“some” という単語を知らない人はいないですよね。
では「someってどれぐらいの数や量を表すんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?例えば、
- I have some American friends.
- Can I get some water?
は何人、もしくはどれだけの量のことを言っているのでしょうか?
今回は、簡単そうで意外とスルーしてしまっている人も多いかもしれない “some” についてのお話です。
“some” の意味は「いくつか」?
確か学校では「some=いくつか」と習った記憶があります。なので、
- I have some American friends.
を訳すと「私には何人かのアメリカ人の友達がいます」みたいになりますよね。
さらに「日本語には訳さない some もある」とも習いました。例えば、
- Would you like some coffee?
コーヒーはいかがですか? - Can I get some water?
お水をもらえますか?
みたいな感じです。では “some” って一体何を表すために使われるのでしょうか?
“some” の本当の意味とは?
“some” が表すのはズバリ「あいまいな数」です。英英辞書にもはっきりこう書かれています↓
We use some before nouns to refer to indefinite quantities. Although the quantity is not important or not defined, using some implies a limited quantity
(Cambridge Dictionary)
- Can you get me some milk? (The quantity isn’t specified. Some suggests a normal amount, not an unlimited amount.
「不明瞭な量を示す」と書いてありますよね。そして「量は重要ではない(明確にされていない)が普通の量をほのめかしている」とも書かれています。少なすぎず多すぎず、そんな通常考えられる範囲の「ぼんやりとした数・量」を表すのが “some” なんですね。
- There’re some biscuits in the cupboard.
なら「クッキーが戸棚の中にあるよ」ですが、その数は多すぎることも少なすぎることもない「ぼんやりとした数」を表しています。
- I have some American friends.
は、誰と誰と誰と…と友達の顔を思い浮かべているのではなく、あくまでもぼんやりとした数をイメージしています。
“some” を理解する上で大事なこと
そして、ここからが大切です。
“some” で重要なのは「存在している」というニュアンスです。「あるよ、いるよ」というイメージですね。上に出てきた二つの文章、
- There’re some biscuits in the cupboard.
- I have some American friends.
も数が重要なのではなくて「クッキーがあるよ」「友達がいるよ」ということを言いたい文章なんです。
その他にもイメージしやすい例を挙げてみると、
- Would you like some coffee?
は「コーヒーはいかがですか?」と訳されますよね。家に来たお客さんに聞いているシチュエーションをイメージしてみましょう。
こう聞く場合って、コーヒーの用意がある時ですよね。家にコーヒーがないのに「いかがですか?」とは言いません。つまり、”some coffee” にはコーヒーの存在があるというニュアンスが含まれているんですね。
もう一つ例を見てみましょう。上のシチュエーションでお客さんがコーヒーを飲まない人だったとしましょう。そこでコーヒーの代わりに、
- Can I get some water?
と言われたとします。この “some water” にも、もらえるお水の存在を感じているニュアンスが感じ取れます。お水はどの家にもありますからね。
ところが、お客さんに出すようなペットボトルの水がなかったとしたら、
- Oh, sorry. I don’t have any(×some) bottled water. Is tap water ok?
ボトルの水はないんです。水道水でいいですか?
と言うかもしれません。ここは “some” ではなく “any” の出番です。ボトルの水の「存在がない」ので “some” は使えません。
■”some” と “any” の使い分けはこちらで紹介しているので、こちらもぜひ↓
ぼんやりとした存在 “some” の使い方
存在を表すぼんやりとした “some” は、こんな使い方からもイメージしやすいと思います。
- Some people love animals and others don’t.
動物が好きな人もいればそうでない人もいる
これは「誰」とか「何人」というハッキリしたものを思い浮かべているのではなくて「そんな人たちもいるなぁ」というぼんやりしたイメージです。同じように、
- Some birds cannot fly.
飛べない鳥もいる
これも、はっきりとした「どの鳥」ではなく、漠然と「飛べない鳥たち」の存在をイメージしている感じです。他には、
- Some idiot has parked in my space!
どこかのバカが私の駐車スペースにとめてるよ
汚い言葉遣いですみません…。これは1人の人のことを指していますが、それはやはりぼんやりしたイメージです。特定の人の顔をはっきりと思い浮かべているわけではありません。
そして、”some” はこんな意味でも使われるんです。
- Some 500 people were evacuated from their homes.
およそ500人が自宅から避難した
この “some” は副詞で「およそ」という意味になります。こんなところにも、ぼんやりした “some” のイメージが生きてくるんですね。
“someone”、”something”、”sometime” にも活かせる
さらに言えば、”someone” や “something”、”sometime” なんかもそうですよね。
- Someone’s left their phone here.
誰かがここに携帯電話を忘れてる
「誰か分からないけど」という、ぼんやりした「誰か」です。話し手は “someone” がどんな人なのか具体的に分かっていません。そして、
これらの “someone” はわざとぼかすために使われた “someone” です。特定の人のことを敢えて「誰」とは言わずに “someone” と言うことで、そのイメージはぼんやりしたものになります。
そして、”something” にも “some” が入っていますよね。
- I need something to drink.
何か飲み物が欲しい
は「何か飲み物」という非常にぼんやりしたイメージです。そして “sometime” は、
- I bought this sometime last year.
これは去年のいつかに買いました
なんかもはっきり覚えていない、ぼんやりとした「いつか」のことで、
- Why don’t we meet for lunch sometime next week?
来週のいつか、ランチしない?
も具体的な日付はイメージしていない、ぼんやりした「来週のいつか」というニュアンスです。
今回取り上げた “some” を「いくつかの、いくらかの」と訳すのはテスト用だけにしておいて、実際には「some=はっきりしないイメージ」を思い浮かべられるようになると、日本語訳に頼らずに使いこなしやすくなるのではないかと思います。
■”some” と “any” の違いを復習したい方はこちらからどうぞ↓
■”at some point” は、いつなのか具体的に決まっていない曖昧な「いつか」を表すときによく使われるフレーズです↓