“upset” ってどんな意味の単語だと思いますか?
ネイティブがとてもよく使う単語ながらも、意味を掴みにくいと感じる人が多いかもしれません。
日本語訳に頼って意味を覚えるのではなく、イメージで覚えるとすんなり理解できますよ。
“upset” が出てくる動画
以前、Facebookである動画がシェアされていました。U-12ジュニアサッカー、ワールドチャレンジの決勝戦の1シーンですが、この字幕に “upset” が出てきていました。
日本はバルセロナのチームに0-1敗れ、優勝を逃しました。試合終了直後、ピッチで涙を流して悔しがる選手たち。そこへ勝利したバルセロナの選手たちが歩み寄り、言葉をかけて元気づける様子が映し出されています(現在は字幕付きの動画が削除されてしまったので、字幕なしの同じ映像を貼り付けておきます)。
涙に暮れている日本の選手たちが映し出されたところで、”The Japanese Team was visibly upset” という字幕が付けられていました。”visibly” とは「目に見えて、明らかに」という意味です。
ということは、”upset” は「悲しい」という意味なのでしょうか?あるいは「がっかりして悔しい」のでしょうか?
“upset” の意味
実は、この場面ではどちらも間違いではないんです。
“upset” を英英辞書で引いてみると、こんなことが書いてあります。
unhappy or disappointed because of something unpleasant that has happened
(オックスフォード現代英英辞典)
上の動画のシチュエーションにピッタリですよね。では、こんな文章があったらどう訳しますか?
- My girlfriend is upset with me because I didn’t answer her call.
彼女からの電話に出なかったから、彼女はがっかりして悲しんでいるのでしょうか?
実は、この場合には「腹を立てている、怒っている」というニュアンスになるんです。
“upset” が「怒っている」という意味なら、上の動画に出てきた “The Japanese Team was visibly upset” はヘンですよね。
でも、English Grammar in Useにもちゃんとこう書いてあります↓
Upset is a common adjective, and means unhappy, sad, and sometimes angry.
「ハッピーじゃない」「がっかりした」「悲しい」「怒っている」…いろんな意味がありすぎて覚えられないですよね。でも大丈夫、無理に覚えようとしなくてもいいんです。
“upset” が持つイメージをつかんでしまえば、簡単に解決できてしまうんです。
“upset” はイメージでとらえる
“upset” は動詞で「(物)をひっくり返す、(船など)を転覆させる」というのがもともとの意味なんです。上下をひっくり返してめちゃくちゃにするというイメージですね。
これを「心」に置き換えてみると、どうでしょうか?
心がひっくり返されて、乱されている状態が想像できますよね。これがまさしく “upset” した状態です。つまり、”upset” は感情を表すのではなく、心の「状態」を表す単語だと考えれば理解しやすいと思います。
ただ、これをズバリ表せる日本語がないので「怒っている」「悲しんでいる」「取り乱している」「動揺している」「心配した」「イライラした」なんていうふうに、その状況に応じて様々な日本語に訳されるんですね。また、
- I have an upset stomach.
のように「胃がムカムカする」や「お腹の調子が悪い」といった意味で使われることもありますが、胃が “upset” している=落ち着いていない状態、ということになります。
さらに、”upset” は名詞で「番狂わせ」という意味もあります。
“upset” に共通するのは穏やかではない、乱されたイメージ。
心(や胃腸)が乱されているんだな、というイメージをしっかり持っておくだけで “upset” は理解できたも同然です!
日本語にしにくい英語って結構ある
今回の “upset” のように、日本語に訳しにくい英語って、実は結構あるんです。
そんな表現を扱ったコラムは以下のリンクから見られますので、ぜひあわせて読んでみてください!