相手を傷つけずに「バカだねー」を英語で言うと?

今回は結構デリケートな言葉「バカ」を取り上げてみたいと思います。

「バカ(な)」を表す英語で思いつく単語はどんなものですか?

“stupid”、“idiot”、“foolish”、“dumb” などを思い浮かべた方もいるかもしれません。中でも “stupid” は特によく知られている単語ではないでしょうか。

でも実は “stupid” はとても強い言葉。自分以外の人に対して迂闊に使ってはいけません。

そこで今回は、日常会話でもよく耳にする、人を傷つけない「バカな」「おバカな」を表す単語を紹介したいと思います!

目次

“silly” はちょっとした「バカな」「おバカな」

上のタイトルに出てきましたが、今回紹介したい単語は、

silly

です。これは “stupid” とは違い、親が子どもに対して使うこともあれば、私の友人の子どもは母親とふざけている時に “You’re silly, Mummy!” とよく言っていましたが、母親は怒るどころかニコニコしていました。

では、なぜ “silly” は人に対して使ってもいいのでしょうか?

その理由は “silly” の意味を詳しく見ていけば分かります。

“silly” は頭の悪さをバカにしているわけではない

英和辞書には「silly=ばかな、愚かな、思慮のない」などと書かれています。こう見ると結構きつい感じがしませんか?

そこで、いつものように英英辞典を引いてみましょう。すると、こう書いてあります↓

showing a lack of thought, understanding or judgement

Oxford Advanced Learner’s Dictionary

つまり、“not intelligent” だと言っているのではなく、考え(思慮)がちょっと足りなかったり、理解や判断が欠けている(甘い)というニュアンスなんです。例えば、

  • I made a silly mistake.

のように、

a silly mistake

という組み合わせをよく耳にします。

これは「バカな間違い」と訳されることが多いですが、しっかり考えたら分かるのに何でこんなミスしたんだ?のようなミスのことを指します。テストでのケアレスミスなんかはこの典型的な例ですね。また、

a silly idea

も “silly” のニュアンスをよく表していると思います。理解や考えが欠けている「馬鹿げたアイデア」「くだらないアイデア」といったニュアンスになります。そして、

  • It was silly of me to believe her.
    彼女を信じるなんて私がバカだった

のように、

It’s/That’s silly of 〜

という使い方もしますが、上の例文の場合は彼女を信じるという、その考え・判断が甘くて「バカだ」と言っているんですね。なので「うかつな」という訳が当てはまることもあります。

これらの “silly” は言動に対する言葉であって、極端に言えばめちゃくちゃ賢い人でも “silly” になり得るわけですね。

“silly” は笑いが起こるイメージ

“silly” はふわっと笑いが起こる「おバカな」の意味でも使われます。

この意味での “silly” はコミカルな感じ、ふざけている感じ、人を笑わせるといったイメージです。英英辞書の定義を借りると、

not serious

ロングマン現代英英辞典

です。例えば、子どもがふざけてする「変顔」は “silly face” ですし、それを見た親は、

  • You’re so silly!

と言うかもしれません。そして、その場に他の人がいたら、親はその人に、

と言うかもしれませんね。
また、スマホをカバンに入れたはずが、実はリモコンだった…なんていう時には、一人で笑いをこらえながら、

  • Silly me!

というふうに “silly” が使えます。「私っておバカね」みたいな感じですね。

なので、キツい「バカじゃない?」ではなくて、ふわっとした笑いが起こる「バカだねー」「おバカ」が “silly” なんです。
私の地元の関西弁で言うなら「アホやな」です。そこにトゲはありません。時にはむしろ愛情です。この感じ、分かってもらえますかね(笑)

“silly” を使ったフレーズ “Don’t be silly!”

最後に、会話によく出てくる “silly” を使ったフレーズを紹介しておきましょう。まずは、

  • Don’t be silly!

これはそのまま「何(バカなこと)言ってんの」のようなニュアンスです。

例えば、お給料日前で節約しているのに「今日は外食したいな」と旦那さんや奥さんに言われたら “Don’t be silly.” と返す、といった感じです。

また、誰かの申し出に対して「そんなことわざわざしてくれなくていいよ」と返す時に “Don’t be silly.” が使われることもあります。

例えば、友人たちと集まった帰りに、全く反対方向に住んでいる友達が「送っていこうか?」と言ってくれた時に “Don’t be silly. I’m fine.” と返す感じです。

そして最後は、

  • This might be a silly question but …?

です。「こんなこと聞いたらバカだと思われるかもしれないけど…」と、質問する時の前置きとして、けっこう役に立つフレーズです。“but” の後ろに質問したいことを言うだけでOKですよ。

ぜひ覚えて使いこなしたい “silly”

さて、今回は “silly” についてのお話でした。

ちょっとした「バカな」「おバカな」に使うので、日常生活で耳にする機会はわりと多いように感じます。

“silly” は “stupid” のように強い言葉ではないので、人に対して使っても大丈夫なことが多いですが、やはり声のトーンや表情が大事だったりするので、そこだけは少し気をつけてくださいね。

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