「友達=friend」は誰もが知っている単語ですよね。
では「友達と道でバッタリ会った」は “I ran into my friend on the street.” でいいのでしょうか?
でも「英語では “my friend” とは言わない」という話を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
では、ネイティブは本当に “my friend” と言わないのでしょうか?私がニュージーランド生活で感じたネイティブの「友達」の表現が今回のテーマです。
「友達=my friend」と言ってはいけないって本当?
まず最初に、ネイティブは本当に “my friend” と言わないのかというと、そんなことはありません。”my friend” と言います。
では、なぜ “my friend” と言わない、なんていう話が出てくるのかというと、それは “my friend” は「(その人には)友達が一人しかいない」という意味になってしまうから、というものです。
これはマーク・ピーターセンさんの著書『日本人の英語』という本にも出てくるのですが、こんな記述があります(”my friend” の代わりに “her cat” が例に挙げられています)。
One day her cat came in out of the rain all wet,
英語では、いきなり “her cat” で紹介した場合、それは her one and only cat という意味になる。(中略)”her cat” という言い方は、ここで「彼女のところには、猫が一匹いる。その猫は…」という意味になる。
これを “my friend” に置き換えてみると、文にいきなり “my friend” が登場すると「my one and only friend=たった一人の友達」ということになる、ということなんですね。
“my friend” の “my” の意味とは?
確かに “my” は “a” と違って「限定する役割」があります。
“a cat” なら、どの猫か具体的にイメージできないただの「一匹の猫」ですが、”my cat” と言えばスポットライトがシュッと一匹を指す、特定された「私の一匹の猫」というニュアンスになります。複数匹飼っているなら “my cats” です。
こういった意味で “my” は “the” に似ています。「特定された、その猫」と言われれば、やっぱり猫は1匹ですよね。なので、
- I ran into my friend on the street.
というと、日本語では「道で友達にばったり会った」ですが、そこに隠されたニュアンスは「私には友達が一人いる、その友達」という理屈になるんですね。
でも実際のところは、こんな場面で “my friend” と言っても相手は「この人は友達が一人しかいないんだ」と本気で思うことってあまりないのではないかと思います。なので、それほど気にすることもないと個人的には思うのですが、こんな場合に “my friend” ではない表現を私はネイティブからとてもよく耳にしました。それが、
- a friend
- a friend of mine
です。
“a friend” と “a friend of mine” の意味と使い方
私がニュージーランドでネイティブの英語を聞いていて感じたことの一つが「本当に “a friend of mine” って使うんだ!」ということです。
そして、それと同じかそれよりもよく耳にしたのは “a friend” です。「友達の一人」や「ある友達」ということですね。
例えば「道でばったり友達と会ったんだよ」は、
- I ran into a friend (of mine) on the street.
という感じです。こんな “a friend of mine” と “a friend” がよく使われるのは、こんな場合なんです。
- その友達を話題に初めて登場させる時
- その話題に「誰のことか」は重要ではない時
- 相手がその友達のことを知らない場合
です。ここで思い出して欲しいのが、”a” のイメージです。先ほど「具体的に誰のことかイメージできない」というイメージだとお話ししましたが、まさにそれです。上の3つのパターンはどれも、相手には具体的な「誰」というイメージは伝わりません。
- I ran into a friend (of mine) on the street.
も、道で会った友達が誰なのかは会話の相手には分かりません。誰なのかは重要ではない(特に言う必要を感じていない)のかもしれないし、道で会った友達のことを会話の相手は知らないのかもしれません。そんなニュアンスで「友達」が表わされています。
他にも “a friend (of mine)” が使われそうな文をいくつか挙げてみると、
- I talked to a friend yesterday and he said to me, 〜
昨日友達と話したんだけど、彼が〜って言ってた - I’m meeting a friend (of mine) for dinner tonight.
今日は友達と会ってディナーするんだ - I went shopping with a friend (of mine) last week.
友達と先週買い物に行きました - A friend (of mine) has just sent me this pic.
友達がこんな写真を送ってきた - A friend (of mine) is coming from Canada to see me.
友達がカナダから私に会いに来るんだ - A friend (of mine) recommended this place.
友達がこの店をおすすめしたんだ
さらに、”a friend from 〜(〜の友達)” なんかもよく使う表現です。
- He’s a friend from high school/work.
彼は高校時代の友人です/職場の友人です
ちなみに「友達の友達」は “a friend of a friend” と言いますよ。どんな友達かをザックリ表す時に便利な表現です。
繰り返しになりますが「友達の一人」を “my friend” と言わないということではありません。あくまでも “a friend (of mine)” ってこんな場合に使うよ、というイメージです。
これに対して、”my friend” を問題なく使う場合というのもあります。次は、そんな “my friend” のイメージと使う場面を見てみましょう。
“my friend” のイメージと使い方
先ほどもチラッと触れましたが、”my friend” は “the friend” に近いニュアンスなので、その友達が「誰」か特定されるイメージです。
なので、これは “a friend (of mine)” と違ってこんな場合によく使います↓
- すでに話に出てきた「友達」を表す時
- 「誰のことか」が具体的にイメージできる場合
上で引用したマーク・ピーターセンさんの『日本人の英語』にあった記述をもう一度よく見てみると、
英語では、いきなり “her cat” で紹介した場合、それは her one and only cat という意味になる。
と書かれています。この「いきなり」が結構重要なポイントで「いきなり」や「誰のことか分からない場面」ではない時には「友達が一人だけ」というニュアンスにはならず、普通に “my friend” を使います。
具体的に例を挙げてみると、
- Who’s that guy? −Oh, he’s my friend.
「あの男の人誰?」「あぁ、彼は私の友達だよ - Hey John, this is my friend Yuko.
ジョン、こちらは私の友達のユウコです - My friend Tom is a great photographer.
友人のトムは素晴らしいカメラマンなんだよ
これらは目の前にいたり、名前を挙げたりして「具体的に誰なのか」を思い浮かべられますよね。
こんなふうに限定されるのが “my” のイメージなので、逆に、具体的にイメージできない「誰のことか特定されていない」場合に “my friend” と言われると「ん?誰のこと?」と直感的に感じて違和感を持つ人がいるのかもしれません。
“friend” ではなく、具体的な名前で言うことも
私がもう一つ気付いたことがあります。それは、日本語なら「友達」と言いそうな場面で、ネイティブは具体的に「名前」を挙げることも多いということです。
どういうことかと言うと、例えば、私がJohnという人を知らないのに、会話の相手が、
- John gave me a lift.
ジョンが送ってくれたんだ - I’ll ask John.
ジョンに聞いてみるよ
みたいに言う感じです。こんなことが何度もあって、最初はその度に「○○って誰なんだろう…?」と感じていましたが、途中からはそういうもんなんだと慣れました。
またまた繰り返しになりますが「友達の一人」を “my friend” とは言わない、というのは個人的なワードチョイスによるところが大きいと思います。”a friend (of mine)” と “my friend” を使い分ける人もいるし、全部に “my friend” を使っても問題なし!と言う人もいると思います。そんな違いがあるんだなぁというのを知っておくことは “a” と “my/the” の使い分けにも生かされるかもしれませんね。
■ずいぶん昔に書いたコラムですが、こちらでも私が感じた日本語の「友達」と英語の「friend」の違いみたいなものを紹介しています↓
■マーク・ピーターセンさんの『日本人の英語』は時制が簡潔に解説されていて、冠詞・前置詞・副詞の使い方なども一読の価値ありです↓