“anniversary” と言えば、どんな意味を思い浮かべますか?
ほとんどの人が「記念日」と答えるのではないかと思います。お祝いをしたりする華やかなイメージですよね。
ただ、英語の “anniversary” は日本語の「記念日」よりももっと広い意味を持っているって知っていましたか?
“anniversary” ってどんな意味?
日本語でも「アニバーサリー」という言葉はわりと馴染みがあるのではないかと思います。
例えば、テーマパークや商業施設などがオープン◯周年を迎えるというと「アニバーサリー」という言葉がよく使われますよね。
そんな「アニバーサリー」ですが、もともとの英語の “anniversary” の意味はこうです↓
a date on which something special or important happened in a previous year(ロングマン現代英英辞典)
「以前のある年に何か特別な、もしくは重要なことが起こった日」ということですね。
例えば、”anniversary” がよく使われるのは “wedding anniversary” です。
- Today is our tenth wedding anniversary.
今日は私たちの結婚10周年記念日です - We celebrated our wedding anniversary at ABC Restaurant.
私たちはABCレストランで結婚記念日を祝った
のように「◯周年記念日」というイメージで使われますよね。
でも、日本語では絶対に「記念日」とは言わない場合に、英語では “anniversary” が使われることもあるんです。
“anniversary” はめでたいことだけではない
「結婚記念日」を “anniversary” で表すのは、何の違和感もないですよね。
では、亡くなった人の「命日」という意味で “anniversary” は使えると思いますか?
実は英語では、年に1回やってくる故人の「命日」も “anniversary” で表現するんです。
日本語でいう「アニバーサリー」「記念日」は、おめでたくてお祝いするようなものに使うイメージですよね。なので「命日」を「アニバーサリー」と言うと「なんて不謹慎な!」と怒られそうです。
でも、上で紹介した英英辞典の定義をもう一度見てみてください。”something special or important happened”、と書いてありましたよね。
英語の “anniversary” には「めでたい」「めでたくない」という色はなく、どちらにも使うんです。
「命日」も英語で言うと “anniversary”
「(年に1回やってくる)命日」は英語では “the anniversary of 〜’s death” のように表します。
例えば、以前ダイアナ妃が亡くなってから今年で20年という報道がありましたが、そこでも、
- Princess Diana’s 20th anniversary
- Thursday, August 31, marks the 20th anniversary of the shocking death of Diana, Princess of Wales.
のように “anniversary” が使われていました。
ただ、ここでちょっと注意が必要なのは、日本語では亡くなった次の年の命日が「1周忌」、その翌年は「3回忌」と言いますよね。なので「3回忌」からは英語で表現するときに数がずれます。
- 1周忌(亡くなった翌年)→ the first anniversary of 〜’s death
- 3回忌(亡くなった翌々年)→ the second anniversary of 〜’s death
- Today is the second anniversary of my mum’s death.
今日は母の3回忌です(亡くなって2年の命日です) - It’s the fifth anniversary of the passing of my mum.
今日は母の6回忌です(亡くなって5年の命日です)
“anniversary” は「○周年の日」
他にもある、めでたくない “anniversary” の例を少しだけ挙げてみましょう。
まずは、アメリカ同時多発テロが起きた9月11日。毎年この日も「テロから○年」のような報道がありますが、そこでも “anniversary” が使われます。
- the anniversary of the September 11 terrorist attacks
- This year marks the 16th anniversary of the attacks.
のような感じですね。めでたくない “anniversary” は “mark” という動詞と一緒に使われることが多いです。これは、
to celebrate or officially remember an event that you consider to be important(オックスフォード現代英英辞典)
という意味で、”anniversary” と一緒に使って「○周年を記念する」を表しますが、祝うことではない場合には「記念」という言葉に抵抗がある方もいるので「○周年にあたる」とした方がしっくりくるかもしれませんね。
他にも、大震災が起こった日や戦争にまつわる節目の日など「あれから○年」を表すときにも必ず出てくるのが “anniversary” です。
先日、ビデオメッセージで広島と長崎の原爆に触れながら核兵器ゼロを求めたNZのアーダーン首相も、
- the 75th anniversary of the atomic bombings in Horoshima and Nagasaki
という表現を使っていました↓
75 years ago the world saw the catastrophic humanitarian consequences of nuclear weapons. It must not happen again. Only nuclear zero is worthy of the victims of Hiroshima & Nagasaki. PM Ardern urges all States to join the Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons #nuclearban pic.twitter.com/m4rNo9ygzm
— New Zealand Ministry of Foreign Affairs & Trade (@MFATNZ) August 6, 2020
ちなみに今日8月15日の「終戦の日」を日本政府は “the Day to Commemorate the War Dead and Pray for Peace” という英語表現をしています。
ただ、立場が変われば表現も変わって、イギリスやニュージーランドでは8月15日を “VJ Day(Victory over Japan Day, Victory in Japan Day)” と呼びます。また、アメリカではサンフランシスコ講和条約が締結された9月2日が “VJ Day” になっています。
ちょっと話がそれましたが「anniversary=記念日、めでたい日」と思っていた方は、今回紹介した使い方もぜひ覚えておいてくださいね。
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