今回のコラムは “look” と “seem” の違いのお話です。
例えば、こんな場面を想像してみて下さい。
あなたの家の隣に新しく引っ越ししてきたカップルがいたとします。
あなたの友達が「新しい隣の家の人たち、どう?」と聞いてきた時に「いい人そうだよ」と英語で答えたい場合、どんなふうに表現しますか?
この場合の「〜そうだよ」「〜みたいだよ」は “look” と “seem” のどちらを使うのでしょうか?
「彼らはいい人そうだよ」を英語で言うと?
実はこれ、私が実際に体験した話です。
以前住んでいた家の隣に住んでいたニュージーランド人のご夫婦に仲良くしてもらっていたのですが、私がそこから引っ越すことになりました。
引っ越してしばらくしてから、そのご夫婦と会った時に「(私のあとに引っ越してきた)新しいお隣さんはどんな感じ?」と尋ねてみたんです。
旦那さんと奥さん別々に尋ねたのですが、2人共から「いい人そうだよ」という同じ答えが返ってきました。それは以下のどちらだったと思いますか?
- They look nice.
- They seem nice.
自分ならどちらを使うか考えてみてから読み進めて下さいね。
奥さんと旦那さんから返ってきた「彼らはいい人そうだよ」は、
- They seem nice.
でした。では、なぜ “They look nice.” ではなくて “They seem nice.” なのでしょうか?
“look” も “seem” も「〜そうだよ」「〜のようだ」と訳されますが、そこには微妙な違いが隠されているんです。
“look nice” の意味とは?
皆さんご存じの通り、”look” には「見る」「見える」という意味がありますよね。
なので 、”look” は目で見てすぐに分かる事実から「〜そうだね」と言う場合に使います。
例えば、目の下に真っ黒なクマができて顔色が冴えない人を見て、
- You look tired.
と言うような感じです。または、とってもかわいい赤ちゃんを見て、
- The baby looks like an angel!
なんて表現することもあるかもしれません。これも、目に入ってくる情報から「天使みたい」と表現しているニュアンスです。
なので、”look nice” を人に対して使うと、服装や髪型がキマっている時など見た感じが「いいね」というニュアンスになるんです。
“seem nice” の意味とは?
それに対して “seem nice” は微妙に違います。
“seem” は “look” よりも、もうちょっと幅広く使われるんです。
見た感じだけではなく、それに対して自分が「こう感じる」といったような意見が入っていたり、目に見えないものに対して、状況や何かしらの根拠から「〜のようだ」と考えた場合にも使えます。
簡単に言うと、客観的に誰が見ても分かる事実というよりは、その人の主観が入っています。なので、上に出てきた、
- They seem nice.
は、その人たちと話した感じや、受ける印象から自分が判断して「いい人そうだ」「いい人のようだ」と言っています。
また、目に見えないものに “seem” を使う例としては、例えば夏休みに行った旅行の話をしたりしていて、
- That seems like a long time ago.
ものすごく前のことのようだ
といった感じで使えます。目で見て「昔のことみたい」と言っているのではなく、あくまで個人的な感じ方から「〜のようだ」と表現しているので “seem” なんですね。
“look” と “seem” の違い
“look” と “seem” はどちらも「〜のようだ」「〜そうだ」と訳されるので、日本語訳で考えると違いが分かりにくいかもしれません。
ただ、今回紹介したような違いがあるので、日本語訳で考えずにニュアンスを理解することが大切ですね。
実際に使う場面になって使い分けに迷ったら、またこのコラムを読み直してスッキリ使い分けてください!
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