「クッキー」と「ビスケット」これらの違いは何なのでしょうか?
日本で「クッキー」「ビスケット」といえば、それぞれ違うものを指していて、だいたいこんなものというイメージがあると思います。
ただ、ニュージーランドで暮らして気付いたのは、現地の人が言う “cookie” と “biscuit” は日本でイメージする「クッキー」「ビスケット」とは少し違う、ということです。
クッキーとビスケットの違いは?
私がニュージーランドで暮らす前にイメージしていたクッキーとビスケットの違いはこんな感じです↓
●クッキー

●ビスケット

あくまでも私の中でのイメージですが、ビスケットは乾燥してパリッと固い、素朴な味のもののイメージで、クッキーはもっと脂肪分の多いリッチな感じです。
でも、ニュージーランドに来てビックリ。上の写真のような「クッキー」のことも “biscuits” と呼ぶんです。下の写真はニュージーランドで売られていた “biscuits” の詰め合わせです。

これって、クッキーの詰め合わせじゃないですか?
“cookie” と “biscuit” の違いは?
早速、英英辞書で “cookie” を引いてみると、こんなことが書かれています↓
[mainly US] a small, flat, sweet food made from flour and sugar
Cambridge Dictionary
「主にアメリカ」と書かれていますね。そして、定義が書かれた横にはチョコチップクッキーの写真が掲載されています。
では、同じ辞書の “biscuits” の定義はどうかというと、
(US cookie) a small, flat cake that is dry and usually sweet
と書かれていて、なんと “cookie” と全く同じ写真が掲載されています。
つまり、アメリカ英語で “cookie” と呼んでいるものをイギリス英語では “biscuit” と呼ぶんですね。その物自体に違いがあるのではなく、呼び方の違いだけのようです。
ニュージーランドはイギリス英語の影響が強いので、クッキーのことを “biscuit” と呼ぶ人がとても多いんです。
下の写真のような、クリームをはさんだものも “biscuits” と呼ばれています↓

本当に「クッキー」は biscuit?
辞書にはそう書いてありますが、実際にニュージーランドで “cookie” という単語が使われていないかと言うと、そうでもありません。
“cookies” という名前で売られているクッキーもたくさんあります。これらは、柔らかめでしっとりchewyなチョコチップクッキーやチョコクッキーなんかが多いです。
ただ、こういったものを総称で言うときには基本的には “biscuits” で、商品名としては “cookie” が使われていたり、人によって “cookie” と “biscuit” を使い分ける人もいるという、とっても曖昧な感じの印象です。
ニュージーランドのスーパーで見つけた「Choc Chip Biscuits」↓

そんな中、たいていどこの店でも “cookie” として売られているものがあります。
それは大きいクッキーです。カフェやスーパーのベーカリーコーナーなどでは手のひらのサイズかそれより大きいクッキーが売られていることがあるのですが、これはよく “cookies” と書かれています(下の写真右側がcookie、左はbiscuit)。

これらは大きいチョコチップやチャンクが入っていて柔らかくてchewyなので、やはりこういったものは “cookie” と呼ぶ傾向があるのかもしれません。
ARNOTT’S社の cookie と biscuit の違い

TimTam(ティムタム)でおなじみの、オーストラリアNo.1のビスケットメーカー『ARNOTT’S』からは「biscuit商品」と「cookie商品」の両方が発売されています。そこで、それらの違いを問い合わせたところ、回答をいただき掲載の許可をいただいたので、紹介したいと思います。
We find that many consumers (especially children) use the word ‘cookie’ when they are talking about biscuits that have that slightly uneven or “not quite perfect in shape” look that you get from some homemade biscuits. When we spoke with consumers they told us they preferred the name Cookie as they thought it best described the product
多くの消費者は “biscuits” の中でも、ちょっとでこぼこしていたり形が完璧ではなかったりする、家庭で作ったもののような形をしているbiscuitを “cookie” と呼んでいる、なのでそういった商品は消費者の意見を反映して “cookie” という名前になっているということです。
これはなかなか興味深い違いでした…。オーストラリアもイギリス英語寄りなので、“cookie” はあまり使われないのかと思ったら「家で作ったっぽい見た目」のものを多くの人が “cookie” と呼んでいるというのは初耳でした。
この会社の「cookie商品」は、このページの一番上のチョコチップクッキーの写真のようなクッキーです。確かに、ちょっと手作りっぽい形ですよね。ちなみに、TimTamは “(chocolate) biscuits” だそうです。
これはあくまでもこの会社の商品名における使い分けですが、とっても面白い違いだなと思いました。
アメリカ英語での “biscuit” とは?
さて、最後はアメリカの話です。アメリカでは “biscuit” はクッキーのことではなく、こんな意味で使われるそうです↓
(US) a type of bread usually baked in small, round pieces
Cambridge Dictionary
これはスコーンのようなパンの一種で、ケンタッキーフライドチキンのメニューにある「ビスケット」をイメージすると分かりやすいと思います。

なので、アメリカ人に “biscuits” と言うとこちらを想像し、イギリス人に “biscuits” と言うと「クッキー」を想像するので、少し注意した方がよさそうですね。
ちなみに、日本語では「ビスケット」のように「ケ」を強めに発音しますが、英語の “biscuit” の発音は最初にアクセントがあって /ˈbɪs.kɪt/ となります。こちらも気をつけてくださいね。
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