今回はちょっと基本に戻って【過去形と現在完了の違い】のお話です。
この違いと使い分け方って、英語を勉強する人が誰でも一度はぶつかる壁ではないかと思います。
例えば、”I lost my key.” と “I have lost my key.” は日本語ではどちらも「私は鍵をなくしました」と訳されます。でも、その違いって一体何なのでしょうか?
現在完了形って日本人にはとってもイメージしにくいですが、私はとても大事だなと思っていて、特にイギリス英語圏で留学・生活するのなら、過去形と現在完了形の違いはとても重要です。
今回は、そんな過去形と現在完了形の違いを “I lost 〜” と “I have lost 〜” を例に挙げながら、分かりやすく解説したいと思います!
イギリス英語では現在完了形をよく使う
「イギリス英語とアメリカ英語の違いは?」と聞かれたらどんなことをイメージしますか?
発音やスペリングの違い(英:centre、米:center)、使う単語の違い(英:lift、米:elevator)などを思い浮かべる方も多いと思います。
でも、意外に知られていないのが【現在完了形の使い方の違い】なんです。
イギリス英語圏ではかなり頻繁に使われ、同じような意味の文章でもアメリカ英語では過去形を使う場合があります。
この違いが「イギリス英語圏で留学・生活をするなら、現在完了形は重要」と書いた理由です。
ちなみに、ニュージーランドもオーストラリアもイギリス英語の影響を強く受けているので、現在完了形をめちゃくちゃよく使います。
I lost my key. と I have lost my key. の違い
では、具体的に過去形と現在完了形の違いを、”I lost my key.” と “I have lost my key.” という例文を使って見てみましょう。
どちらの文章も日本語では「私は鍵をなくしました」と訳されますが、イギリス英語ではこんなふうに使い分けます↓
- なくした鍵が現在まだ見つかっていない場合 → I have lost my key.
- 単に「過去に鍵をなくした」という事実を表す場合 → I lost my key.
でも、アメリカ英語ではどちらの場合も “I lost my key.” と言えるんです。
ちょっとややこしいですね。
では、その辺をスッキリさせてみましょう!
過去形と現在完了形の違いをわかりやすく解説!
文法のことなら、とりあえずEnglish Grammar in Useで調べてみると、たいていなんとかなります。日刊英語ライフではいつもオススメしていますが、本当にいい参考書です。
早速【I have done and I did】という項目があったので見てみると、現在完了形と過去形の違いをこんなふうに説明していました↓
Tom is looking for his key. He can’t find it. He has lost his key. This means that he doesn’t have his key now.
Now Tom has found his key. He has it now.
Has he lost his key? No, he has found it.
Did he lose his key? Yes, he did.
He lost his key but now he has found it.
どうですか?とってもシンプルな英語で説明されていますよね。英語で英語を勉強するってハードルが高そうな感じがするかもしれませんが、実は日本語を介さないほうがストレートに頭に入ってきやすいことも多いんです。
では、上で書かれていることを、具体的にイメージしてみましょう。現在完了形で表す “I have lost my key.” とは、こういうことになります↓
鍵をなくして「鍵がない状態が今も続いている」を表しています。
そして、”I have found my key.” とは、こんなイメージです↓
これはさっきと逆で、鍵を見つけて「鍵がある状態が今も続いている」を表します。
そして、過去形の “I lost my key.” は単に「過去に鍵をなくした」という事実を伝えるだけで、現在鍵があるのかないのかは分かりません。過去形が表すのは「現在とは切り離された過去の出来事」です。
つまり、これらから言えることは、
【現在完了形】は「今」と繋がっていることを表す場合に使う
ということです。
現在完了形の使い方の例
私の実際の経験から、現在完了形の使い方が分かりやすい例をもう一挙つげてみましょう。
私がニュージーランドの宿泊施設のフロントで働いていた時によく耳にした表現に、
- We’ve eaten.
があります。これだけだと意味がわかりにくいですが、シチュエーションとしては、夜チェックインに来たお客さんに私が「レストランがもうすぐ閉まるのですが、利用されますか?」と聞いた時の返事です。
“We’ve eaten.” は「私たちはもうすでに食べました(食事は済ませました)」という意味で、この場面には現在完了形がピッタリなんです。
お客さんの返事の意図は「もうすでに食べてきたので、レストランは利用しない」ということです。つまり、食事を済ませたという【過去】と、そのためレストランは利用しないという【現在】を繋いでいるニュアンスを “We’ve eaten.” が表しているんです。
やはりここでも現在完了は現在との繋がりを表していますね。これこそが現在完了の真髄です。
アメリカ英語では過去形も使える
ここまで紹介してきたのはイギリス英語での現在完了の使い方で、アメリカ英語ではちょっと違います。イギリス英語で現在完了で表す場面でも、アメリカ英語では過去形で表すことがあるんです。
English Grammar in Use のアメリカ英語(北米英語)版である Grammar in Use には、
You can use the present perfect for new or recent happenings.
You can also use the simple past.
と書かれています。
これはどういうことかと言うと、例えば鍵をなくして現在も見つかっていない場合、つまり “I have lost my key.” のシチュエーションでも “I lost my key.” と表現することがあるんですね。
どちらを使ってもいいと言われると、そもそもの過去形と現在完了形の違いが分かりにくくなるので、まずはイギリス英語の部分で解説した違いをしっかり掴むことが大切ですよ。
■■過去形と現在完了の違い、過去形が持つイメージについては、こちらのコラムでも紹介しています↓
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