日本語なら「焼く」という言葉が使われる場面で、英語ではいろんな違った単語が登場します。
英語のレシピや料理番組、あるいは海外でレストランに行った時にメニューなどでよく目にする、
- roast
- grill
- broil
- bake
これらは全て「焼く」なのですが、その違いって一体何なのでしょうか?
他にもまだある「焼く」の英単語の違いをまとめました!
“roast(ロースト)” の意味
「ロースト」と言えば、どんな料理をイメージしますか?
私は、ローストビーフとローストチキンを真っ先に思い浮かべましたが、どちらもお肉のかたまりをオーブンでじっくり焼いたり、火でじっくり炙り焼きにするイメージですよね。
では、英語の “roast” の定義はどうなっているのか見てみましょう。オックスフォード新英英辞典には、
cook (food, especially meat) by prolonged exposure to heat in an oven or over a fire
と書いてあります。”prolonged” は「長い間続いている」という意味なので、やはりオーブンや直火で熱にさらしてじっくり調理するというイメージは間違っていないようですね。
他にも、ローストポテトという料理もありますが、これもオーブンでジャガイモをじっくり焼いたお料理ですよね。
ちなみに “roast” は動詞の意味だけではなく、”roast potatoes” のように後ろに名詞が続くと「焼けた」「あぶった」という意味の形容詞にもなるので、ローストビーフは “roasted beef” ではなく “roast beef” が正解です。
“grill(グリル)” と “broil” の意味
「グリル」と言われると、どんなイメージがありますか?
私は魚焼きグリルを真っ先に思い浮かべましたが、英語の “grill” は魚だけに使われるのではなく、もちろんお肉や野菜にも使われる単語です。
英英辞典ではどう書かれているのか見てみると、
- to cook food over fire or hot coals, usually on a metal frame
- [UK] to cook something under a very hot surface in a cooker
(Cambridge Dictionary)
と書かれてあります。
1は火や石炭の上に焼き網を乗せて、その上に食材を乗せて「焼く」という感じですね。こんなイメージです↓
強い火で焼くので、”grill” された食材にはたいてい焦げが付いてたりします。するので、”grill” にはこの「焦げ」や「焼き色」のイメージがあります。
そして、実は “grill” はイギリス英語とアメリカ英語で少し違いがあるんです。2番の意味に注目してください。[UK]と書いてありますよね。
イギリス英語では上で紹介した1番の意味に加えて、オーブンの強い上火で焼くことも “grill” で表します。
ここで「魚焼きグリル」を思い出してみてください。昔のコンロに内蔵されていた魚焼きグリルは上火で焼くタイプでしたよね(今は両面焼きグリルなるものがあるようですが…)。これが「上火で焼く」という”grill” の2番の意味のイメージです。
それに対して、アメリカ英語ではオーブンの「強い上火で焼く」には “broil” という単語が使われます。
ちなみに、”grill” には名詞の意味もあって「バーベキュー用のコンロ」は “barbeque grill” と呼びます。「焼き網」の意味もありますよ。
“bake(ベイク)” の意味とは?
日本語で「ベイク」が使われている食べ物は、ベイクドポテトやベイクドチーズケーキなどがありますが、英語でも “bake” はパンやケーキ、お菓子を「焼く」時に使われる単語です。
早速、英英辞書の定義を見てみると、
・cook (food) by dry heat without direct exposure to a flame, typically in an oven
・to cook food in an oven without extra fat or liquid
と書かれていますが、”dry heat” と “without extra liquid” というのが “bake” のポイントです。
直火を使うのではなく、オーブンの乾燥した熱気で、しかも水分を足さずに調理する方法が “bake” です。
なので、出来上がりは水分が飛んで、表面はカリッとパリッとしていることが多いです。
“bake” したものを食べる時は口の中がモソモソするので、一緒に飲み物が欲しいイメージもあります(笑)
では、ベイクドポテトとローストポテトは何が違うのでしょう?
ベイクドポテトはオーブンにそのまま入れて焼くのに対して、ローストポテトはじゃがいもと油を一緒に入れて焼きます。
パンもクッキーもケーキも、そのままオーブンに入れて焼きますよね。なので “bake” が使われるわけです。
また “bake” には「(火や熱によって)焼き固める」という意味もあり、陶器やレンガなどを「焼く」にも “bake” が使われます。
“sear”、”pan-fry” の「焼く」
“roast”、”grill”、”bake” 以外にも、レストランのメニューなどで目にする「焼く」という表現があります。
その一つが “sear” で「表面を焦がす」という意味です。
「マグロのタタキ」は英語では “seared tuna” と呼ばれています。表面だけサッと焼いて、中まで火を通さない “sear” の感じがイメージしやすいと思います。
また、他には “pan-fry” というのもあります。
これはフライパンに少量の油を入れて揚げ焼きにするようなイメージです、
“pan-fry” という調理法は魚によく使われていて、”pan-fried salmon” などのメニューを見かけますが、これはフライパンに油やバターを入れて焼いたサーモンです。
日本語の「焼く」は便利な言葉で、それ一つで済むのに、英語にすると色んな表現があって、ややこしいですよね。
でも、それぞれの単語のイメージを掴めれば、レストランでメニューを見た時にもどんなお料理なのか理解しやすいと思うので、役に立てば嬉しいです。
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