最近、新型コロナに関するニュースで「東京のエピセンター化」という言葉を耳にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これまでは武漢型やヨーロッパ型など変異をしてきたコロナウイルスですが、東京型ができ始めているのではないかという可能性から、東京で「エピセンター」が形成されつつあるという報道内容でした。
では「エピセンター」って何なのでしょうか?
今回は、日本語ではあまり聞き慣れない「エピセンター(epicenter)」の英語の意味を紹介します!
「エピセンター(epicenter)」の意味とは?
「エピセンター」は英語で書くと “epicenter”、もしくはイギリス英語では最後のerがひっくり返って “epicentre” です。
“epicenter” は地震に関する用語ですが、その意味を調べてみるとこう書かれています↓
the place on the surface of the Earth that is right above the point where an earthquake begins inside the Earth
(ロングマン現代英英辞典)
日本語で言うと「震央(しんおう)」です。「震源」ではありません。と言われてもイマイチ分かりにくいですよね。
ザックリ言うと、地震が発生した大元の場所(地球内部の地点)が「震源」で、その震源の真上にあたる地表の地点が「epicenter=震央」です。
下の図をみると分かりやすいです(hypocenter/focus=震源)↓
一般的には「震央」という言葉はあまり使わずに、震央の地名を「震源地」「震源」と言うことも多いと思うのですが、英語的には上のような「epicenter=震央」「hypocenter/focus=震源」という違いがあります。
では、なぜコロナの話で「エピセンター」が出てくるのでしょうか。これは「オーバーシュート 」みたいな和製英語なのでしょうか?
“epicenter” には「中心地」という意味もある
実は英語の “epicenter” にはこんな意味もあるんです↓
the place where something unpleasant is felt most strongly and from where it can spread to other areas
(Macmillan Dictionary)
何かいやなことの「中心地」みたいな感じですね。そこから他のエリアに広がるというのが、まさに今の東京のような「(感染の)震源地」を表すのにピッタリです。
ざっと調べてみたところ、海外のコロナ関連のニュースでも “epicenter” は使われていました。
- Florida is currently the epicentre of the US epidemic. −BBC
- Miami is now the epicentre of the pandemic −NZ Herald
- In March, Italy and Spain were the epicenter of the pandemic. −WHO
- As Miami becomes US coronavirus epicenter, nearly 100 cops test positive −ABC News
似たような意味で “ground zero(爆心地)” もニュースでたまに目にしますが、こちらも、
the center or origin of rapid, intense, or violent activity or change
(Merriam-Webster Dictionary)
という意味があって、”ground zero for COVID-19” みたいな使い方をされていますよ。
ちなみに “epi-” はギリシア語から来ている接頭辞で、”on, upon, above, over” といった意味があります。”epicenter” は “above center” と考えるとイメージしやすいですね。”epi-” には他にも “after” の意味があって、”epilogue(エピローグ)” はこれですね。
「震央、震源、震源地」を英語で表すには?
地震の話に戻って、地震が起きたときに「震央」「震源」「震源地」を表す英語表現をいくつか紹介したいと思います。
まずは “epicenter” を使うと、地震が起きた場所はこんなふうに表せます↓
- The epicenter was 130 kilometers east of Sendai, and 373 kilometers northeast of Tokyo.
震央(震源地)は仙台の東130km、東京の北東373kmです - The epicentre was close to the city of ○○.
震央(震源地)は○○市の近くです
また、専門的な地震サイトなどでは震央は緯度(latitude)と経度(longitude)で表されていたりします。
ただ「どこで地震が起こったか」を知らせるニュースに “epicenter” が毎回出てくるかというと、そうでもない印象です。実際には “strike” や “hit” という単語を使って、
- A 5.2 magnitude earthquake has struck 25km northwest of ○○.
マグニチュード5.2の地震が○○の北西25kmで発生 - A 7.4 magnitude earthquake struck off the coast of ○○ in the early hours of Friday morning.
金曜日の未明、マグニチュード7.4の地震が○○沖で発生 - A strong earthquake has hit ○○.
強い地震が○○で発生
みたいに報じられることが多いかなと思います。また、地中の「震源(hypocenter)」を表す場合は「震源の深さ」もニュースではよく伝えられます。
- The quake struck about 9am on Saturday and was 30 km south of ○○ at a depth of 100km.
地震は土曜日の朝9時に発生、震源は○○の南30km、深さは10okmでした - The quake was 35km deep, and about 50km northeast of ○○.
震源の深さは35キロ、○○の北東約50キロでした
「震源」を表す場合には “be centered(イギリス英語では be centred)” もよく使われる印象があります。
- The 6.5 magnitude earthquake was centred 10km north of ○○ at a depth of 50km.
マグニチュード6.5の地震の震源は○○の北10キロ、深さ50キロでした - The 10.45am quake was centred off the coast of ○○ at a depth of 20km.
10時45分に起きた地震は○○沖深さ20キロを震源とするものでした
(○○沖で深さ20キロを震源とする地震でした)
話がコロナの「エピセンター」からは離れてしまいましたが、まだ日本では聞き慣れない感じのする「エピセンター(epicenter)」を理解するのに役立てば嬉しいです。
■「地震が起きた」「津波警報」「避難する」など、地震を英語で表すときに使われる表現はこちらで詳しく紹介しています↓
■新型コロナにまつわる英語表現はこちら↓