[この記事は2020年11月に公開されたものです]
まだ結果の出ないアメリカ大統領選挙。
トランプ大統領が集計の差し止めを主張し訴訟にまで発展するなか、ペンシルベニア州やニューヨークでは市民らによるデモ・抗議集会が行われました。
そのデモ行進で使われた横断幕やプラカードにも書かれ、全米に急速に広がっている標語、
- COUNT EVERY VOTE
- EVERY VOTE COUNTS
とは一体、どんな意味なのでしょうか?
“Count every vote” の意味とは?
Count Every Vote
それぞれの単語をそのまま訳してみましょう。
count=〜を数える、カウントする
every=どの〜も、あらゆる
vote=(投じられた)票
なので「投じられたあらゆる票を数えよ」という意味ですね。同じ意味で、
- Count every ballot
とも言われていますが、トランプ大統領が集計の中止・一時停止を求め、訴訟を起こしたことに対して市民は「投票された全ての票を数えよ!」と反対の声を挙げた形ですね。
デモや抗議集会は他の州にも広がりを見せ、SNS上でも「#counteveryvote」のハッシュタグをつけた投稿が広がっています。
“Every vote counts” の意味とは?
上の写真はニューヨークで行われたデモ行進の様子です。横断幕の上段に、
EVERY VOTE COUNTS
と書かれていますよね。これ、”Count every vote” の単語の順番を入れ替えただけにも見えますが、意味は全く違うんです。
ポイントは “count” の使い方です。これは「〜を数える」という意味ではなくて、
to have value or importance
Cambridge Dictionary
つまり「〜は価値がある」とか「重要である」という意味になります。
そうすると、”Every Vote Counts” は「どの票も重要である」ということですね。投じられた1票1票には価値がある、だから全ての票を数えよというメッセージです。
この “count” の使い方は「価値があるもの」が主語にくるのがポイントです。ここでは “every vote” が主語なので “count” に三人称単数現在形のsがくっついていますね。
募金や寄付を集めるときなどにも、
- Every dollar counts.
- Every penny counts.
というフレーズがよく使われますが、これも「どんな少額でも重要です」という意味になります。
“count” は名詞の意味も
一部の州で票の集計中止や一時停止を求めて訴訟を起こしたトランプ大統領。トランプ支持者が開票所へ押しかけ、繰り返しこう叫んでいる場面も見受けられました↓
Stop the count!
この “count” は言うまでもなく名詞です。「票を数えること、集計」という意味なので「集計をやめろ!」ということですね。
そんなニュースが流れるなか、インスタでこんな投稿を見つけて思わずニヤッとしてしまいました↓
「トランプの一番新しい敵」と書かれているのは、セサミストリートに出てくる紫の吸血鬼です。
数を数えるのが大好きで、なんでも数えてしまうこのキャラクターの名前をご存じですか?
日本語では「カウント伯爵」、英語で “Count von Count” です。”the Count” とも呼ばれますが、”Count” には「伯爵」という意味もあります。
「数える」の “count” と「伯爵」の “Count” をかけてあるんですね。票を数えるなと訴えるトランプ大統領のまさに新しい敵かもしれません…。
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