「りんごもバナナも好きじゃない」。これ、英語でちゃんと言えますか?
自信を持って「言える!」という方は、今回のコラムはさらっと読んでくださいね。
「んー、あんまり自信ないな…」という方、大丈夫です。「◯も△もどちらも〜ない」は多くの人が間違えやすいポイントなので、このコラムでしっかりマスターしてしまいましょう!
「AもBも〜だ」を英語で
タイトルにある「りんごもバナナも好きじゃない」を英語にする前に、まずはウォーミングアップを。
「りんごもバナナも好きです」
これを英語にしてみましょう。
- I like both apples and bananas.
簡単でしたね。何のひねりもありませんが、こういう場合は “apples” のように複数形にするのを忘れないようにしましょう。
では次に、今回のタイトルの「りんごもバナナも好きじゃない」を英語にしてみましょう。
あなたならどう言いますか? “neither” を使った言い方もありますが、敢えて使わずにシンプルな表現にしてみましょう。
否定文の “and” は使い方に注意
- りんごもバナナも好きじゃない
→ I don’t like apples and bananas.
「りんごとバナナが好き」の “like” の部分を否定形にしてみましたが、これで正しいでしょうか?
実は英語では、こうは言わないんです。
では、どこが間違っているのでしょうか?
答えはこうです↓
I don’t like apples or bananas.
りんごもバナナも好きではありません
「りんごもバナナも」なのに、なぜ “and” を使うと間違いなのでしょうか?
“否定+A or B” で表す「AもBもどちらも〜ない」
“or” の定義を辞書で調べてみました。
Cambridge Dictionaryには、数ある定義の1つにこんなことが書かれています。
used after a negative verb to mean not one thing and also not another
一つだけじゃなくて、もう一つも「そうじゃない」ということを表すのに “or” が使われるんです。まさに「りんごもバナナも好きじゃない」に当てはまりますね。
では、なぜ “not … A or B” になるのでしょうか?
実は “not … A or B” の “not” は「Aではないし、Bでもない」というように、それぞれにかかっています。
それに対して、”not … A and B” の “not” は「AでありBである」というまとまりに対してかかってくるんです。 つまり「AかつB、ではない」となります。
具体的にどう変わってくるのかを見てみましょう。
否定文の “not A and B” と “not A or B” の違い
さきほど間違いの文として出てきた “I don’t like apples and bananas” を例にしてみましょう。
実はこれは「りんごもバナナも両方とも好き、ではない」という意味になるんです。つまり、りんごだけ好きでバナナは嫌い、もしくはその逆、ということです。
「りんごもバナナも好きじゃない」は両方とも嫌いということなので、意味が変わってしまいましたよね。
他の例を挙げると「私には兄弟も姉妹もいない」を表す場合にも同じことが言えます↓
- I don’t have any brothers or sisters.
が正解です。さらに、2つのことだけではなく3つ以上のことも表せます。オックスフォード現代英英辞典の例文を見てみましょう。
There are people without homes, jobs or family.
この意味はもうお分かりですね。「家も仕事も家族もない」ということになります。
“neither” で表す「AもBも〜ない」
ちなみに、「りんごもバナナも好きじゃない」は “neither” を使うと、
- I like neither apples nor bananas.
とも言えます。学校で習った記憶がある方もいるかもしれませんね。
でも、こちらはちょっとかしこまった表現なので、日常会話では上で紹介した【否定+〜 or …】を使った表現の方がよく耳にします。
今まで “and” を使っていたという方も、次からは “or” を意識して使ってみてくださいね!
■「果物は好きですか?」は “Do you like fruits?” と “Do you like fruit?” のどちらが正しいでしょうか?
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