東京オリンピックの開会式がついに目前に迫ってきましたね。
多くの会場では無観客となることがすでに決まっていますが「無観客」って英語でどう言うのでしょうか?
今回は「無観客」の英語表現とあわせて、「観客」を意味する “audience” と “spectator” の違いを取り上げます。
「無観客」を英語で言うと?
海外でも「オリンピック無観客」の話題はいろんなメディアで報じられています。
いくつか挙げてみると、
- The Olympic Games in Japan will be held without spectators at venues in and around the capital after a spike in coronavirus infections. −BBC
- The Olympics will take place without spectators in host city Tokyo −RNZ
- Organisers had said on Thursday there would be no spectators in the host city −The Guardian
のように “without spectators”、”no spectators” という表現が出てきます。この “spectator(s)” が「観客」です。
「観客」という意味では “audience” という単語もありますよね。日本語でも「オーディエンス」と言ったりするので、こちらのほうが馴染みがあると思うのですが、オリンピックの「無観客」はなぜ “without audience” ではないのでしょうか?
“spectator” と “audience” の違い
“spectator” と “audience” はどちらも「観客」を意味するのですが、そこにはちょっとした違いがあります。
英英辞書でそれぞれの意味を調べてみましょう。すると、こんなふうに書かれています↓
【spectator】 someone who is watching an event or game
(ロングマン現代英英辞典)
【audience】 a group of people who come to watch and listen to someone speaking or performing in public
“spectator” はイベントやスポーツの試合などを「観戦する」人に対して使われます。
それに対して、”audience” はコンサートや演劇・映画・講演などを見たり「listenする(聞く、聴く)」人々の集まり、つまり「聴衆」に対して使われる単語です。
つまり「どんな観客か」によって(観客が観戦するのか・聞くのかによって)単語を使い分けるんですね。
でも、どちらがどちらなのか、使い分けに迷いそうになりませんか?
そんなときはそれぞれの単語の背景を知っておくと、混乱せずに済むかもしれません。
“spectator” と “audience” の使い分け
“audience” が表す「観客」ですが、この “audi-” で始まる単語って他にもありますよね。
そう、”audio” です。「音声、音声の」といった意味ですが、これはラテン語で “to hear” を意味する “audīre” という単語に由来しているそうです。
“audience” も同じように “hearing” を表す “audientia” という語から来ているので「音」や「聞く」というところにポイントがあります。なので、コンサートや演劇・映画・講義などの観客は “audience” なんですね。
それに対して “spectator” は、上の英英辞書の定義に “watching” というキーワードが入っているように、ラテン語で “to watch” を意味する “spectare” という語から来ています。なのでスポーツの試合などを「watch=観戦する」という種類の観客を表します。
冒頭でいくつか紹介したオリンピックの「無観客」に関する報道では “without spectators” のように “spectator” が使われていますが、試合をlistenではなくwatchする人というニュアンスの「観客」だからですね。
オリンピックの話を英語でするときの参考になれば嬉しいです。
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