「一世帯につき布マスク2枚を配布」
こんな冗談としか思えない対策を発表した安倍首相。国民の不安を解消どころか、私は国を率いるリーダーとしての能力に不安しか感じませんでした…。
また「1世帯あたり現金30万円の給付」も発表されましたよね。
では「世帯」って英語で何て言うのでしょうか?
そもそも「世帯」ってどんな意味?
まずは日本語の「世帯」の意味を確認しておきましょう。
厚生労働省のページには、
世帯とは、住居及び生計を共にする者の集まり又は独立して住居を維持し、若しくは独立して生計を営む単身者 をいう。
と書かれています。詳しく調べて行くと何だか複雑なようですが、簡単に言ってしまうと「生計を共にしている人の集まり」ということです。
では、こんな「生計を共にしている人の集まり」は英語ではどう表現するのでしょうか?
「世帯」は英語で?
「世帯」を英語で表現するときによく使われる単語は、”household” です。この意味は、
a group of people, often a family, who live together
(Cambridge Dictionary)
なので「一緒に暮らしている人の集まり」ということですね。
日本とは海外ではシステムが違うこともあって、日本語の「世帯」の定義と全く同じではないですが、これが一番ニュアンスが近いのではないかと思います。
- The number of households is increasing.
世帯数は増えている - Coronavirus is having a huge impact on low-income households.
新型コロナウイルスは低所得世帯に多大な影響を与えている - You must be two metres away from anyone, except those from your household.
同じ世帯以外の人とは2mの距離を取らないといけない
“household” は集まりを指すので「世帯人数(世帯人員)」は “household member” で表します。
- The average number of household members has decreased.
平均世帯人数は減ってきている
この辺りは “family” と “family member” と同じですね。
“household” は名詞の前で使われると「家庭の、世帯の」といった形容詞の働きもします。”household waste(家庭ゴミ)”、”household income(世帯収入)” みたいな感じです。
「1世帯マスク2枚を配布」を英語で言うと?
では「1世帯につき布マスク2枚を配布する」を海外メディアはどんなふうに報道したのか見てみましょう。
Japanese Prime Minister Shinzo Abe is facing a public backlash after he said the government would distribute two reusable cloth face masks per household –CNN
「配布する」は “distribute”、「1世帯につき」は “per household” で表されていますね。”backlash” は「反発」、”reusable” は「繰り返し使える」という意味です。「安倍首相は政府が1世帯に布マスク2枚を配布すると発表して、国民からの反発に直面している」ということですね。
また、別のメディアでは、
Prime Minister Shinzo Abe announced plans on Wednesday to distribute two reusable cloth masks per household, to about 50 million addresses in the country. –Bloomberg
こちらでは「1世帯マスク2枚」と述べた上で、”to about 50 million addresses” で「約5,000万世帯へ」を表しています。また、ニューヨークタイムズは、
The masks will be sent to all of Japan’s more than 50 million households –The New York Times
“will be sent” で「郵送で配布される」、そして “to all of Japan’s households” で「日本の全世帯へ」を表現しています。
「1世帯あたり現金30万円を支給」は英語で?
同じように「1世帯現金30万円の支給が決定した」が英語でどう報道されたのかも少し見ておきましょう。
Japan is planning to distribute 300,000 yen ($2,768) to virus-hit households as part of its biggest-ever stimulus package, –Bloomberg
ここでも “distribute”、”household” が出てきていますね。COVID-19で所得が減少した世帯が対象なので、そこはザックリと “virus-hit” で表しています。
また、”package” には「ひとまとまりの提案・対策(措置)」という意味があるので、”stimulus package” は「経済刺激策」になります。
ロイター通信は、ちょっと長くなりますが、
Japanese Prime Minister Shinzo Abe said on Friday a stimulus package to combat the coronavirus pandemic will be rolled out next week(中略)A senior ruling party official told reporters on Friday he has agreed with Abe to offer 300,000 yen ($2,800) in cash payments per household that suffers a certain degree of income falls from the pandemic. –Reuters
と、より具体的に報じています。ここでは “offer 300,000 yen in cash payments per household” で「1世帯につき現金で30万円支給する」を表現していますね。
日本政府の対応の遅さ
日本の政府の今回の対応の遅さは尋常じゃないですね。
ニュージーランドは他の国に比べて感染の始まりが遅かったせいもありますが、政府の対策はビックリするぐらい早かったので少し紹介しておこうと思います。
まずは時系列的に並べてみると、
2月28日(感染者数1) 国内最初の感染者を確認
3月16日 (8)全入国者に14日間の隔離を義務化
3月17日(11)政府が経済支援政策を発表
3月19日(28)国境を封鎖
3月21日(52)4つのレベルからなる新型コロナウイルスの警戒システムを発表(この時点で警戒レベル2)
3月23日(102)市中感染を確認。警戒レベル3へ引き上げと同時に、48時間後にレベル4への引き上げ・学校閉鎖を発表
3月25日(205)警戒レベル4へ。非常事態宣言を発令、ロックダウン開始
NZ政府は、国内で感染者が出るまでに諸外国の例に学んで政策を練り、早いうちから十分な準備を整えていたことが日本との決定的な違いだと思います。
場当たり的に「今はまだ緊急事態宣言を出す状況でない」と発言するのではなく、事前に警戒レベルシステムを国民に周知して「市中感染が確認されたら警戒レベル3に、感染の広がりが確認されたら最大警戒レベル4のロックダウンへ」という具体的なプランを出していました。
そして、それぞれのレベルで取られる対策(集会の禁止、公共施設の閉鎖、教育施設の閉鎖、渡航規制、在宅勤務以外の禁止)などが目に見える形にまとめられ、国民が取るべき行動(social distancing、外出禁止、買い物はOK)などが具体的に提示されました。
日本とニュージーランドは国の規模が全く違うので簡単に比較することはできませんが、ニュージーランド政府の “Save lives” という徹底した姿勢と、明確で迅速な意思決定から学ぶことは多いと思います。
日本政府は国民の命を守ってはくれません。命を守るのは自分です。Stay home、social distancing、そして手洗いを徹底して感染予防に努めましょう。
●新型コロナにまつわる英語表現はこちら↓↓↓