「それ」を表すときに “it” ではなく “one” が使われているのを見たり聞いたりしたことはありませんか?
例えば、こんな場面を想像してみて下さい。
あなたの友達が最新モデルの携帯電話を持っているとします。それはあなたも欲しいなと思っていた機種でした。
そんなときに言う「私もそれ欲しいんだ」。これ、あなたなら英語でどう言いますか?
“it” と “one” が意味する「それ」
「私もそれが欲しい」をシンプルな英語で言うとすると、
- I want it.
- I want one.
があります。でも、冒頭に出てきた場面では、1番の “I want it” は普通は使いません。
では、なぜ “I want it” ではダメなのでしょうか。
それは、”it” が表す「それ」とは、何か特定の「そのもの」を指すからです。
それに対して “one” の「それ」は “a 〜” 、特定していない「1つのもの」を表します。
ちょっと分かりにくいかもしれないので、例を挙げて見てみましょう。
“it” と “one” の違い
例えば、あなたのペンが行方不明になってしまったとします。
隣にいた友達に下の2つの質問をした場合、それぞれどんな意味になるでしょうか?
- My pen is missing. Do you have it?
- My pen is missing. Do you have one?
1は「(行方不明になっている私の)ペンを持ってる?」
2は「(何でもいいから)ペンを1本持ってる?」
という意味になります。
1の “it” は「私のペン」という特定のペンを指していますが、2の “one” はペンなら何でもいいんです。
では、もう1つ身近な例を出してみましょう。
海外旅行に行く時、目的地に到着する頃になると機内で入国カードが配られることがありますよね。
フライトアテンダントさんに「必要ですか?」と英語で聞かれて「それはもうすでに持っています」と英語で答えたい時、あなたなら何て言いますか?
これもついつい、”I already have it” と言ってしまいそうになりますが、ここは、
- I already have one.
が正解です。フライトアテンダントさんが手に持っている「それ」ではなくて、入国カードというものを持っているという意味なので、ここは “one” なんです。
“it” は “the 〜”、”one” は “a 〜”
“it” は “the/my/your 〜” とわざわざ言わない時に使われ、”one” は “a 〜” とわざわざ言わない時に使われます。
なので、”it” は特定した「ズバリそのもの」、”one” は不特定の「同じ種類のもの(1つ)」を表すんですね。
例えば、上の “My pen is missing” の例で言うと、
- Do you have it (=my pen)?
- Do you have one (=a pen)?
ということです。
これを踏まえると、冒頭に出てきた友達の携帯電話の話もすんなり理解できますよね。
- I want it (=your phone).
- I want one (=a phone).
ということです。「私もそれを欲しい」に込められた意味は「友達の携帯電話を欲しい」のではなく「それと同じ種類の携帯電話を1つ欲しい」なので “one” になります。
日本語ってややこしい
日本語にすると “it” も “one” も「それ」と訳せてしまうので、ややこしいんですよね。
でも、上に挙げた例のように整理して考えてみると、それほど難しくありません。
もしも全てに “it” を使ってしまっても、会話なら流れで相手は分かってくれると思いますが、ちょっと意識して使い分けてみて下さいね。
■今回紹介した “it” と “one” の違いを知っていれば、お店で注文する時に言う “one of those” もストーンと理解できると思います!↓