお話を。
上に出てきた「A, B, and C」の “and” の直前のコンマ(赤く色をつけました)には特別な名前があって、
Oxford comma
serial comma
と呼ばれています。英文法書なんかで「オックスフォードコンマ」や「シリアルコンマ」という言葉が出てきたら、このコンマのことだな!と思い出してみてください。
オックスフォードコンマは「A, B, C, and D」の場合、”and” の直前のコンマ(ここでは3つ目のコンマ)だけを指すので、AとBの後ろのコンマはオックスフォードコンマではありません。
つまり、アメリカ英語式の「A, B, C, and D」という書き方は【オックスフォードコンマを使った書き方】で、イギリス英語式の「A, B, C and D」は【オックスフォードコンマを使わない書き方】と言えます。
また、オックスフォードコンマは “and” だけではなく “or” の前でも使われます。例えば、
- You can have ham, bacon, or salmon.
ハムかベーコン、サーモンのどれかを選べます
のような “or” の直前にあるコンマもオックスフォードコンマです。
オックスフォードコンマを使った方がいい場合
基本のルールでは、オックスフォードコンマはあってもなくてもどちらでも正解というお話をしました。
ところが、オックスフォードコンマを使った方がいい場合もあるんです。例えば、こんな文を見てみましょう↓
- I usually eat yoghurt, toast and bacon and eggs for breakfast.
この人は朝食に何を食べるのでしょうか?「ヨーグルト」はハッキリしているものの、その後ろが分かりにくくないですか?そこでオックスフォードコンマを使うと、意味がハッキリします。
- I usually eat yoghurt, toast, and bacon and eggs for breakfast.
これで「ヨーグルト・トースト・ベーコンエッグ」を食べることが一目瞭然になりましたよね。イギリス方式を採用していても、こんなふうに意味をハッキリさせるためには使った方がいい場合もあるんです。
もう一つ、ちょっと違う例を挙げてみましょう。以下の文はどんな意味だと思いますか?
- I’m meeting up with my sisters, Lisa and Emma.
「人と会う」のは明らかですが「誰」に会うのでしょうか?「姉妹(もしくは姉たち・妹たち)・リサ・エマに会う」だと思いましたか?
それも正解かもしれません。でも実はもう一つの可能性があって「姉妹(もしくは姉たち・妹たち)に会う、そしてそれはリサとエマ」かもしれないんです。これは難しく言えば同格を表すコンマで、コンマの前の言葉を別の言葉で言い換えているんです。
なので「姉妹(もしくは姉たち・妹たち)・リサ・エマに会う」という意図なら、オックスフォードコンマを使って、
- I’m meeting up with my sisters, Lisa, and Emma.
とすれば曖昧さは消えて意味がハッキリします。
3つ以上の言葉を並べる場合、”and” の前のコンマはあってもなくてもどちらも正解という基本のルールをおさえたら、次はこういったポイントも意識してみましょう!