日本でも引き続き報道されている、ニュージーランドで起きたモスクでの銃乱射事件。
日本のニュースサイトを見ていたら、ある文章に目が留まりました。
目撃者の証言として「玄関の方を見ると、ヘルメットのようなものをかぶり、手に雑誌と大きな銃を手にした男が立っていた」と書かれていました。
雑誌?なぜ犯人は雑誌なんて持っていたのでしょうか?
これはおそらく、”magazine” の意味を取り違えたのだと思われます。
“magazine” には「雑誌」以外の意味もある
“magazine” の意味は?と聞かれたら、多くの人が「雑誌」と答えると思います。
そして、今回の事件の報道でも “magazine(s)” という単語がちらほら出てきているのも確かです。例えば、
- Christchurch mosque shootings: Gunman ‘had magazines strapped to his legs’(nzherald.co.nz)
- The Christchurch mosque shooter was able to get hold of large capacity magazines with ease(stuff.co.nz)
- A witness told AAP the shooter changed magazines seven times after opening fire(tvnz.co.nz)
みたいな感じです。
でも「雑誌を足にくくりつけていた」って奇妙ですよね。”large capacity magazines” は「大容量の雑誌」では意味が通じませんし、「雑誌を7回も交換した」もイメージできません。
その理由は、これらの “magazine” は「雑誌」ではないからです。
“magazine” には「弾倉」という意味もある
“magazine” には「雑誌」だけではなく、銃の「弾倉」という意味があるんです。
the part of a gun that holds the bullets
(ロングマン現代英英辞典)
銃の弾丸が収まっている部分=弾倉ですね。この部分が “magazine” と呼ばれます。
なので、英語の報道をいくつか見る限り、犯人が持っていたのは「雑誌」ではなく「弾倉」だと思います。
「いくつもの弾倉を足に巻きつけていた」「大容量の弾倉を容易に手に入れることができた」「弾倉を7回も交換した」ということですね。
この “magazine” は、”a 30-round magazine(30発入りの弾倉)” や “a large/high-capacity magazine” のように使われます。
また「弾倉」以外にも「武器倉庫、弾薬庫」といった意味もあります。
“magazine” の略語、”mag”
最後に、”magazine” の略語のお話を少し。
“magazine” はカジュアルな表現では “mag” と略されることが結構あります。”magazine” の最初の3文字ですね。
- I love fashion mags.
ファッション雑誌が好きです - I saw it in the inflight mag.
それ、機内誌で見たよ
みたいな感じですね。ちなみに「マグカップ」の「マグ」は “mug” なので、スペリングがちょっと違います。ご注意ください。
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