今回のコラムは、学校の授業ではあまり習わない「動物の子ども」の呼び方のお話です。
人間の子どもは、生まれてから “baby” に始まり “infant“、”toddler“、”preschooler” や “teenager” などと年齢によって違った呼び方もありますが、基本的に “child” と表すことができると思います。
では、動物の子どもはどう表現すればいいのでしょうか?これも “child” なのでしょうか?
動物の子どもに “child” は使わない
数年前、上野動物園のパンダの赤ちゃんが話題になりましたが「子パンダ」は “child panda” とはあまり言いません。
その他の動物も含め、生まれたての赤ちゃんは人間と同じように “baby” と呼びますが、子どもを表すのに “child” を使うことはあまりないんです。
そこで、英英辞書で “child” を引いてみると、こんなことが書いてありました。
a young human who is not yet an adult
(オックスフォード現代英英辞典)
「まだ大人ではない若い人間」と書いてありますね。なので、動物の子どもは”child” とは呼ばれないんです。
その代わりに “young panda” のように “young” を使って呼ばれたり、動物の種類によって特別な名前で呼ばれたりします。
「子犬」「子猫」「子羊」「子豚」を英語で
このあたりの単語は一度は耳にしたことがあると思います。
- 犬 dog → 子犬 puppy
- 猫 cat → 子猫 kitten
- 羊 sheep → 子羊 lamb
- 豚 pig → 子豚 piglet
“lamb” は生後12ヶ月以内のヒツジのことを指すので、「ラム肉」も子羊の柔らかいお肉となります。
“piglet” は『くまのプーさん』に出てくるピンクの子豚の名前としても有名ですよね。”piglet” はイノシシの子(うり坊)にも使われたりしますよ。
この “-let” で表す「〜の子、赤ちゃん」は他にもあって、
- フクロウ owl → フクロウの子 owlet
- ワシ eagle → ワシの子 eaglet
- カエル frog → カエルになったばかりの子ガエル froglet
※おたまじゃくしは tadpole - ハリネズミ hedgehog → ハリネズミの子 hoglet
みたいに呼びます。
では次に、ちょっと特殊な「動物の子どもの呼び方」を見てみましょう。
いろんな動物の子ども・赤ちゃんの英語表現
●pup:子犬、オオカミ・アザラシ・カワウソなどの子ども
子犬は “puppy” 以外にも “pup” と呼ばれることがありますが、この “pup” は犬以外の、
- オオカミ wolf
- アザラシ seal
- カワウソ otter
- サメ shark
- ハムスター hamster、大型ネズミ rat
- モグラ mole
- コウモリ bat
といった動物の子どもにも使われるんです。”wolf pup”、”seal pup” みたいな感じです。
●cub:クマ、トラ、ライオン、パンダなどの子ども
次に、”cub” もいくつかの動物の子どもや赤ちゃんに使われる単語です。例えば、
- クマ bear
- パンダ panda
- トラ tiger
- ライオン lion
- キツネ fox
- ヒョウ leopard
- セイウチ walrus
などの子どもは “cub” と呼ばれ、”bear cub(子グマ)”、”panda cub” や “lion cub” といった感じで使われます。
メジャーリーグに『シカゴ・カブス』というチームがありますよね。そのカブスは「小熊」の “cub” からきているようですよ。
●calf:牛、ゾウ、サイ、クジラ、キリン、ラクダなどの子ども
ちょっと大きめの動物の子どもによく使われるのは “calf” です。例えば、
- 牛 cow, bull
- ゾウ elephant
- サイ rhinoceros(略して rhino)
- クジラ whale
- キリン giraffe
- ラクダ camel
などの子が “calf(複数はcalves)” と呼ばれます。
●kit:イタチ、ビーバー、フェレット、ミンクの子ども
イタチ系の動物の子ども・赤ちゃんは “kit” と呼ばれます。
- イタチ weasel
- ビーバー beaver
- フェレット ferret
- ミンク mink
キツネの子(子ギツネ)も “kit” と呼ばれることがありますよ。
●duckling:アヒルの子、子ガモ
ひよこやヒナは英語で “chick” ですが、アヒルの子どもは “duckling” と呼ばれます。アンデルセンの有名な童話『みにくいアヒルの子』の英語題は “The ugly duckling” です。
ちなみに、カモも英語では “duck” なので、カモの子どもも “duckling” ですが、ガチョウ(goose)の子どもは特別に “gosling” という名前があります。
“gosling” は俳優ライアン・ゴズリング(Ryan Gosling)さんのように名字になっていたりもします。
●joey:カンガルー、ワラビーの子ども
カンガルーやワラビーなどの有袋類やコアラの子どもは “joey” と呼びます。
●子馬:foal、colt、filly
ちょっとイレギュラーなのが、馬です。子馬は “pony” ではありませんよ。”pony” とは小型種の馬のことです。
馬は1歳になるまでは “foal“、その後4歳になるまではオスの子馬は “colt“、メスの子馬は “filly” と呼び名が変わります。ややこしいですね。
●子鹿:fawn
シカもちょっとややこしくて、子鹿は “fawn” と呼びます。ただ、”calf” と呼ぶこともありますよ。
人間と同じ “kid/infant” で呼ぶ動物の子ども
冒頭で “child” は人間の子どもだけ、と紹介しましたが、実は人間の子どもに使う “kid” や “infant” は、ある動物の子どもをあらわすときにも使われるんです。
それはヤギと猿・ゴリラなどの猿人類。
- ヤギ goat → 子ヤギ kid
- サル monkey、ゴリラ gorilla → 子ザル、ゴリラの子 infant
人間に近い猿やゴリラの赤ちゃん・子どもが人間と同じ “infant” と呼ばれるのは興味深いですね。
では最後に、今回紹介したそれぞれの動物の子ども・赤ちゃんの英語名をまとめておきましょう!
- 犬 puppy (pup)
- 猫 kitten
- 羊 lamb
- 豚、イノシシ piglet
- オオカミ、アザラシ、サメ、ハムスター、モグラ、コウモリ pup
- クマ、パンダ、トラ、ライオン、キツネ cub
- 牛、ゾウ、サイ、クジラ、キリン、ラクダ calf
- アヒル、カモ duckling
- カンガルー、ワラビー、コアラ joey
- 馬 foal(1歳になるまで)、colt(4歳になるまではオス)、filly(メスの子馬)
- 子鹿 fawn
- ヤギ kid
- サル、ゴリラ infant
その他の動物の子どもにもいろんな呼び方があるので、興味のある方はこちらのサイト(英語)を見てみると面白いかもしれませんよ。
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