【関係代名詞】と聞くと、急に頭が痛くなってしまう人はいませんか?
英語の授業で習ったものの、何だかよく分からないややこしい説明をされて「関係代名詞=難しい」という印象を持っている人が多いかもしれません。
何を隠そう、私自身も苦手意識がありましたが、ニュージーランドで生活をしていて気付いたことがあります。それは「関係代名詞はものすごく大切」ということです。
今回は、関係代名詞に苦手意識を持っている方にこそ読んでもらいたいコラムなので、細かい使い方の説明ではなく、なぜ使うのか?、いつ使うのか?といった点を分かりやすく解説したいと思います!
関係代名詞は本当に必要なのか
「関係代名詞なんか使わずに、シンプルな表現で話すことが大切」と言う人もいる思います。
これは私も全く同意です。「シンプルな表現で話すこと」はとても大切だと私も思っています。
ただ、私がニュージーランドで15年暮らした経験から言うと、関係代名詞は特別な表現ではなく、普段から使うので、絶対に使えるようになった方がいいものです。
ネイティブも日常的に使っていますし、本来はそれぐらい基本的な表現なはずです。
それなのに、なぜ日本人には「難しい、複雑な表現」と感じてしまうのでしょうか?その理由は、日本語と英語の違いにあるのではないかと私は思います。
その違いは後ほど触れますが、まずは「関係代名詞とは何なのか?」から見てみましょう。
関係代名詞とは何?なぜ使う?いつ使う?
代表的な関係代名詞を挙げると、”who/which/that” がありますよね。
では「関係代名詞って何?その働きは?」と聞かれたら、あなたはどんなふうに答えますか?
「2つの文をつなぐ」と学校で教わったような気がするのですが、それだけなら関係代名詞の必要性をあまり感じないですよね。
なぜなら、別につながなくても2つの文に分けて言えば済む話だからです。ネイティブとの会話に関係代名詞が出てきても「あ!2つの文をつないでる!」と感じることはありません。
関係代名詞の働きとは「2つの文をつなぐ」ことではなくて「説明を加える、情報を補う」ことだと私は思います。
説明を加える役割をするものの代表例を皆さんもご存じのはずです。それは「形容詞」ですよね。例えば、
- その背の高い男性は私の兄です
→ The tall guy is my brother. - 私は新しい腕時計を買った
→ I bought a new watch.
みたいな感じです。”tall” も “new” も後ろの名詞が「どんな人/物なのか」を説明しています。
でも、形容詞で説明しきれない場合もあるんです。例えば、
- サングラスをかけているその背の高い男性は私の兄です
- 私がタイで買ったロレックスの腕時計は偽物だとわかった
これらは形容詞だけで「どんな男性なのか」「どんな時計なのか」を説明するのは難しいですよね。そんな時に登場するのが【関係代名詞】です。
関係代名詞を使った例文
では早速、これらを関係代名詞を使って英語にしてみましょう。一例を挙げてみると、
- サングラスをかけているその背の高い男性は私の兄です
→ The tall guy who/that is wearing sunglasses is my brother. - 私がタイで買ったロレックスの腕時計は偽物だとわかった
→ The Rolex watch that/which I bought in Thailand turned out to be a fake.
太字になっている関係代名詞 “who/that”、”that/which” はそれぞれどちらを使ってもいいです。
1番は “the tall guy” とは「どんな人なのか」という説明が関係代名詞の後ろに来ています。「サングラスをかけている」ですね。
そして2番は、”the Rolex watch” が「どんな腕時計なのか」を関係代名詞の後ろで説明しています。「私がタイで買った」ですね。
こう見てみると、日本語と英語の文の構造の違いに気付きませんか?この構造の違いこそが、関係代名詞を使う理由なんです。
英語は後ろに説明を足していく言語
先ほどの二つの例文をもう一度見てみましょう。分かりやすいように、ポイントになる部分を太字にしてみます。
【日本語】サングラスをかけているその背の高い男性は私の兄です
【英語】The tall guy who is wearing sunglasses is my brother.
【日本語】私がタイで買ったロレックスの腕時計は偽物だとわかった
【英語】The Rolex watch that I bought in Thailand turned out to be a fake.
日本語は「どんな人/もの」なのかを表す説明が全部、名詞の前に来ていますよね。
「サングラスをかけているその背の高い→男性」「私がタイで買ったロレックスの→腕時計」と、名詞の説明が前にめちゃくちゃ長くくっついています。
それに対して英語は「the tall guy」「the Rolex watch」のような(形容詞プラス)名詞がまず先に来て、それ以外の説明は後ろにくっついています。
これが日本語と英語の文の構造の大きな違いです。
英語では、前から修飾する形容詞で説明しきれない場合、最初にポンと「これ」と言っておいて、後ろにどんどん説明を付け足していきます。なので、その時に必要になってくるのが【関係代名詞】なんです。
【関係代名詞】とは名詞の後ろで「それはどんなもの(人)かこれから説明しますよー」と知らせるためのものなんですね。
関係代名詞で長い文も作れるように
短い細切れの文ばかりで、長い文で話せないとお悩みの方はいませんか?それはもしかしたら言葉をうまくつないでいく方法を身につけていないからかもしれません。
形容詞だけで修飾しようとすると、作れる文に限りがあります。なので、文をいくつかに分ける必要が出てきます。会話ではこれでも言いたいことは伝わるので、全く問題はありません。
ところが、関係代名詞を使って文を作ることができると、表現したいことが圧倒的に楽に、しかもスッキリ言えるようになります。
例えば、身近なところで「美味しい茄子の選び方」を聞かれたとしましょう。「張りがあって重たいものを選ぶといいよ」と言いたいとしたら、
- Choose one that feels firm and heavy for its size.
みたいに一つの文でスッキリ言えてしまうんです。便利じゃないですか?
こんなふうに「〜な人(もの)」という説明を加える方法さえ知っていれば、ブツブツ切れた短い文をいくつも並べるのではなく、一つの文でスッキリ表現できるようになるんです。
最初はちょっと慣れないかもしれませんが、練習すれば関係代名詞ほど使えるものはありません。
今回のコラムで「なぜ関係代名詞が必要なのか分からない」「どんな時に使えばいいのか分からない」という人が一人でも減って、苦手意識解消への第一歩となれば嬉しいです。
■関係代名詞の “which” の使い方はこちらで詳しく紹介しています↓
■関係代名詞には “what” もあります。実は会話で一番よく使われるのはこの “what” かもしれません。