英語で「〜の」を表す前置詞と言えば、真っ先に思い浮かぶのは “of” ではないでしょうか。
例えば「屋根の色」は “the colour of the roof”、「店の名前」は “the name of the shop” のような感じですね。
では、下の4つの文を英語で言うとどうなるでしょうか?
- そのドアの鍵持ってる?
- これがその質問の答えです
- 彼女は市長のアシスタントです
- 彼はフランスの日本大使です
このコラムのタイトルに出てしまっていますが、実はこれらの「〜の…」に “of” は使わず、4つとも前置詞の “to” を使って表します。
今回は「〜の」や「〜と」を意味する前置詞の “to” の使い方を紹介します!
「〜の」を表す前置詞の “to” とは?
早速、上の4つの例文を英語にしてみると、こんなふうになります↓
- そのドアの鍵持ってる?
→ Do you have the key to that door? - これがその質問の答えです
→ This is the answer to the question. - 彼女は市長のアシスタントです
→ She is an assistant to the mayor. - 彼はフランスの日本大使です
→ He is the Japanese ambassador to France.
これらの “to” の使い方、すんなり理解できましたか?
私は初めてこの “to” の使い方を 知った時に「なんで?」と思ったのですが、英英辞書を引いてみたら「なるほど!」とすごく納得したのを覚えています。
前置詞の “to” には「〜に」「〜へ」という意味だけではなくて、日本語になおすと「〜の」になってしまう意味もあるんです。
関係性・関連性を表す “to” の意味と使い方
この “to”、英英辞書ではこんなふうに定義されています↓
used to show a relationship between one person or thing and another
Oxford Advanced Learner’s Dictionary
used to indicate how people or things are related, connected, etc.
The Britannica Dictionary
前置詞の “to” は「誰かと誰か」あるいは「何かと何か」の、
関係性を示すために使われる
ということですね。先ほど登場した4つの例文をもう一度見てみましょう。
- そのドアの鍵持ってる?
- これがその質問の答えです
- 彼女は市長のアシスタントです
- 彼はフランスの日本大使です
「ドアと鍵」「質問と答え」「市長とアシスタント」「フランスと日本」、確かに2つのものには関係・関連がありますよね。

そして、この “to” のニュアンスが分かれば、日本人が間違えてしまいがちな、あんな文もすんなり理解できると思います。
“to” には「〜と」という意味もある
「トムはジェシカと結婚している」
「ジェシカはトムと婚約した」
これらを英語で言うと、
- Tom is married with Jessica.
- Jessica got engaged with Tom.
にしてしまいそうになりませんか?でも正解は、
- Tom is married to Jessica.
- Jessica got engaged to Tom.
なんです。この “to” も「誰と結婚しているのか」「誰と婚約したのか」という関係を示していると考えると、スッと納得できると思います。
では、“be married with 〜” は間違った英語かと言うと、実はそうでもないんです。英語としてちゃんと成立しているんです。以下の文はどんな意味だと思いますか?
- Tom is married with a child.
「トムは子どもと結婚している」と訳してしまうと、ちょっとおかしなことになってしまいますよね…。
実はこれは「結婚して子どもが1人いる」という意味なんです。「結婚している」という状態を表しつつ「子どもを1人もっている」という状態も表しているんですね。
今回紹介した前置詞 “to” の使い方は、意識してみると結構いろんなところに出てくるので、ぜひ覚えておいてくださいね!
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