日本の社会とは切っても切れない「お疲れさまです」という挨拶。
皆さんも普段から何気なく使っているはずです。
私も日本で会社員をしていた時は、出社から退社までの間に何回も数えきれないほど使っていました。
そんな「お疲れさま」という挨拶は英語でどんなふうに表現したらいいのでしょうか?
「お疲れ様」ってどんな時に使う?
皆さん、改めて思い出してみて下さい。
「お疲れさま(です・でした)」ってどんな時に使っていますか?
・社内の廊下やエレベーターで職場の人に会った時
・会社の人と電話で話す時の最初の挨拶
・何か大きな事をし終えた人を労(ねぎら)う時
・仕事を終えて帰る人に対して
日本語の「お疲れさま」って本当にいろんな場面で使われています。
もともとは相手の疲れを思い遣って労う時に使われる言葉ですが、相手が疲れている疲れていないは関係なく、単なる挨拶として形式化している感じもしますよね。
英語に「お疲れさま」はある?
こんなにいろんな場面で使える便利な「お疲れさま」ですが、英語にもそんな表現はあるのでしょうか?
残念ながら「お疲れさま」を一言で置き換えられる便利な表現は、英語にはありません。場面によって使うフレーズが変わってくるんです。
なので、日本語で「お疲れさま」と言う場面を大きく4つに分けて、英語ではどんな表現をするのか見てみましょう。
「お疲れさま」のシーン別英語表現
■社内の廊下やエレベーターで職場の人と会った時
こういうシチュエーションの「お疲れさまです」は単なる挨拶なので、英語では、
- Hi, ◯◯(相手の名前).
と言うだけです。とっても簡単ですね!その後に、
- How’s it going?
- How are you?
- How are you doing?
- How’s your day going?
- How’s your day been?
のように続けることが多いです。
■会社の人と電話で話す時の最初の挨拶
こんな場面でも、英語では「お疲れさま」にあたる特別なフレーズはありません。
例えば、Taroさんが同僚のJohnさんに電話をかけたとしましょう。そんな場合は、
- Hi, John. It’s Taro here.
みたいにここでも「Hi+相手の名前」で始めて、あとは必要なことだけ話します。電話を受けた人も “Hi, Taro.” のように返して、あとは用件に入ります。
■何か大きな事をし終えた人に対して
この場合は、英語にも「お疲れさま」に近い表現があります。
- Great work.
- Good work.
- Great job.
- Good job.
- Well done.
- Thank you for all your hard work.
などがよく使われますが、チームで大きな事をやり遂げた場合には最後に “, everyone.” や “, team.” を付けて「みんな、よくやったね」のようなニュアンスになります。
相手の「疲れを労う」というよりは「褒める」要素が強い感じも受けますが「お疲れさま」に少しは近い表現だと思います。
努力を評価して “Great effort.” と言うこともありますが、これも「お疲れさま」のニュアンスに近い感じもしなくはないですね。
最後の “Thank you for all your hard work.” は相手を労う「お疲れさま」に一番近いかもしれません。何かに時間・労力を割いて取り組んだ人に「お疲れさま」と言う感じですね。
■仕事を終えて帰る人に対して
日本では、まだ仕事をしている人に「お先に失礼します」と声をかけると、もれなく「お疲れ様でした」という返事が返ってきますよね。
そんな時、英語ではシンプルに別れの挨拶だけです。
- See you tomorrow.
が定番ですが、週末の金曜日には、
- Have a great/good weekend.
と言うことがとても多いです。ニュージーランドでは夕方に仕事を終えて帰宅する人も多いので、
- Have a good evening.
と言う人もいます。
直訳できない日本語特有の表現
「お疲れさまです」のような、仕事の疲れを思いやって労うという元々の意味が、そのまま日常の挨拶として使われるということは、英語には無いように思います。
それは良い・悪いではなく、単に習慣の違いです。
英語では職場の人に出会った時にも道で友達に会った時にも “Hi” が使われますが、日本語では “Hi” や “Hello” にあたる挨拶が一定ではないですよね。場面によっても立場によっても変わります。
“Hello” は「こんにちは」と訳されますが、日本では社内で職場の人に対して「こんにちは」とは言わないし、上司が部下に言う “Hi” は「ご苦労さん」と訳されることがあるかもしれません。
これまでにも「英語にしにくい日本語」のコラムをいくつか紹介してきましたが、日本語独特の表現というのは英語に直訳できないことがほとんどです。
それは、その習慣がないので、ピッタリの言葉がないというだけです。
言語は文化や習慣と切り離せないので、その国の習慣や文化を知ることにも繋がってきますよね。さらに、それが日本語の使い方を見つめ直す、いいきっかけにもなります。
「英語にしにくい」と思う日本語があれば、その日本語の使われ方やニュアンスを紐解いてみると、答えは案外簡単だったりしますよ。