私がニュージーランドで生活をするようになってから「日本とは違うなぁ」と感じることの1つに、飲食店のメニューの違いがあります。
ニュージーランドの飲食店のメニューでは必ずと言っていいほど、こんな略語を目にします。
- GF
- DF
- V
- VG
- NF
さて、これらはそれぞれ何を意味するのか分かりますか?
海外では常識?メニューの表記
先に答えを書いてしまうと、これらの略語はある特定の食事法を表していて、メニューに載っているそれぞれの料理に何が含まれていないかを表した略語です。
- GF:gluten free(グルテンフリー)
グルテンを含む食品を使用していない - DF:dairy free(デイリーフリー)
乳製品を使用していない - V:vegetarian(ベジタリアン)
肉・魚を使用していない - VG:vegan(ヴィーガン、ビーガン)
動物性の食品を一切使用していない - NF:nut free(ナッツフリー)
ナッツ類を使用していない
最近は日本でも認知が進んできているようなので、メニューに書かれていることがあるかもしれませんが、まだ稀なケースではないかと思います。何も書いていない店の方が圧倒的に多いですよね。
私は日本で生活していた十数年前までは「グルテンフリー」なんて聞いたこともありませんでした。
でも、ニュージーランドで生活をするようになって、どんなに小さなカフェに行ってもメニューにはこんな表示がされていることに気付きました↓
メニューにある GF、DF、VG の意味とは?
上で紹介した略語の中でも「ナッツフリー」と「ベジタリアン」は何となくどんなものか想像できると思います。
ナッツ類が入っていない食事が「ナッツフリー」です。ナッツアレルギーがある人でも、このマークがついているお料理なら安心して食べることができます。
「ベジタリアン」は肉・魚を含まない食事(食品)や、それらを食べない食習慣の人のことですが、卵や乳製品は食べられたりします。ただ、同じベジタリアンでも卵は食べるけど乳製品は食べないなど、人によって違うこともあります。
そして、最近では日本でも「グルテンフリー」「デイリーフリー」「ビーガン(ヴィーガン)」を耳にするようになってきたのではないかと思いますが、これらがどんなものなのか、ちょっと見てみましょう。
■ Gluten Free(GF:グルテンフリー)
有名人の影響で認知度が上がった「グルテンフリー」。
これは、グルテンを含まない食事(食品)や食事法のことですが、グルテンとは何かを簡単に言うと、小麦や大麦、ライ麦などに含まれるたんぱく質の一種です。なので、グルテンフリーの食習慣の人は小麦粉を使ったパンやうどん・パスタ・ケーキ・スイーツは食べません。小麦粉の代わりに米粉やとうもろこし粉などを使ったものがグルテンフリーとして売られていたりします。
流行りの影響もありますが、グルテンを摂取できない病気やアレルギーを持つ人がいるので、海外では「グルテンフリー」はかなり認知度が高いと思います。
■ Dairy Free(DF:デイリーフリー)
“dairy” とは「乳製品」のことを言います。“daily” とスペリングを間違えやすいので気をつけてくださいね。
この「デイリーフリー」の食事や食品には一般的な牛乳・チーズ・バター・クリーム・ヨーグルトなどの乳製品が使われていません。アレルギーを持つ人や、牛乳に含まれる成分を分解できない体質の人もいるので、こちらもグルテンフリー同様、かなり認知されています。
■ Vegan(VG:ヴィーガン、ビーガン)
ベジタリアンは肉や魚を摂らない人、もしくはそういった食事のことですが「ヴィーガン」はベジタリアンの中でも最も厳格な、動物性のものを一切口にしない人、もしくはそういった食事のことです。つまり、卵も乳製品・はちみつも含めて動物性のものは一切排除されます。
さらに、厳格なヴィーガンは食事だけではなく、動物由来の製品(革を使ったバッグ、靴、服など)を使うのを避けたり、動物実験をしている製品も使用しないという倫理的な背景までが含まれます。動物搾取やそれにつながることを避けるという考え方です。
日本でも必要になる メニューへの表記
私自身はこれらの表示があっても無くても特に影響はないのですが、ニュージーランドのカフェ・レストランで働いていた時にはとても苦労しました。
日本以上に様々な食習慣の人がいる中で、お客さんからは「何かグルテンフリーの料理はないの?」や「ベジタリアンの料理はどれ?」「これ、グルテンフリーにアレンジできる?」などと質問されるのは日常茶飯事でした。
中には病気ではなく、自分の信念・考え方でグルテンフリーやベジタリアン・ヴィーガンの食事法にしている人もいて「グルテンも少しだけならOK」「卵はOKだけど乳製品は食べない」みたいな場合もあったりするのですが、それでも接客する店員がどの料理にどんな食材が使われているのかをきちんと把握していないと、対応はかなり難しいなと感じました。
一見ベジタリアンに見えても、実はかつおだしを使っているのでベジタリアン食ではない、ということがあったり、厳格なグルテンフリーの人は揚げ物もグルテンを含む衣を揚げた油とは別の油を使わないといけなったりして、ただ注文を取るということがこんなに大変なんだと思ったこともあります。
日本の飲食店ではメニューにGF、DF、NF、V、VGのような表記が無い場合が多いので、海外からのお客さんに「これはグルテンフリー?」「これはベジタリアン?」などと聞かれることが多いのではないかと思います。
聞かないと、日本語のメニューの中から、どれが食べられるのかを選ぶのは至難の技ですよね。
今年は東京でオリンピックが開催され、海外からのお客さんがどっと増えるのは目に見えていますが、日本の従来のおもてなしプラス、こういったことに対する認知も必要ではないかと思います。
■今回紹介したような、グルテンや卵・乳製品など特定成分を含まない食品のことを “free-from frood” と呼びます。“free from” の意味はこちら↓
■植物性の原料で作られた「代替肉」や、お米の代用のカリフラワーライスなどの「代用品」を英語で言うと?
レストランの接客で覚えておきたいフレーズ
最後に、飲食店で働く方が覚えておくと接客の時に役立つフレーズを紹介したいと思います。
- Do you have any special dietary requirements/restrictions?
何か食事の制限はありますか?
こう尋ねると、“I’m a vegetarian.” のような返事や、“I’m allergic to almonds.” のようにアレルギーを答えてくれます。
また、アレルギーがあるかどうかだけを尋ねたい場合には、こちらも使えますよ↓
- Do you have any food allergies?
- Are you allergic to anything?
何かアレルギーはありますか?
さらに、食べないもの・食べられないものを聞きたい場合には、こんな聞き方もあります。
- Is there anything you don’t eat?
(習慣的に)食べないものはありますか? - Is there anything you can’t eat?
(アレルギーなどで)食べられないものはありますか? - Is there anything you don’t or can’t eat?
英語で接客する場合にぜひ使ってみてくださいね。
■アレルギーにまつわる表現はこちらでも紹介しています↓
■“can’t eat” と “don’t eat” の使い分けはこちらもご覧ください↓