“favourite”。アメリカ英語では少しスペルが変わって “favorite”。
皆さんよくご存じの単語だと思います。
この単語を「お気に入りの」と覚えていませんか?
実は “favourite” の本当の意味は「お気に入りの」とはちょっと違うんです。
“favourite (favorite)” の意味は?
“favourite” は「フェイバリット」という日本語にもなっているので、わりとよく知られた単語だと思います。
では「その意味は?」と聞かれると、かなり多くの人が「お気に入りの」や「好きな」と答えますよね。
- What’s your favourite Japanese food?
と聞かれると、”Sushi, Yakiniku, Ramen, Sashimi and Tempura.” のように、自分が好きな食べ物をいくつか挙げる人もいるのではないでしょうか。
でも、冒頭にも書いたように “favourite” は「お気に入りの」「好きな」という意味ではないんです。
厳密に言うと完全に間違っているわけではないのですが、大事なポイントを見逃しているんです。
“favourite (favorite)” の本当の意味
では、実際のところはどんな意味なのでしょうか?
英英辞典で “favourite” を引いてみました。名詞と形容詞がありますが、形容詞の意味はこうなっています↓
your favourite person or thing is the one that you like the most
ロングマン現代英英辞典
ポイントは “the one that you like the most” の部分です。
さらに、English Vocabulary in Useでも “favourite” を調べてみると、テレビに関連するボキャブラリーのページにこんな例文が出ています↓
What’s your favourite programme? (=the programme you like most/best)
English Vocabulary in Use
もう分かりましたよね。”favourite” は単なる「好きな」ではなく「一番好きな」「最も好きな」という意味なんです。
“most favourite” は正しい?正しくない?
私も例に漏れず、”favourite” の意味は「お気に入りの」だと思っていました。
でも、ニュージーランドで通っていた語学学校の先生に「”favourite” の最上級は “the most favourite” ですか?」と聞いたら「そんな言い回しはしない。”favourite” 自体が最上級の意味だから」と教えてもらいました。
中学の授業で「お気に入りの」と教わった気がするのは私だけでしょうか?
日本語だと「お気に入りの○○は?」に対する答えは、一つだけではなく、いくつあってもいいですよね。でも、英語では、
- What’s your favourite 〜?
と聞かれて好きなものがいくつか思い浮かんだら、一番好きなものを答えるようにしましょう。
“one of my favorite/favourite 〜” の意味とは?
“favourite” は「一番好きな」ですが、実は「お気に入りの」のニュアンスで使うこともできるんです。それが、
one of my favourite/favorite 〜
で、これは直訳すると「一番好きな〜の1つ」ということです。例えば、
- This is one of my favourite songs.
- This is one of my favourite ramen places.
- It’s one of my favourite movies.
はニュアンスとしては「お気に入り」に近いと思います。「お気に入りの歌」「お気に入りのラーメン屋」「お気に入りの映画」みたいな感じですね。
ただし、もともとの意味は「最も好きな〜の1つ」なので、単なる “like(好き)” ではなく “love(大好き)” のニュアンスであることを忘れないでくださいね。
そして、”one of my favourite 〜” を使うときに間違えがちなのが「〜」に入る単語を複数形にするのを忘れてしまうことです。大きなミスではないので間違いなく伝わりますが「〜の1つ」なので「〜」は必ず複数形になるのを思い出してくださいね。
名詞の “favourite” の意味と使い方
“favourite/favorite” には名詞の「一番好きなもの(人)」という意味もあって、こちらもよく使われます。
こちらも英英辞書の定義を確認しておくと、
a person or thing that is best liked or most enjoyed
Cambridge Dictionary
です。この名詞の “favourite” を使っても「お気に入り」に近いニュアンスが表せて、それが、
one of my favourites/favorites
です。例えば、大好きな映画がたくさんあってどれも同じぐらい好きだから “This is my favourite.” と言えないような場合には、
- This is one of my favourites.
と言えるんです。この場合も「一番好きなものの1つ」になるので、ただの「これ好きなんです」よりも好き度合いが高いことを表せます。
いくつかある “favourite” の中の1つなので、ここでも “favourites” のように必ず複数形になることに注意してくださいね。
私の個人的な感覚ですが、この “one of my favourites” は結構よく耳にします。
「嫌い」を表すときに使える “least favourite”、”not my favourite”
形容詞の “favourite” は “my most favourite colour” のように “most” と一緒には使えませんが、実は、
least favourite/favorite 〜(一番嫌いな〜)
という表現はあるんです。ややこしいですね…。
- What’s your least favourite subject in school?
あなたの一番嫌いな科目は何ですか? - Tuesday is my least favourite day of the week.
火曜日は一週間の中で一番嫌いな曜日だ
みたいな感じで使われます。また、
- Celery is not my favourite.
セロリは一番好きな食べ物ではない=嫌いです
のように “not my favourite” を使うと、”I don’t like 〜” よりも遠回しな柔らかい表現になるので、こちらも合わせて覚えておくといいと思います。ちなみに、この “favourite” は名詞ですね。
こんなふうに、嫌いなものをやんわり「嫌いです」と伝えることができたら、ちょっと上級者ですよね。
こちらのコラムもぜひ参考にしてみてください!↓
■”my most favourite” とは言えない代わりに、ネイティブは “my favourite 〜 of all time” をとってもよく使います!