「ラフな服装」「ラフな格好」「ラフなスタイル」と言われると、どんなものを想像しますか?
では、それを英語で言うとしたら、どんなふうに表現しますか?
今回は、日本語で使われる「ラフ」と英語の “rough” の違いについてのお話です。
「ラフな服装」は英語で “rough clothes”?
「ラフな服装」って、どんなものを思い浮かべましたか?
人によって多少違うと思いますが、カッチリしたフォーマルな服装ではないものを思い浮かべたのではないかと思います。
「ラフな服装、ラフな格好」とは、程度の差こそあれ、だいたいカジュアルな服装のことを言いますよね。
では、これを英語で “rough clothes” や “rough style” と言うかというと、そうは言いません。
その理由は、英語の “rough” は違う意味で使われる単語だからです。
英語の “rough” の意味とは?
英語の “rough” に「カジュアルな」という意味はありません。
“rough” は、たいていこんな意味で使われます↓
ロングマン現代英英辞典
- not smooth
- not exact
- problems/difficulties
- not gentle
例えば1番の意味では「デコボコした道」を “rough road”、荒れて「ガサガサした手」を “rough hands” と言うように、表現が平らでなかったり、ザラザラした状態を表します。
2番は「ザックリした」というイメージです。”rough idea” は「大まかな(ザックリとした)アイデア」、”rough estimate” は「大まかな見積もり(推定)数・額」といった、「きっちりしたものではない」という意味です。
3番の “rough” は「きつい、大変な」と訳されることが多いですが、”rough day” や “rough time” とは問題や困難があって「苦しい、しんどい」というニュアンスになります。
4番は「乱暴な、荒っぽい」という意味です。ラグビーは “rough sport” の代表的なものですし、子どもがやんちゃに荒っぽく遊ぶのも “rough” で表したりします。日本語の「穏やかな、丁寧な」という意味での「やさしい」の反対語ですね。
他にも「(天気や海が)荒れた」「(町などが)治安の良くない」「(物などが)粗雑な作りの」といった意味もありますが、”rough” はあまりポジティブな単語ではありません。
日本語の「ラフな格好」というのは、ひょっとしたら、
look rough= to look untidy, dirty, or unhealthy
ロングマン現代英英辞典
の “untidy” の部分から来ているのかもしれませんが「カジュアル」という意味ではありません。
「ラフな格好」は英語で?
では「ラフな服装、格好」は英語でどんなふうに言えばいいのでしょうか?
「カジュアルな服装」という意味なら、そのまま、
casual
を使うといいと思います。
“casual clothes” や”casual wear” は「カジュアルな服」という意味だし、”casual attire” はちょっとかたいですが「カジュアルな服装」という意味で使われます。
- I usually wear casual clothes to work.
いつも職場にラフな服を着て行きます - There is no need to dress up, so feel free to come in casual clothes.
正装する必要はありませので遠慮なくラフな格好でお越しください - He was casually dressed in jeans and a t-shirt.
彼はジーンズにTシャツといったラフな格好をしていた
そして、”dress down” は「この場面ではこんな服装かな」というものよりもカジュアルな服装をする、という意味で使われるフレーズなので、こちらも場面によっては使えると思います。
- It’s not appropriate to dress down for a job interview.
就職面接にラフな服装はふさわしくない
もしくは「楽な格好で(来て)OK」と伝えるなら、他にも表現方法がいくつもあると思います。例えば、
- Please feel free to come in jeans or whatever is comfortable.
ジーンズでもなんでもラクな服でお越しください - Wear what you feel comfortable in.
楽な服でいいですよ
みたいな感じですね。
「ラフな服装」の「ラフ」は和製英語
「ラフな服装」という意味では「ラフ」は和製英語になってしまうので注意してくださいね。
また、日本語でも英語でも、ファッションにおける “casual” は結構幅が広いと思うので、こちらも場合によっては少し注意が必要かもしれません。
「ジーンズ、TシャツOK!」とハッキリ言われていれば大丈夫だと思いますが、仕事関係ではカジュアルとは言え、やはりきちんとした服装を暗に求められていることもあります。
“business casual” や “smart casual” といったドレスコードもわりとよく耳にするので、どんな “casual” があるのか、気になる方は画像検索してみてください!
ファッションにまつわる英語コラム
■「ワンピース」は英語で “one piece” ではありません↓
■「トレーナー」「スウェット」は英語で何て言う?
■”clothes” と “clothing” の違いは?