先日、街で “want to” の面白い使い方を耳にしたので、今回はそのことを書いてみたいと思います。
その日、私は海の近くを歩いていたら向こうから中年の男性が2人歩いてきました。
目に入ったので何気なく見ていると、1人は途中で立ち止まり、もう1人は私とすれ違ってどんどん先に歩いていってしまいました。
そのあたりにはたくさんの屋外アートが置かれていたのですが、立ち止まった男性の目の前には、誰かの言葉が刻まれた石のアートが。
その言葉を読んでいた男性は、先に行ってしまったもう1人の男性に向かって大きな声で “Hey Rob, you want to read this!” と言ったんです。
「ロブ、あなたはこれが読みたい!」ってすごく違和感がありませんか?
これは一体どういう意味なのでしょうか?
ポイントは “want to”
そう言えば、以前書いた「雪だるまつくろうは英語で?アナと雪の女王より」のコラムでも “want to” を紹介しました。
“Do you want to build a snowman?” で「雪だるまを作ろうよ」という意味でしたよね。
今回も “want to” のお話ですが、”Do you want to build a snowman?” の使い方とは少し違います。
男性が言ったセリフをもう一度確認しておきましょう。
- You want to read this.
です。相手に質問しているのではありません。
この場合は、相手はもうすでに先の方に歩いていってしまっているので、相手が読みたいかどうかは関係なく、一方的に言っているカンジです。
この “want to” は一体どういう意味なのか、見当はつきましたか?
「〜したほうがいい」の “want to”
うまく日本語に訳せない “You want to read this.” ですが、実はこの “want to” の使い方は意外とよく出てくるんです。
英英辞書をお持ちの方は、”want” を引いてみて下さい。
オックスフォード新英英辞典には、最初にこんな意味が出てきます。
have a desire to possess or do (something); wish for
お馴染みの「〜が欲しい」や「〜したい」ですね。
では、もっと下の方まで読んでみて下さい。こんな意味が出てきませんか?
《informal》should or need to do something
“want” には、実はこんな意味もあったんですね。
“You want to 〜” は「〜した方がいいよ」とカジュアルに言う時に使われる、とても英語っぽい言い回しです。
相手が何かしたいと決めつけているような言い方に聞こえますが、そうではありません。
これで “Hey Rob, you want to read this.” の謎が解けましたよね。
アートに刻まれていた言葉を読みながら「Rob、これ読んだ方がいいよ!」と言っていたんです。ニュアンスとしては「ちょっとちょっと、これ読んでよ」のような感じですね。
「〜したほうがいい」”want to” の使い方
例えば、あなたが最近食べ過ぎているのに気付いた彼(彼女)に、
- You want to eat less.
と言われたら、それは「(食べすぎだから)ちょっと控えめにした方がいいよ」ということです。
また、この “want to” は否定形でもよく使われます。
例えば、女の子2人が「花子さんの彼ってイマイチだよね」と話しているとしましょう。
そこに突然、花子さん本人が現れて、2人に “Hey, what are you guys talking about?” と話しかけてきました。2人はビックリして花子さんに、
- You don’t want to know.
と言ったとします。これは「あなたは知りたくない」ではなくて「あなたは知らない方がいいよ」というニュアンスになるんです。
この “want to”、会話ではよく使われるものの、辞書にもあるようにあくまでも《informal》なので、きちんとした場では使わない方がいいですね。
■その他にも、”want to” は口語で「〜しない?」「〜してくれない?」という意味でも使われます↓
■”You might want to 〜” も口語でとてもよく使われるフレーズです↓
「〜した方がいい」の英語表現いろいろ
■「〜した方がいい」と訳される “had better”。実はちょっと注意が必要な表現です↓
■”may/might as well” の「〜した方がいい」の使い方はこちら↓
■”I would 〜” を使う「〜した方がいいんじゃないかな」はやわらかい響きになります↓